(その4からつづく)
【第10ランナー】954M
豊橋12:07→浜松12:41
豊橋以東はダイヤの乱れがなかったようで、12時07分始発の浜松行きに遅れるなどのアナウンスは全くありませんでした。
Nゲージで見たようなコンテナ列車(これは買っていませんよ)の観察もソコソコにして、ココでスケジュールを元に戻すべく、わずかな乗り継ぎを行うこととしました。
豊橋探訪はまた別の機会に。

浜松までの県境越えに充当されていた車両は211系5000番台で、静シスLL16編成。
ついにトイレがない列車の登場で、211系5000番台はトイレ付きの313系と併結される宿命から解放されるときもあるようです。
発車前のアナウンスでも「トイレがありません」と繰り返していましたので、JR東海としても負い目を感じているのか(失礼)
30分程度の運用ですから問題はないと思いますが。

すんなりと静岡県へ入って、昨年8月に訪問した新居町あたりを確認。
クリスマス寒波とは無縁な天気で、水面の色のキレイなこと。

続いて浜名湖も通過。
岐阜県の降雪が想像できないほどの穏やかな冬晴れでした。

浜松に到着。
駅ビルは「メイワン」。
様々な都市の駅ビルの愛称名を覚えていると、その土地御出身の初対面の方との会話の中でビックリされることがあります。
お試しあれ。


さすが政令指定都市としての貫禄がある遠州・浜松で、大都会そのもの。
過去に(いろいろと話題になっている)静岡県知事の“浜松は我が道を行けば良い”という趣旨の発言があったと記憶していて、なるほど分かる気がしました。
確か、県都である静岡市の人口減少を問題視した上での発言だったかな。
間違っていたらすみません。

メイワン内の書店で、2日前に発売された浜松を舞台にした漫画の最新刊を買いましたが、特典などはありませんでした。
勝手に期待したこちらが悪かったのです。
エスカレーターやカフェは遠州ギャルばかりで、「この日に賭けた」若者たちの全てが駅周辺に部隊展開しているんじゃないかというくらいの混雑ぶりでした。
リュックサックとおみやげ入りの紙袋を持った当方が違和感丸出し。
せっかくの機会なので、遠州のクリスマス・イブを目に焼き付けておきました。

今年はもう見ないと決めています(笑)
【第11ランナー】3302F
浜松13:38→掛川14:05ここからは持ち時間にやや余裕がありまして、もう少し浜松に止まることもできたのですが、掛川止まりの列車が先行することに気づき、そこまで先行してみることとしました。

ホームで待っていたのは313系0番台・海カキY10編成の4両(のみ)。
静シス編成だとロングシートの確率が高くなるので、クロスシートで少しでも長く移動してみたいというセコい計算も即座に働きました。

駅弁を買っていたこともクロスシートに座りたかった理由でして。
「車内で駅弁」なんて数十年ぶりでしたよ。
今では駅弁をデパートで買うものと捉えてしまいがちですから。
3302Fは掛川が終点。
大垣車の運用範囲は、熱海方面は掛川が東端なのかも。
そんなことにも気づく「オレンジ帝国」東西横断の旅でした。
それにしても掛川駅のローカルムードは東海道新幹線の駅の中でも異質で、米原とはまた違うものでした。
【第12ランナー】3206F
掛川14:18→静岡15:03
寒風が身に刺さるホーム上で10分程度待機していると、本来なら浜松から乗る予定だった3206Fがやってきました。
313系2600番台で、静シスN7編成。
2600番台は確かトミックスが製品化してましたっけ。
静シスはT編成ばかりだと思っていましたが、こんなのも紛れているんですね。
定刻どおりに静岡に到着。
ここで約1時間の小休止としました。
理由は、駅ビル「パルシェ」5階にある模型店の強行偵察です(もう一つ理由がありましたが)。
やはりクリスマス・イブの駿州ですので「アスティ」とともに大変な混雑でした。
で、当該模型店は中古品の量が豊富で、その中に気になるモノはありましたが、やっぱり買うことはせず。
ムードに流されてはいけませんよね。
店内では、小さい男の子が母親にココで買ってほしいという趣旨でねだっていて、母親が「アンタはサンタさんに何をお願いしたのよ!」「サンタさんがそれを持ってきたらアンタどうすんのよ!」と絶叫していました。
一瞬、レンタルレイアウトではしゃぐ親子たちの会話が途絶えるほどの剣幕。
その夜にやってきた「サンタさん」は、寝ている男の子を見てA4サイズの箱を投げつけていなければイイんですが(大丈夫だった?)

その後は、駅のホームに戻って第13ランナーの入線を出迎えることに(そうしなければならない理由がありました)。
その列車の前には15時45分発の373系「ふじかわ」4号がスタンバイ。
この車両もあと数年で車齢30年になろうとしています。
【第13ランナー】214F
静岡16:03→熱海17:20とうとう関東へ足を踏み入れるランナーの発車。
この214Fで一気に熱海まで進みます。
冬至から2日後の夕日を背にして静岡市街の高架線をゆっくりと進んだところで、そろそろこの旅もおしまいだと思ったタイミングでした。

乾燥した空気の中で富士山も赤く染まっていたので、旅のエンディングとしては最高の演出となったのかも。
新幹線なら一瞬で終わる風景ではないでしょうか。
そして、丹那トンネルを抜けて、関東地方と言って良さそうな静岡県熱海市へ到達。
「静岡県」という単位で見るとその中には地域性の変化が激しくて面白いですね。

で。
お世話になった最後の313系は、近年海シンから静シスへ移籍してきた8000番台でした。
編成番号はS6。
KATOの10-589はB204(→S4)、10-1530はB203(→S3)で、ともに神領の編成番号でしたから、次の再生産ではカッコ書きで「静シス編成」なんていうことがありそう。
静岡で途中下車した理由のもう一つが、この313系8000番台に乗るためでした。
214Fに使用することがあるとネット上の情報を得ていたので、静岡からのスケジュールは旅に出る前から固定していたのです。
旅の終わりに転換クロスシート、それも元「セントラルライナー」のそれですから、これもちょっとしたエンディングの演出、ですね。

座席は313系の中では最も上質か。
この座席がタダなんですから、そりゃ乗ります。
静岡で乗車待ちをしていたとき、後ろにいらしたカップルさんの女性の方が「最近この電車ばっかりだよね」と御発言されていました。
どういう意味だったんだろう??

編成全体。
こんな派手派手しいオレンジの電車が熱海まで現れるようになったのですから、そりゃ帝国の脅威を感じますよ。
「どこまでオレンジ推しなんだよ」ってね。
伊東線への通過客が何も知らないで「なんだあのオレンジ電車は?」と言っているんじゃないかと想像。
【第14ランナー】1924E
熱海17:30→小田原17:52
再びJR東日本の区間に入って、この旅は小田原でおしまいとしました。
⬜︎ ⬜︎ ⬜︎
模型の話題を書くべきところ、旅日記にここまでお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。
せっかくの鉄道によるフィールドワークでしたので、自分へのメモのつもりで書き残しておこうと考えてのことでしたが、なかなかコンパクトにまとめることができず、1か月もかけてしまいました。
短時間かつ快適な移動手段を選ばずに、あえて不便で無駄なことをしてみたところ、目的地だけでなく移動途中も旅の一部となり、車窓から見る家並みや気候の移り変わりを楽しむことができたようです。
どんな土地へ向かうにも、視線を低くして、速度を落として移動してみれば「冒険」になるのかもしれません。
高速移動を繰り返しているだけでは、何かを見落とし続けている可能性がありますし、それはひょっとしたら人生の残り時間、自由時間を消費する上でとてももったいないことではないかと。
風景のグラデーションの最後に旅の目的地があれば、そこで見るあらゆる物事が「ああ、なるほどね」となるはず。
そーゆーことを楽しみたいし、鉄道模型趣味の世界でも大切にしていきたい概念です。
そしてまた、模型車両の現実世界での活躍ぶりを体感することも大きな収穫でした。
特に雪の関ヶ原を走る313系の姿は、脳内の固定観念を見事に更新してくれまして、自宅での遊び方にも良い(?)影響がありそう。
今後、模型の313系を手に取ったときに浮かぶ背景は、より旅情豊かなものになることが間違いなさそうです。
模型店で並ぶイマドキの車両たちを味気ない、無機質なモノと捉えてしまいがちな近年ですから。
銀色のローカル車両たちを興味の対象として見つめ直すためには、こうした脳内の再定義が必要なのかもしれず、わざわざ無駄なことをしてみないとそれは叶わないのかもしれませんね。
そろそろ模型の話題に戻ることとしましょう。
ではまた。
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- 2023/01/31(火) 09:30:00|
- 鉄道旅行
-
| トラックバック:0
-
| コメント:14
今回も失礼致します。
しなのさかい様
長期に渡る旅行記の連載お疲れさまでした&ありがとうございました。
いや、改めて東海道筋(JR東海管内)は313系一族ばかりになっているんですね。大垣区所属の転換クロスシート車も随分と奥まで運用があるとは驚きでした。
そして東海エリアの最後は元セントラルライナー用の8000番台とは!これは乗り得列車になりますねぇ。
中央線名古屋口にいた時代はリクライニングしないのに追加料金がかかるため「ゼニトラレルライナー」などと揶揄されていましたがこれなら安心です(笑)
私もこの冬に久し振りに18きっぷを使っての旅を敢行しましたが、やはり座席が良くなっているのか思ったよりも疲れないというのが印象に残りました。
私が本格的に乗り鉄を始めた1990年代前半は地方都市の普通列車といえば向かい合わせの4人掛けボックスシートが主流でそれもかなりの乗り心地の硬さでしたから隔世の感があります。
北海道に渡れば床が木貼りの気動車も普通に運用されていましたから随分と変わりました。
普通列車縛りの旅は一見不便そうに思えるけれど私のような重度の鉄道ファンにとっては「安価に長時間乗車できる」訳ですから最高に贅沢な旅になることになります。流れゆく車窓を無心に眺めたり、ゆっくりと駅そばを堪能したり、気まぐれに降りた駅近くの店で思わぬ美味しいモノを発見したりと「時間を贅沢に使う」ことができるのでこの上なく癒されるわけです。
いつも特急に乗ってしまっている区間も改めて普通列車でじっくりと旅をすれば新しい何かを発見できるかもしれないので、例えば西九州方面なども挑戦してみたいです。ネックは本数の少なさかな。
模型好きとしては「乗り鉄した路線の車両は思わず欲しくなる」には注意ですが(笑)
- 2023/01/31(火) 13:19:57 |
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- つばめ787 #-
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つばめ787さん
長々とお付き合いいただきありがとうございした。
そうなんですよね。民営化直後は元急行型車両の普通列車がたくさんありましたから、クロスシートなんて当たり前な設備でした。窓と柱に頭を寄せて流れていく車窓を見るこういうは飽きず、乗り鉄趣味を実践する上では良い時代だったと思います(キハ120とか701系が登場した頃からイマイチになりましたかねえ)。この体験が引き金となって模型も買うというパターンは、お金が消える速度も今よりは高くなかったためか、心地よいものでした。
とはいえ、普通列車によるフィールドワークができなくなった訳ではなく、今でも工夫してやってみれば1990年代のような感覚を取り戻すことができるようです。ロングシートでもよくできていて、背中のあたりなどは痛くないし。
デジタル社会への疲れからか、不便なことに商品価値が生まれる面白い時代でもありますから「青春18きっぷ」もこのままでなんとか存続してもらいたいですね。
- 2023/01/31(火) 18:23:20 |
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- しなのさかい #-
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今回の旅の記録は色々と推測しながら想像で旅をすることが出来ました。
最近は列車内で弁当を食べるのは限られた環境になって寂しいですね。
記録の最後が小田原なのが気になるところですが、扉の閉まった電車と駅名板が写っているので下車したのは確実なわけですね。小田急に乗り換えてたりして^^
- 2023/02/03(金) 09:53:24 |
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おはようございます。
ラストランナーは、往年だったら下りブルートレインとの離合見たさに間違いなく東京まで乗ってしまってますね(笑
はるか昔の東北新幹線開業前に、東北地方の客車鈍行をつまみ食いするかのようにたくさん乗ったことがあります。
盛岡-黒磯とか、秋田-新潟、秋田‐福島、五能線回りで弘前-東能代とか。もちろん上野‐仙台の常磐線回りも。
特急・急行に連なる列車種別として、長距離の都市間移動の手段としての性格があった時代の名残の列車でした。
それに対して、現代は完全に「普通列車」として独立したのだなあという感慨を、全編読み直して改めて受けました。
○○高校生の通学専用電車に、他校生が遅刻のために乗り込んでしまうようなそんな違和感を、もし自分が旅行として乗り込んだ場合には感じるのかもしれないなあ、と。
ただこれって、往年の長距離鈍行で地元高校生たちが、乗り込んでも所在なさげにデッキや車端のボックス席にちょこんと座ってたのと立場が逆転しただけですね。「その地区を通る列車」から「その地区の列車」に。毎日乗る人たちのための列車として成立しているのであれば、これも発展の形のひとつだと。駅弁を食すにはちょっと慌ただしいのがキビシイですが、久しぶりの春の静岡には、自分も普通列車で出かけてみようか。そんな気になりました。
- 2023/02/04(土) 07:42:05 |
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- 海無し #-
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海無しさん
国鉄の分割民営化が目指していたサービス改善の一つが“地域密着型ダイヤ”の実現でした。それまでは特急・急行列車のみならず普通列車も都市間輸送を担っていましたが、御乗車になったような長距離列車たちが「空気輸送」と揶揄されていたのが国鉄末期の風景でした(常磐線の鈍行客レなど)。
その普通列車の編成が細切れにされることで編成本数を増やし、ダイヤ密度を高めた…というのは御存知のとおりです。特に名古屋圏のそれは顕著で、ちょうど一年前にKATOから発売されたオレンジ帯の117系はその象徴でしたね。分割民営化から30年経った今では、オレンジ帯の電車たちが名鉄と並ぶ私鉄電車のように特定の区間をせっせと往復しています。
分割されて地域に溶け込んでいった元国鉄路線。そこに昭和時代から続く「青春18きっぷ」を持つ旅客が入り込めば、完全にアウェーとなる訳で、でも昭和の時代と比較すると、地元の乗客たちが堂々と乗り降りしていて、より地域性を観察することができるようになったのかもしれません。ポジティブに捉えれば「これはおもしろい」となります。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
- 2023/02/05(日) 14:06:14 |
- URL |
- しなのさかい #-
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無駄が人生を豊かにすることも多い。好きなものを発見するのは素敵なことです。
趣味は人それぞれですが、傍から見て何が楽しいのか、役に立つのか、優劣なんて気にしないことです。
私は地元の沿線民ではありませんが、”普通電車の旅”、滞在時の足として使いましたから、どうやらこの313系電車にはいくつかのマイ・ストーリーが絡みついていているようです。酒を飲みに連れ出してくれ、お世話になった方々、海辺のベンチで膝枕してもらった女の子(いったい何年前の話なんだ…?)など…いつか懐かしく思い出すときが来る気がして、無碍にはできない存在です。
そういう訳で、“高速移動”をする場合でも、オレンジ帯の電車、見覚えのある風景は、現在進行形の風景として見落とさないように拾い上げているつもりです。
- 2023/02/06(月) 21:03:47 |
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- 連接車 #-
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連接車さん
鉄道に絡んだマイストーリー。ありますよね。特に「人」と関係した思い出としての鉄道シーンは、その後の時間において特別な存在となっていきます。我々のような趣味人は、鉄道模型趣味の世界にはそうした思い出を落としがちなのかもしれません。今回はそんなマイストーリーを披露させていただきました。
マイストーリーがまた別の人のマイストーリーを生むかどうかは分かりませんが、そうであればうれしいし、輪も広がるかも。もちろん欲張りはしませんが、最近の鉄道模型の新製品に欠けがちな「勢い」も、ひょっとしたら元々は企画者側のそんな個人的な思い出の“お裾分け”だったのかもしれないなと考えた次第です。
- 2023/02/10(金) 12:50:43 |
- URL |
- しなのさかい #-
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こんばんは。
昨年夏に続く浜松訪問、ありがとうございます。
元浜松市民としては非常に光栄です。
しなのさかいさんが今回途中下車して立ち寄った浜松駅ビルメイワンの中にもかつてポ○ンデッタがありましたが、オープンして2年と少しで閉店した時は衝撃的でした。
その後、1年以上の空白期間を経て旧浜松市郊外のイオンモール内に再オープンしましたが、郊外に移ってから4年以上続いているという結果から、クルマ社会の浜松ではやはり郊外のほうが長続きするというのが証明された典型例かもしれません。
本当は、仕事(昼勤時や休日出勤)が夕方5時に終わった後に磐田から天竜川を渡ってイオンモールに行きたいところですが、天竜川の橋や目的地周辺で発生する渋滞を考えると二の足を踏んでしまいます(^_^;)
- 2023/02/11(土) 21:47:42 |
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- パークランナー #ir/JjbnU
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パークランナーさん
イオンモール浜松市野のことですね。昨夏に強行偵察をしてきました。あそこが移転先だったんですか。海外のショッピングモールのような敷地の使い方にビックリしまして、遠州のクルマ社会もまた規模が違うナと思ったものでした。ただ、乗り鉄を趣味とする者としては、駅周辺の商業店が郊外へ移転してしまうことには複雑な思いがあります。途中下車してもシャッター街を見学していてはつまらないし。この点は昨夏の飯田市の稿でも触れましたね。
郊外大型店の方がバス路線の結節点となったりして便利なのかも…。天下の東海道本線と言えども、政令指定都市の玄関駅としての貫禄が損なわれ始めている気がしないでもなく。たかが鉄道模型店の実情からの邪推ですけど、もしかしたら予兆なのかもしれません。
- 2023/02/15(水) 19:33:18 |
- URL |
- しなのさかい #-
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