しなのさかいの駅前広場

もうお腹いっぱいです。

第20回国際鉄道模型コンベンション(その3)

(その2からつづく)


【トミーテック】



いきなり鉄道コレクションから。
叡山電鉄「ひえい」。
ひえーい!(爆)





関東鉄道の。
これに乗って通勤してくる同僚がいるんですが、この試作品を見てふとそんなことを考えてしまいました。
ただそれだけ。





次のバスコレの通常弾。
みんな大好き、アルピコカラー。
おそらく一番価格が高くなってバラ売りされるんでしょうね。





静岡のときにも指摘しましたが、ますます気味が悪くなって登場しましたね、鉄顔コレクション。
こうしたコレクションをポジティブに楽しめるものなのか、当方には自信がありません。
表現が適当でなければ訂正しますが、これ、京都三条河原のさらし首みたいでしょ?
石田治部?

どうか小売店に不良在庫を抱えさせて苦しめないでくださいね。
食玩かカプセルトイの類ならまだ受け入れられたんでしょうけど。

どうも他社を含めて、鉄道模型店に置くべきアイテムかどうかという考え方に至らずに企画化されてしまう、そんな製品が目立っています。
そのうち鉄道模型店には動物のフィギュアとかロボットの模型が並ぶようですから、世も末です。



さて、トミックスの方なのです。
いくつかの試作品展示もありましたけど、ひきつけられるもの、意外性のあるものはあまり見られませんでした。
そんな中でも、153系の低運転台クハ153は、1990年代初めにカトーが追加ラインナップで製品化したものしか存在しませんから、それがHG仕様で登場するということで期待が高まっているようです。

当方はこれ、「カトーが自分の仕事としてもっと早くやるべきだった」とそう思っていたんですよね…。
と言いますのも、当方はトミックスのHG仕様というものにあまり過度の期待を寄せていませんので(標記類も印刷されていませんし、透明ベース付きのインレタというものにも否定的です)。
トミックスがやる湘南色にも不信感を持っていますから、やはり無理。
間違いなくスルー決定です。

カトーの165系のような仕様で、153系急行「山陽」を組んでみたかったなぁ。
帯付きサロとサハシが入った10両編成。
そういえば天賞堂の181系山陽特急バージョンは大好評だったそうですよ。
カトーは何をモタモタしているんだろう。
そう思いませんか?



今回の試作品展示で一番気合が入っていたのが「トワイライトエクスプレス瑞風」でした。



アクリル板越しにしか見られないようになっていたので、どのくらい正確に評価できているのか、自信がありません。





後部となったときの展望デッキの灯り。





床下機器への印刷表現、今回も抜かりなくやるようです。













その他いろいろと撮影しましたのでペタペタ貼っておきますが、後述する予定のカトー製品との現段階での違いという点では、製品化する上での「思想」の差ということになるかと思いました。

トミックスとしては、とにかく(N小屋パーツ風に)中身の作り込みに対して大きなこだわりを持っているようで、四季島の製品化の際に自ら課した「プログレッシブ・グレード」という大きなハードルの上げ方がその仕様をマストなものにさせてしまっているようでした。
つまり、外観だけでなく室内の設計にも大きなエネルギーを注がなければならなくなったということなんです。

昨年の全日本模型ホビーショーでは、確かにトミックスの四季島の細かさにはには驚かされましたが、問題となるのは「驚いた後の気持ちの行き先」。
別パーツを多用した内装の再現という戦略は、果たして「新しい鉄道模型の価値の提案」となるのか。
それともそれは、消費者に対する単なるハッタリ、目くらまし、閃光弾となってしまうのか。

この辺はカトーの稿でもう一度考えてみましょう。


(その4へつづく)

  1. 2019/08/21(水) 12:00:00|
  2. 鉄道模型イベント
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第20回国際鉄道模型コンベンション(その2)

(その1からつづく)


【マイクロエース】





京王9000系「サンリオキャラクターズ フルラッピングトレイン」10両セット、49,800円(税抜)!
伺ったニュアンスから、この試作段階でも塗装と印刷を含めてほぼ本番に近いように感じました。

このラッピング車の模型は、これはこれで、鉄道模型業界とは縁のないところからの需要がありそうです。
消費税増税後の発売であることはお忘れなく。
それでも価格と等価の価値があると思う方は一定数いるのでしょう。
当方は財源を当てる優先度からここまでは及ばないという考えです(申し訳ございません)。





西武10000系レッドアロー「カナヘイの小動物ゆるっと小旅西武鉄道で行く川越旅号」7両セット、33,900円+税!!
すみません、キャラクター自体をよく分かりません。

が、久しぶりに発売されるレッドアロークラッシックの方には興味があります。
乗務員室後ろのブランドマークが「SEIBU」から「西武鉄道」に変更された姿とし、先頭車にトイレタンクを追加するそうで、これをもって「改良品」に。
また、VVVF編成・ブランドマーク付のNRAも発売するそうで、まさに「NRAざんまい」ですネ。
さて、銀色の妙な形をした電車はどのメーカーが企画化するのでしょうか。





783系特急ハウステンボス新塗装4両セット、20,100円(税別)。
その他、特急みどり4両セット、24,200円(税別)というのもあります。
確か、2000年代初期に登場したハウステンボス・みどりの8両セットも確か20,000円台前半だったような気がしていて、こういう企画で価格の高騰ぶりが見て取れるのです。

これだけの高騰は残念ではあります。
しかし、部品構成については先行するカトーやトミックスとほぼ同等であり、その点では見劣りはしません(ただし組み立て工程での接着剤使用だけは残念ですけど)。
他社製品の価格高騰も目立ってきました。
こうした視点に立てば、マイクロエース製品がまだまだ「財源を投入する選択肢になりうる」ということは言えますし、店頭で製品を探す対象にはなっているのです。
この市場の「3番手」と「4番手」には大きな隔たりがあるような気がしますが、みなさんはどうお考えでしょうか(4番手…)。





E653系特急色7両セット、27,700円(税別)。
実車に激しいバリエーション展開が見られることから、思いもかけず金型の有効利用が図られているように見えます。
2000年頃に同時に発売されたE751系は顔面の各部位の位置構成がおかしなことになっているようでしたが、こちらは似顔絵的にはイケているようです。
トイレタンク新規作成、転落防止幌を改良、中間車へスカート追加ということでの「改良品」。
常磐線ファンにはマストなアイテム??





さて、オオカ商事の持込企画では、マイクロスピーカーに関連してT車化パーツキットなるものが提案されていました。
機関車の動力ユニットを外してスピーカーを組み込めるようにするキットで、構想段階であるというのは言うに及ばず。

着想は良しとしても、マイクロエース製の機関車向けという点がオチでして。
実際に店頭に並ぶ日が来ても買うことはないだろうなぁと心の中でつぶやいてしまいました。
なにせ当方は既に1両も持っていないのですから、マイクロエース製の電気機関車又はディーゼル機関車を。

Bluetoothスピーカーの製品化以降、様々な新機軸がこうした場で提案され続けていますが、それが製品化に結び付いている様子は見られず(製品化発表のニュースもありませんから)、どうも送り手と受け止め側とでの「ニラメッコ」が続いているようです。
仮に需要予測をしている段階であるのならば、今後は難産になりそう。
こういうネタって、そういう予測でリリースされるものでもない、というのもこの業界の法則ですから。
「楽しいはず」という個人的信念が様々な壁をブレイクスルーしてきたというのも事実なのです。
どうかそれだけの破壊力のある楽しい提案を期待しています!





今回のマイクロエースブースでは、新製品の発表をメインにしながら、ちょっとした仕掛けづくりが行われているようでした。
有井社長のトークショー、是非聞いてみたかったですね。
「あじあ」をやったときのような狂犬気味のリーダーシップは、間違いなく市場への波紋を大きなものにしましたし。
「そこまでやる?」っていう感じで、しかし不思議なことに受け入れられていました。

世の中、何も知らないのに知ったふりをしている会社のリーダーもいることですから、そうではない点をもっとアピールしてもいいのではないかと思いました。



【グリーンマックス】



京王1000系5・6次車5両セット、26,800円(税抜)!
静岡鉄道A3000形と同様の発想で企画された製品であることがよーくわかります。
仮に今、当方が井の頭線の車両を手にしようとするのならば、中古市場を含めてマイクロエース製品(A0067、A0068)を探しますね。





205系5000番台(武蔵野線・M18編成)8両セット、35,900円(税抜)!
もう、静岡のときにいろいろと語りましたから、これ以上のコメントはやめておきます。
ここに来ていただいている皆さんも考え方は整理できているのではないでしょうか。

要はこれだけの価格に見合った製品であるかどうか、この辺をユーザーが是とするかどうか、です。
ちなみに当方は「否」です。





キハ110形(200番代・八高線リバイバルカラー・全線開通80周年記念ロゴ+前期形)3両セット、20,500円(税抜)!

価格もそうなのですけど、いい加減、グリーンマックスの両運転台気動車は、片方だけの点灯を仕様とすることをやめてもらいたいですよね。
どうしてこんなことが未だ実現しないのか、実に不思議で仕方がありません。
おそらく「キハ110を単行では運転しないでしょう」という企画上の考え方なのだと想像しますが、だったらばキハ54は何なのかと。
こういうところに、ユーザーの心理を読もうともしない、どこか冷たい姿勢を感じてしまうのです。
両運転台気動車であればどちらもライトが点灯する…ということは、カトーがキハ40を発売した1980年代半ばからの、いわばユーザーの中での常識なのですぞ。







グリーンマックスの室内灯。
申し訳ないですけど、ユーザー目線から見ると、この企画はもう需要が伴っていないですね。
車両模型メーカーとしてはラインナップしておかなければならない、ということかな?(ゴメンナサイ)。







毎回どうしても厳しい視線を送ってしまうグリーンマックスの各種企画なのですが、一方で今回はブース内にこんな展示がなされていて。
率直に「懐かしいなあ」と思い、感謝したくなりました。
社の中にはグリーンマックスが今でもこうして市場の中に存在し続けて、ユーザーに一定の認知がなされている、その起源をきちんと理解している方が存在する、ということなのでしょう。

でも、そうであるならば、今の完成品の開発姿勢はなんなのか。
どう考えてもそこには大きなギャップがあるようで、残念なのです。

ですから、阪急1000系製品化のニュースを見ても、そんなモヤモヤからときめくこともなく。
どこか心の中で、自分が納得できる製品に仕上がるとは思えないでいるんですよね。
先日発売された完成品マニ44も、改良されたとはいえ、部品構成自体が1980年代の客車シリーズのままでしたから。

ただひたすらに、近所の量販店で大量に並ぶグリーンマックス製品群が自分の視野というか「自分にとっての選択肢」に入る日がやってくることを気長に待とうと、そう思うのでした。


(その3へつづく)

  1. 2019/08/20(火) 08:00:00|
  2. 鉄道模型イベント
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第20回国際鉄道模型コンベンション(その1)

こんにちは。しなのさかいです。




暑くて外出を控えるべき1日でしたけど行ってきました、第20回となるJAM。
2000年、新宿NSビル・イベントホールで開催された第1回JAMから軽ーく20年が経過してしまいました。

7月末あたりのイベントとしては、銀座松屋の「鉄道模型ショウ」に代わって「鉄道模型コンテスト」なるものが軌道に乗りつつありますが、やはり首都圏に居住実態がある者としても、短い期間にほぼ同じ目的で臨海副都心を2往復するというのも地獄です。
どちらか1方に力点を置くとすれば、やはりこちらとなるのが人情でしょう。

今回も線路際の住民先生と共に、いろいろとつぶやきながら会場をうろうろと歩き回りました。
お疲れ様でございました。


今回は、入口すぐに配置されたのが企業ブースではなくて各クラブのレイアウトでしたので、自然とそちらから見る流れになってしまいました。
本来的な姿とも言えましょうから、まずはこちらで見て印象に残った作品をいくつか取り上げてみたいと思います。






すみません、どちらの作品だったかは記録を取り忘れました。
流氷をテーマにしたレイアウトってあんまり見たことがないものですから、今後の参考に。
氷はプラバンなのですかねえ。







「地鉄電車」シリーズでおなじみの宮下洋一さんが、RMモデルズの企画と連動して製作された小和田駅のモジュール。
当方は、カトーの飯田線シリーズの最終形態は「流電」ではなくて、あちこちのユーザーがこうしたモジュールレイアウトを製作し始め、車両の舞台を用意してやることではないかと思っていて、その具現化された作品の第1号なのではないかという感想です。

それから、きちんと撮影することを忘れてしまいました。
手前の駅舎は宮下氏のメーカーCHITETSU CORPORATIONによるレーザーカット製キット「小和田駅タイプ駅舎キット」を組み立てたもの。
3,000円程度でカチッとした駅舎が手に入るのならトライしてみたくなります(みんなが揃って小和田駅モジュールをつくるのもアレですが…)。







こちらも製作者の方を記録してくることを失念してしまいました。
荷物運搬用の簡易モノレールが上下に伸びていることを見逃してはなりません。
建物で囲まれた作業スペースにごちゃごちゃ感を見出してしまうと、ここまでのレベルに達するにはよほどの観察眼とそうした風景への愛情のまなざしがなければダメなはずで、製作された方には脱帽です。
鉄道模型をやる人間って、実は車両そのものへの趣味的視点だけで満足するのではなくて、本当はこうした空間ごと切り取る趣味というか習慣へ行きつくものなのですよね。
全体も褐色系の色調で整えられていて、作品全体から郷愁を感じることができました。





「鉄ちゃん倶楽部」さんは「ダム放流中」という電光掲示板をこしらえてマイナーチェンジ?
あくまでも現実世界に即しながらクスッと笑える仕掛けづくりをする技には、本当に頭が下がります。
これも観察力とその土地への愛情があってこそ、なのでしょう。





「多摩温泉電鉄」さんです。
路面モジュール規格で、複線間隔は25mm。
15m級の電車や貨物列車が、本当に心地のいいスピードでクルクルと回っていました。
実は複数のモジュールを連結させた作品なのですが、不思議なことに全てが一体化していて、どこか大型レイアウトのようで。
建物もよく見ると市販品をほぼそのまま使用している例が多く、それを、屋根をメインに統一的な色彩に変更することでオリジナリティのあるものに変えていました。
電車の色も、いつでも手に入るようにクレオスの王道市販カラーを標準色に採用することに決め、それを統一的に施しているんだとか。

自分にとっての「ワールド」観を強く打ち立て、それを発展させていく。
古い概念のようではありますが、実はそんなに実践できている人はいないのだと思います。
ブルートレインが全廃となり、新幹線ありきとなった今。
我々は「車両方面」でそんなに共通した話題を持てなくなっているように感じます。
今後、鉄道模型趣味の世界では、こうしたレイアウトづくり、情景づくりが共通言語となっていく「べき」なのかもしれません。



*          *          *



会場内には高校生のコーナーもいくつかありました。
しかし、情景の観察力もさることながら、レイアウト内を走行する車両のスピードが速い!
まぁ、こうした大人と交わることができる会場にあえて身を置くことで、どんどん吸収してもらいましょう。
かつての町中の模型店でオヤジさんや常連客の会話を聞けていたように…。
今のJAMにはそうしたティーチングの効能もあるように見ています。


(その2へつづく)


  1. 2019/08/19(月) 12:00:00|
  2. 鉄道模型イベント
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第58回静岡ホビーショー(その5・完)

(その4からつづく)


【カトー】

目立って新しい情報は得られず、ショー以前にメーカーから流れた情報や、小売店から流れたセールスミーティングの情報とほぼ同じです。
サンプルに多少の進展があるようでしたので、その辺だけ。





JR四国の2000系気動車です。
着色されたサンプルが登場しまして、より製品のイメージがしやすくなりました。





車体断面もまずまず。
これでもう、マイクロエース製品に戻ることはなさそうです。
さようなら、頰が垂れた2000系。

連続窓の車両の模型をこういう角度から見ると、他社製品ではよく「バナナ」現象が発生していることに気づきます。
この製品は大丈夫…でしょうか。





6月発売予定とのことで、高騰した価格設定ではありますが、がんばって特別企画品を入手する予定です。





EF65 1000 前期形。
これも想像どおりですね。
安心して買うことができるアイテムです。
1019号機が発売されたりすると、手元にあるSERも活きてくるでしょうか。





12系客車は、やはり現行製品との違いが目立って見えません。
よーく見れば確かに細かな点がリニューアルされているのですけどね(ドアの帯モールドがなくなっているとか)。
こうしてサンプルを見ても、まだまだ旧製品で通用していたと思えてしまいます。







カートレイン。
20系客車とのワキの連結間隔が間伸びすぎるように見えました。
もっともそれはアーノルドカプラーの場合なのですけど、ボディマウント式と台車マウント式の連結になることは間違いなさそう。
ナロネ21のワキ側をボディマウント式にしているからなのですが(設計上の都合?)、そんなものなんでしょうかね。
ワキ同士の間隔も結構大変なことになっています。





カヤ21のおなか付近。
当方、この車両欲しさにカートレインセットを買うほどの人間ではありません。







415系のサンプルたちです。
先日のアナウンスどおり、細かい形態差異を再現した、気合いの入った企画のようです。
それだけ新規金型の投入量がハンパないということかと。
「へぇ~」という感想しか持ち合わせておりません。

余談ですが、西武40000系はロングシート車として増備されるんだとか。
「Sトレイン」が空気を運ぶ列車の代名詞になっているようですから仕方ないですかね。
模型の世界でも実車のデビューと同時に大量の新規金型を投入して製品化された40000系ですけど、実車共々人気はよろしくないようで、近所の量販店では叩き売りアイテムの常連さんになっています。
なんとも無残。





E6系の先頭車ボディもわざわざ窓を1枚閉塞した姿の金型に変更するようです。
お疲れさま。
こうしたこだわりにはホントに感心しています。





カトー・豪華列車シリーズ3か年計画のラストはJR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風」。
とうとう2017年、2018年、2019年の3年間、カトーの年末アイテムがクルーズトレインで埋め尽くされるようです。
この企画には、もはや経営的な判断が大きく優先されていることが見えてしまっていますから、アレコレと言うことにも疲れてしまいました。
あとは「思わず買ってしまいたくなる」ような設計と仕上がりを期待しましょう。
そういえば「ななつ星in九州」は出来の良さから「ぐらついている」と言い続けていますが、まだ買う踏ん切りがつきません。
ホント、どうしましょうかね。
困りました。



□ □ □



最後は特別顧問を迎えての時事放談となりました。
毎度のことながら、長い時間をお付き合いいただきありがとうございました。



今回のホビーショー、会場の混雑ぶりに反して出展企業各社に「元気がない」という印象を強く持ちました。
この点は当方の主観だけではなく、実際に数社の担当者氏から「大きな声では言えませんけどね」という断りの上で同じような発言もありまして。
それが根拠でもあるということを付け加えておきましょう。

どの新企画を見ても強い誘引力はなく、見た瞬間に意図が分かってしまうもの、そしてその意図を素直に評価できないものばかり。
「やられた~」なんていう感想を思わず口にしてしまうような、ユーザーの意表を突いた強い企画、情報発信はまるっきり見なくなりました。


そしてその「弱さ」を補うように「あの手この手」でニューアイテムを考えて従来の売上をカバーしようとする企業努力が見え隠れするのですが、これも着想がどれもイマイチなんです。
この点はいずれ「小売店における不良在庫化」という結末で総括することができるでしょう。



2019年を取り巻く社会的諸条件から、現実の世界における「鉄道」の捉え方が今後さらに無機質なものに変化していくことは簡単に想像できます。
都市部では銀色の“箱”が10両や15両の列車となって数分間隔で走っており、さながら「ベルトコンベアー」「動く歩道」ともいうべき姿に成り果てています。
逆に地方部では、首長自ら「もういらない」と断じてバスへの転換が行われており、廃止直後にバスの便数が増えた事実だけを切り取って「転換は正しかった」と総括されている気配もあります。
そして、その両地域を結ぶ交通手段は、LCC、高速バス、そして新幹線であり、我々が模型で楽しんでいるような列車はほぼありません。


私たちのような模型を趣味とする人間は、できることならこの文明的で無機質な、効率化最優先の流れを現実世界のことだけにしておいて、1/150の世界ではまだまだ鉄道が「鉄道らしく」存在し続けられている、そんな風景を維持したいと願っているはずです。
当方は、こんな趣味人の潜在意識にこそ鉄道模型市場の中における商機がたくさん眠っていると思っています。
この点を経営者や企画担当者が「古いネタはオジサンにしかウケないから」「若年層を取り込めないから」と拒否してしまうからこそ、何を製品化すればいいのか分からない、製品化しても売れない、迷走した珍企画が頻出していると分析しています。


そんな迷走企画をなくすためには、出展企業にもっともっと俯瞰的な視点で鉄道を捉え直してもらいたい。
今と比較すれば非効率にしか見えない時代の姿にこそ、輸送使命がもっと多様だった鉄道のオモシロさが見えるはずです。
その「オモシロさ」はその時代を知らない人にも分かるはずであり、それこそ商機の鉱脈ではないでしょうか。

「欲しい」と思っていた人だけが買いに来て立ち去る“売店”のような企画となってはダメなのです。
これまでにご覧いただいた中にありましたでしょう、そんな“売店企画”が。
小売店も、その売店企画をなんの疑問もなく流そうとすれば、正真正銘の「売店」となってしまいますよ(笑)


現実世界における鉄道の風景が「文明的」なものであれば、模型の世界におけるそれは「文化的」なものとして残さないといけません。

今の時代における文明の象徴とも言えそうなE235系。
このE235系が横須賀線に導入されるらしいのですけど、その姿には横須賀線的な香りを感じることができるでしょうかねぇ。
多くの方は、その情報に接して「ウェッ」ってなったんじゃないかなーと。
その「ウェッ」という違和感こそ大事なんだと思います。

そーゆーことなのです。


お付き合いいただきありがとうございました。
ではまた。

  1. 2019/05/17(金) 20:30:00|
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第58回静岡ホビーショー(その4)

(その3からつづく)


【トミーテック・続】


さて、トミックスブランドの方へ。
当方にとっては大きなショックを受けたニュースがありました。




機関車リニューアル。
「えー、それはないだろう」と心の中で叫んでしまいました。
この全てを包含するようなアナウンスで、ユーザーの手元にある多くの機関車、そして未だに小売店のガラスケースの中に眠る在庫が陳腐化してしまったのではないでしょうか。
思わなければそれまでなんですけど、当方にとってはそんなように思えてしまう「魔法の言葉」がドカンと発せられたのでした。





いくつかのポイントが発表されました。
確認します。
①電球色LEDの採用
②ダミーカプラーの付属
③新モーターの採用
④黒色車輪の採用


②は連結方向が限定されるので、見た目の改善とのトレードで使い勝手が悪くなります。
だから、これは付属していても取り付けないパーツと割り切れるため、どうでもよろしい。

問題はそれ以外の3点。

③は関係各方面から現行モーターに関するいろいろな点が指摘されており、当方も「そうだとしたら嫌だな」と思っていました。
なにせ、動かさずに保管している機関車がたくさんあるのです。
これらが「今」マトモに走るかどうかは分かりませんし、もし走らなかったならば、まずは「マトモなモーターと交換して延命させたい」と思うのが人情でしょう。

それから①と④です。
これらはカトー製品と比べれば明らかに劣る点であり、モーターとは違って「ともかくまずは交換したい」という思いが従来からあります。
当方も以前からこうしたホビーショーで担当者氏を捕まえては散々指摘してきました。
ライトユニットと黒色車輪はユーザーが交換できますので、まずはパーツから流通させて欲しかった。
ホントにそう思います。







トミーテックとしては「多くの意見に耳を傾けた結果」ということなのでしょうが、総じて、何かもっとうまいやり方があったのではないかと思わざるを得ません。
特に、小売店が抱える在庫はこのアナウンスで売れにくくなる可能性がありますよね。
多くのユーザーは「リニューアルされるまで待とうかな」と思うのではないでしょうか。

カトーがやっているように、あくまでも車種ごとにリニューアルをしていくスタンスであるならば良かったですし、その度にパーツを分売してくれれば今までの製品も見劣りせずに生きるのです。
しかし、トミックスとしてはメーカーとしての売上を考えているわけですから…
どーもそのツケは「中流」と「下流」で払わされるような気がします。

カトーのEF58がリニューアルを行わない理由もこれに近いのでしょう。









223系2000番台。
これは楽しみにしています。
久しぶりにトミックス製品を予約しちゃいました。





EF6477とED75121。
これらは機関車リニューアルの対象でしたっけ(確認するのを忘れました)。
当方、今後はそういうチェックが必要になってくるのです。
新1号編成が出てきたら大変ですョ。





ポケモンのキハ100。
スカートが初期のパイプ形になっています。





小田急7000形は、当方から見れば模型化で不幸が続いており、もうこの辺でフルリニューアルしてもらいたいのですが、またもやプチリニューアルで済まされるんだそうです。
動力の改良、動力車の室内灯対応、先頭車ライトのLED化などを経て、今回は先頭車の車高やライト周りのデザインを見直すそうですが、どうなんでしょう。
何度も期待を裏切られてきたので、もはや選択肢としては見ていません。




最後に「トワイライトエクスプレス瑞風」を見ておきます。






今回はトミックスがカトーに先行してのリリース。
夏頃にはお目見えする予定だそうです。
我々ユーザーの頭の中には「四季島」で示された選択肢が記憶に新しいのですが、こうしてトミックス製品を見る限りは、ほぼ同様の選択肢が与えられそう。







プログレッシブグレードですから、今回も室内が必要以上に(失礼)作り込まれます。
こうした方向性もアリだとは思いますが、模型を走らせたときに編成全体を見るのか、それとも車内を覗き込むのか、という視線の送り方の違いはユーザーの志向で大きく分かれそうです。
もちろんどちらにも対応できるような模型化であれば凄いことですけど、それでは価格が上昇し過ぎるわけで。

トミックスとカトーとで模型化する手法を見極めて、自分の嗜好に合う製品を選ぶこととしましょう。
価格が高い模型ほど完成度が高い…とは限りません。




トミーテックは「新しい何か」を思考し続けているようで、ここ数年は新シリーズの立上げが目立ちます。
従来のラインナップに満足していてはダメだ(市場を維持できない)という危機意識のあらわれと見て取れそうで、現実として鉄コレシリーズの勢力拡大はその証拠と言えましょう。

ただ問題なのは、メーカーという最上流の思考の変化(気まぐれ?)が小売店やユーザーにはイマイチ追従されていないということ。
特に零細小売店の店内には様々な「新企画」の屍が積み残されていたり、果ては叩き売りにされていたりすることが多く、そうしたお店を訪れるとなんとなく胸が潰される思いになります。
最近、そんなところに小売店の疲弊ぶりが見えるのです。

TINOS制御システムの宣伝も見なくなりました。
もっと以前に目を向ければ「鉄道むすめ」の関連グッズも見なくなりましたし、サボコレクションとかそんな路線もあったよなぁと。
そーゆー新機軸の残骸って、お店には結構長い間残るものなのです。


(その5・完へつづく)
  1. 2019/05/16(木) 23:15:00|
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第58回静岡ホビーショー(その3)

(その2からつづく)



【トミーテック】



まずは新しいストラクチャーから。
「薄いビル」という怪しいネーミングでビルのストラクチャーが発売されます。
かつての「ギャラクシーホテル」(ナンダソレハ)のアイデアのようでもあり、奥行が少ないモジュールレイアウトにおける背景づくりにはうってつけ。

地面系シリーズの展開はここ数年で著しく鈍化しているので、レイアウト工作派としてはかつての勢いが復活することを期待しています。





1/80ナローシリーズは淡々と前へ進んでいる様子です。
この世界観は否定しませんが、この世界へ踏み込むとなると、今までの趣味や友人とは決別することとなりそうでコワイのです。
なんとなく終活のようでもあり(笑)
それだけ「楽(ラク)な世界」が広がっているような(考証的にも財政的にも)。
今のところは遠目で見守るしかないのであります。





一方、鉄道コレクションのアイテムは盛りだくさんで、もはやこの場でアレコレと取り上げることは難しくなってきました。
気になるアイテムの発売を待っている方は既に情報を得ているでしょうから、こんな適当な形での取り上げ方をお許しください。
担当者さんにお話を伺ったところ、実物のスケールダウンに際しては細心の注意を払っているそうです。
「似てない」と指摘されることもそんなに聞かないですから、ホントにそうなのでしょう。


最近、近所の量販店では鉄コレがトミックスブランドと同じようにガラスケースに入れられて販売されるようになりました。
以前はダンボール箱の上に山積みだったんですけどね。
でも、ガラスケースの中で管理するからといっても開封して店頭でチェックすることができるわけでもなく、なんとも中途半端。
これは店頭での販売方法に限ったことではなくて、ユーザーの中の捉え方にも当てはまるわけです。

トミーテックとしての大きな収益源となっているであろうことは想像するに難しくありませんが、そのシェアだけ「Nゲージ完成品のレベルが鉄コレ水準となっている」とも言えそうです。
多くの小売店にしたってそうで、かつては厳かな雰囲気ばかりであった店内は、いつのまにか、軽い箱の山積み状態となっています(箱も日焼けで退色していたり)。

何もかも、いろいろと変わってしまいました。





トラック系。
こちらも同じで、コレクションをする方はぜひ。
当方は、もういいやっていう感じです。





バスタ新宿シリーズのバスコレクション。
立ち話で「現在のバスばかりがプロトタイプになりがちでは」と指摘したところ、企画サイドとしては全然そんな風に思っていなくて、古いバスコレクションもどんどんリニューアル的にリリースしていきたいとのことでした。





バスタ新宿のジオラマがありました。
かつては上野駅などの鉄道ターミナルが同じ機能を持っていたんですけど、これはなんだか味気ないですよね(ジオラマにケチをつけているのではありません)。

バスタ新宿に限らず、東京都心の主要バスターミナルはどこも待機する客で混雑しているそうで、そんなニュースに接すると、どうして鉄道はその(手軽な移動手段としての)役割を放棄してしまったんだろうって思います。
こんなところに、鉄道だけでなくて鉄道模型も面白くなくなってきている(?)要因が潜んでいそう。
バスコレで旅情を感じるようになっていてはいけないのです。





鉄顔コレクション。
1/80の寸法データを使用しているそうです。
用途としては、これを机の上とかに飾るのかな。
新たな収益源となるよう、新企画を模索した結果だそうですが、果たして(この手は先行するカプセルトイもありますので)。

しかしながら、我々のようなユーザー向けに開発する製品であるならば少々ナメられている気がしないでもありません。
流通販路はもっとライトな層に向けられるものであるべきで、いわゆる模型店に置くべきものではないと思いました。
こういうアイテムが増えると、模型店は模型店でなくなっていくのです(ポポンデッタ的なお店づくりには寄与するアイテムなのでしょう)。




だから…



ファーストカーミュージアム(先頭車博物館)。
こちらはトミックスブランドでのリリースになるそうです。
これ、模型店に置いてあったとして、我々のようなユーザーは買うんでしょうか(謎)

見たところ、駅の売店などで売られているトレーンの「Nゲージ」のようでもあります。
もしそうしたコンセプトであるならば買える場所は少なくとも模型店ではないということになるのでしょうが「15歳以上」という対象年齢から、あくまでもターゲットは我々であると捉えられそうなんです。
価格もそんなに安くないですし。


うーむ。


最近ではカトーも先頭車だけの売り方をしてはいましたが、それはあくまでも鉄道博物館に収蔵された車両をイメージした「おみやげグッズ」の一般流通化であったり、ホビーセンターがちんまりと用意したジュニア向けであったりと、あまり目立ったものではありませんでした。

先程の「顔だけのHO」といい、どうも長期在庫化のにおいがプンプンしてきます。
小売店の方々もどう仕入れていいか、悩んでいるのでしょうね。
量販店向けのアイテム、といったところでしょうか。


(その4へつづく)
  1. 2019/05/15(水) 23:00:00|
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第58回静岡ホビーショー(その2)

(その1からつづく)


【マイクロエース】

かつてこうしたホビーショーに足を運んだことがある人はお分かりいただけると思いますが、とうとう(?)試作サンプルを飾るガラスケースが1つだけになりました。
なので、その他のスペースはプラモデル即売会場(&レイアウト展示)と言ってもよいかと…(^^)
これも時代の変化です。


そんな中でも新しい何かを示そうとしているのが、マイクロエース本体ではなくて持込み企画のオオカ商事で、例のスピーカーシステムの続きをアピールしていました。





スピーカーシステムを組み込むと、ほぼ間違いなくその車両だけは室内灯を組み込むことができません。
当方もかつてそう懸念していましたが、やはりそうした声は送り手にも届いていたようです。
なので室内灯も組み込めるように考案している最中とのこと。





既存製品に組み合わせられるよう、ユニットのガワにLEDの室内灯を配線するというキワドサです。
見ていて課題だと思ったことは、編成中の他の車両に組み込んだLEDとの色調が揃うことは「奇跡」レベルなのではないかということ。
まずは「暗いよりはいいでしょう」ということのようですが、実際に組み込んでみるとなると、多くのユーザーは微妙な心理に陥るかもしれません。


それからサイズや変形について。
これ以上のダウンサイジングは現時点では相当厳しいそうですが、変形については例えば回路を並べ替えて、例えば水平方向を垂直方向へ変えるなどの対応はできるとのこと。
蒸気機関車の次位に連結させる二軸貨車に組み込むことができれば、それはそれで面白い使いみちかも(かつてのマッハ模型のアレみたいですけど)。





それから、ワイヤレス給電にすればレールからの電気供給を考えずに列車を運転することができる…というアイデア。
ラジコンの世界に近いようで、需要を見極める必要がより高いアイデアでしょう。
これだけに限らず、かつての様々な不可能が現代技術では既に可能となっていて、後は製造コストと供給価格の問題だけという、そんな実感を持っているそうです。
どんな「不可能」「不便さ」に大きな潜在需要が眠っているか、当方も知る術がありませんけど、価格的なアプローチのしやすさがそうした潜在需要を露出させることもあると思います。
この辺を「ギャンブル」と見るか、それとも「ユーザーとの心理ゲーム」と見るか。
まだまだ生みの苦しみは続くようでした。
次なる「風」を期待しましょう。



さて、1つだけとなったガラスケースです。
どれも既視感のあるモノばかりでしたので、2つだけ。





かつてカトーとのタイマン勝負となってしまったマイクロエースの383系が再び登場です。
あのときの製品はスリーブのデザインも凝っていて、しかも貫通型先頭車のドアが開いた表現も再現できるようにするなど意欲的な企画となっていました。
しかしながら、カトー製品の発売とほぼ被ってしまったことから店頭での動きは鈍かったと記憶しています(最後は叩き売り?)





リニューアルのポイントが列記されていました。
例の貫通扉をはめ込み式から両面テープによる貼り付け式に変更するそうですから、現在の小田急60000形と同じ考え方かと。
列記されていたポイントはご覧のとおりですが、サンプルを見たところ、貫通型先頭車のヘッドライトの輪郭形状は角が取れて丸みを帯びた状態に改善されているように見えます。
貫通扉の件がありますから、顔の金型を変更しているのかもしれません(質問できる担当者がいない状態でした)。

予定価格は、
6両セット 26,300円+税
4両セット 19,100円+税
2両増結セット 9,600円+税
です。





ついにトミックスのキハ183形には 競合製品が登場するようです。
素直に再生産とせず、限られた時期に見られた妙な編成を製品化するところはマイクロエースらしいと言えましょうか。
5両で23,100円+税。



相鉄9000系の価格を見て「お、少し下がってきた?」と見ていましたが、再生産品やプチリニューアル品が値下げになるはずもなく、全体的には高騰したままという印象です。
しかしながら、他社製品の追い上げ的価格上昇が甚だしいため、皮肉にも相対的な価格高騰の感覚は数年前よりも薄れてきた印象もありますよね(このことは「麻痺」とも言えそうですが)。

また、グリーンマックスと比べれば、ユーザーが考える「Nゲージとしてあるべき部品構成」は昔からちゃんと理解している会社ですから、この点は、グリーンマックス製品が選択肢にならずにマイクロエース製品が選択肢となるポイントと言えましょう(溶剤による部品の接着だけが難点ですけど)。

たまにはかつての狂犬ぶりを発揮して、笑えるような新規ネタで勝負してもらいたいです。

それから。
「近鉄23000系 伊勢志摩ライナー リニューアル」の再生産が6月であるとの告知もありました。
カトー製品の買い物がなくなってきたので、以前はスルーせざるを得なかったこんな再生産アイテムを目を大きくして待つようになっています。
これも時代か。



【ポポンデッタ】



中国のなにかです。
これは海外製品の輸入ということなので、パネルを見てどうのこうのと言うことはありません。
どれだけの需要があるんでしょうね。









ポポンデッタの電車シリーズに関してはサンプルがいろいろと。
まずはJR305系からの発売となり、夏頃を見込んでいるんだそうです。

アナウンスされている情報を見る限りでは、十分に完成品らしい部品構成が見て取れますが、いかんせんまだ1つも発売されていないので、評価のしようがありません。
これらのサンプルを見てアレコレと語るというのも品がないことになりましょう。
ユーザーとしては「安中貨物」事件も記憶に新しいので、次でしくじると厳しい目を固定せざるを得ないと考えます。
時間をかけて、きちんと対価を感じられるように丁寧な模型づくりを進めてもらいたいところ。
小売店はまだまだ怖くて入荷できないことでしょうから、しばらくはポポンデッタ店舗における直販状態かしら。





クイックレールクリーナー。
効果はいかほど?





スノーシェッドか発売されました。
この形、どこかで見たことがあるんですよねぇ(笑)



中古模型店の時代からだんだんと事業が拡大しており、どこへ向かっているのか分からない気もするポポンデッタ。
Nゲージ完成品(電車モノ)の開発に大きく舵を切ることで、その立ち位置がさらに大きく変わりそうです。



(その3へつづく)



  1. 2019/05/14(火) 08:10:00|
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第58回静岡ホビーショー(その1)

こんばんは。しなのさかいです。




今年もツインメッセ静岡まで、新幹線に乗って行ってきました。
同行していただいた北の扇形庫から先生、線路際の住民先生、お疲れさまでした。



たまには会場前の展示物でも、ということでドカンと一発。





陸上自衛隊・16式機動戦闘車。
うーん、まるで「無防備都市」。
北の扇形庫から先生の解説によればこの戦闘車、時速100㎞で走行できるそうです。
明日の朝、これで出勤して職場の中でいつまでも砲塔をグルグル旋回させてみたいなぁ(ジョークです)。
タミヤはしっかりと製品化していますから、興味のある方は是非。
陸・海・空の広報がフル稼働でアピールされていて、広報予算は潤沢のようでした(笑)




さて、今回は過去に見たことのない混雑ぶりで、土曜日の10時過ぎに会場内に入っても、人身事故後の駅構内のような「身動きが取れない恐怖」を感じるほどだったんです。
単純に来場者数が増えたことも要因なのかもしれませんが、見たところその主たる原因は、どーも入口の目の前にあるトミーテックブースで発生していた、ここ10年間で見たことがない「会場限定品目当て」の行列で、これが通路を圧迫していたんじゃないかと。
当然ながらブース内も行列で満たされており、イベント限定品の難しさを2019年の今、繰り返し認識することとなりました。
ちなみにその目当てであろう品目は、各員こちらでお確かめください。



いつものことではありますが、今回も数回にわたって当方の駄文をダラダラと書くこととなります。
もしお付き合いいただけるようでありましたら、鉄道模型趣味の今後などについて一緒にお考えください。



【グリーンマックス】



京王1000系5・6次車(つまり井の頭線)の製品化発表がありました。
静岡鉄道の新車と同様に、カラーバリエーションをにらんだ展開であることは間違いなく、実際に聞いてみると「そのとおりです」との清々しい回答がありました(ポスターにもその旨が?)。
確実な償却を目指して、設計・開発した金型を効率よく使うことに関しては当たり前のことではあります。
しかしながら、バリエーション展開を単なる「色替え」で済ますことに関しては、ことのほかユーザーの反応がシビアであることも事実です。





JR205系5000番代。
「わーい、武蔵野線だ~」とかそういうことではなくて、カトーが四半世紀に渡って散々製品化してきた205系を「グリーンマックスがリニューアルする」というチャレンジングな企画に、どういった視線を送ればいいのか悩むのです。





当然ながらカトーの205系は設計が古く、細かい作り分けをしてこなったため、現在の水準では厳しい面があることも事実。
グリーンマックスに届く意見には「ちゃんとした205系」の模型が存在しないことを憂うユーザーの声が多かったのでしょう(そんな声があったことを示唆するパネルが展示されていますね)。

しかしながら当方の感覚では、そうした意見はそんなに多くなかったように思います。
「205系はこんな出来でいいんじゃない?」というような、205系に対するユーザーの緩いまなざしが、幸いにも四半世紀前のカトーの設計を許容し続けている…というのが現在の図式ではないでしょうか。
「205系」という形式が模型の世界で低い水準を(今後も)維持して残り続ける、そんな事態を憂慮するというロジックはEVO103系にも通じるところがあり、その意味も分かりますが、多くのユーザーにその問いかけが響いているかどうかはイマイチ疑問なのでありました。
205系教信者だけに説法が届く企画であるならば、一番困るのはその信者の数を知らない小売店ではないでしょうか。





GM仕様の多光源ライトユニットにより、方向幕まできちんと点灯するそうです。
その一方で、やはり「貫通ホロ」が付くことはなさそう。
205系の模型はどうしても貫通ホロに恵まれません。
「カトーの205系に貫通ホロさえ付けばなぁ」なんていうことを考えていた全国の205系ファンの皆さん、残念でした。





今回は8両セットで35,900円+税(核爆)。
これは、カトーの「ななつ星㏌九州」36,500円+税とほぼ同じ価格です。
小売店さんは予約外、フリー在庫分を仕入れることができますでしょうか。
少なくとも「ちゃんとした205系」を望んだユーザーの方は「そんな価格になるんだったら、カトーのでいいや」なんて言ってはダメですぞ~。
繰り返しになりますが、205系の8両セットが平然と「35,000円台になります」とアナウンスされる時代となったことは、事実として認めなければなりませんね。
この価格帯ならプラ製のHOをソコソコ買うこともできそうで、Nゲージのアドバンテージは失いつつあります。





近鉄「青の交響曲」は塗装に関して相当のエネルギーを注いだ旨の説明がありました。
サンプルを見たところ確かにそのとおり、という印象。
買いませんけど。





客車キットとして「スハ32系シリーズ」が展開するかも?
ユーザーの反応を見極めて展開を考えるそうですが、このキット、どう見てもかの「ナ○○イ」のものに見えるわけですよ。
てなわけで直球ストレートな質問しましたが、「ノーコメントです(笑)」とのことでした。
大人の事情がいろいろとあるようです。





かつてはGMとしても後発的にスハ32を製品化していて、僅かな一時期には競合関係にあったと記憶しています。
しかしナ○○イ製品よりも車高が高く、後続製品にしては見栄え的にイマイチでした。
カトーの蒸気機関車が充実している今としては、こうしたラインナップは魅力的ではありますが、いかんせんキットですからその辺がユーザーに許容されるかどうかは微妙。
当方としては、旧型客車はカトー製品一択で不動です。
モ○モ製品として再リリースされたならば、少しはおもしろい売れ方になったのではないでしょうか。





コアレスモーター動力ユニット用の取付アダプタも検討されているそうです。
既存キット製品への取付を普及させ、既存キットの流通拡大を狙っているのでしょう。





ハイクオリティエコノミーキット(旧EVO)の103系に装着するライトユニットがようやく目に見える段階に達しました。
この点に関しては以前から指摘し続けてきただけに、素直にお慶び申し上げます。

さて、このライトユニットをもって、ようやくEVO開発当初のうたい文句である「完成品を越える」に近づくはずなのですが、どうでしょうか。
ここら辺、当方らとは以下のようなやり取りとなりました。

Q 「ボディの天井部分を一部カットして装着する点に関しては」
A 「屋根板パーツで見えませんからザクッとやってください…」
Q 「遮光ケースが思っていた以上に大きいようですが」
A 「それでもなんとか客ドアよりも前に収めることに成功しましたので」
Q 「基盤を縦に入れることが遮光ケースの大きさの要因ではないでしょうか」
A 「方向幕や運行番号を当社が考えるように点灯させるためには床下からプリズムで導光する方式ではダメなのです」
Q 「車高ケースは黒ではなくて淡緑色の方が良かったのでは」
A 「それでは運転台の圧迫感がかえって目立ってしまうので黒を選択しました」





サンプルを見ると、確かに柔らかな点灯具合で幕部が照らされており、実装するだけの意味はあるように感じました(ちょっと奥まって見えるところはアレですけど)。
ただし、どうしても気になることは、ボディにナイフを入れないとユニットをはめ込めないことです。
また、カトーやトミックスでは既に放棄されている遮光ケースの設計思想がここで復活している点も微妙。
点灯具合と反比例してしまうものなのかどうかは設計の領域なれど、素人ながら「本当にそうなのかなぁ」と思ってしまうのですよ。



以前から指摘しているとおり、GMの「完成品」又は「完成品並の完成度を目指したキット製品」には、どうしても「当社としてはここまで」という点が露骨に見えてしまっています。
この残念感が拭えないため、当方の中で同社製品は選択肢とはならないまま、長い年月が経過している状態です。
あえてトミックスやカトーの設計(部品構成)思想を追従しないことをポジティブにアナウンスする向きもありますが、説得力に欠けるように感じます。

あらためて、当方がGM「完成品」類に手を出せない理由を列挙します。
①貫通ホロが存在しない部品構成
②床下機器が左右のガワだけであること(かつてのエコノミーキット系と同じ設計思想であること)
③基盤を縦に入れたライトユニットの装着方法
④バナナ状に曲がったボディ(全てではありませんが近鉄22000系ACEリニューアル車は特にひどかったかと)
簡単に思いつくだけでこれだけの不満(他社製品と比べて「完成品」と認められない理由)があります。

幸いにも(?)、カトーやトミックスの最近の新製品には大きくヒットするものが見えなくなりつつあり、皮肉なことに、ユーザーは買い続けるだけの趣味生活をメーカーから「止めてみては?」と提案されている、そんな格好です。
こういう時期にはじっくりとキットを組むとかレイアウト工事をするといった、よりクラフト的な方向性が伸びやすいと思います。
それならば、ローコストで良質なキットを供給することに特化したメーカーとして存在してくれた方が、市場の中での立ち位置としてはフィットするように感じてしまうのですが…。


(その2へつづく)
  1. 2019/05/12(日) 17:30:00|
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第58回全日本模型ホビーショー(その6・完)

(その5からつづく)


【カトー】

最後はいつもどおりカトーで見てきたことを書いておきます。




1997年にフルリニューアルが行われた20系寝台客車は、2018年に「ゆうづる・はくつる」となっても仕様のマイナーチェンジを施しながら、ちゃんと通用する製品として存在し続けています。
この間、実に21年。
初代製品の発売が1967年とのことですから、カトーの歴史はほぼこの形式抜きには語れないことになっています。

今回は車掌室側のカプラー回りがボディマウントカプラー化され、ジャンパ栓などのディテールが追加。
当方はココを「車間短縮ナックルカプラー」に交換して、これまででベストな表現だと納得してきましたが、再びそのファイナルアンサーが揺れています。
ASSYパーツがうまく手に入ればいいのですが。





カニ21のカプラー回りも同じ。
そして、このカニに連結する機関車が「C62常磐形」なのです。
ブルートレインを牽引する蒸気機関車って、手元に保存しておきたくなる姿ですよね。





立体的な試作品はまだでしたが、図の中ではもう完成していました(笑)
伺っているのは「もうこれは23号機」ということで、「細かいことを気にしなければ付属する他のナンバーでお楽しみを」とのことでした。
22号機などのために、通常の長さの煙突が付きます。
その他、22号機用にスノープラウも付属するそうですが、積雪の少ない「浜通り」地方を縦に通る常磐線にどれだけの耐雪装備の出番があったのかはよく分かりません。
付属するナンバーは19、22、23、24であるとアナウンスされています。

ところで。
23号機だけは「ゆうづる」の牽引を終えた後、平機関区から糸崎機関区へ転籍しています。
なので、複灯をカットしてしまえば呉線仕様にすることも可能のようです。
ちょっとした遊びゴコロなのてす。
少し前のカトーのやり方がこういうところに見られることを知っておくのもいいでしょう。





EF80も、ほぼ生産品に近い状態で飾られていました(Hゴムの印刷がまだですかね)。
ナンバーパーツとボディとの隙間も目立たなく、良い顔をしています。
EF70とEF81の合いの子のような顔は、昭和50年頃の上野駅を思い出させてくれそう。
地上ホーム19番、20番にカニ21が見えた風景も、当方の微かな記憶の中にいます。





唐突感のある「EH500 3次形 後期仕様」。
確かにヘッドマーク掛けが無くなったボディが新たに起こされたようです。
それにしても唐突感があるなぁ。
模型の世界で「何か」を牽引しようとしてたんじゃないかなぁ(笑)







221系リニューアル車については、8月のJAMの時点でこの状態でしたから、特段ここで触れることはなさそうです。
ただ単に、この模型を早く欲しいという理由から再び画像を置いておきます。
これを機に、アーバンネットワークの車両ラインナップを再構築してもらいたいですね。





今を生きるインフレナンバーのPF。
アナウンス内容からは、助士席側窓に取り付けられた冷風装置用ダクトが金型的な新しい点となりそうですが、よく分かりません。
平成が終わろうとしているこの時期の国鉄電機の姿にどれだけの興味を持つべきかも整理しきれていないのです。
しかし「欲しい」と思ったときには何処にも無かったりする、背景に溶け込むような地味なアイテムなので、そう割り切って保険的に手にしておくべきかも。





さて、77系客車なのですが、見本品が現われ始めました。
何処となくE655系のような雰囲気が漂いますが、あいにく実車を見たことがなく、グラビア資料を見る機会も少ないものですから、どうしても「はぁ、そうなるのですか」という受け身。
昨年末の「四季島」は完全にスルーしまして、今のところ、今年の年末の「ななつ星」も同じことになりそうです。
20系と221系でホッコリできそうですから(笑)
もっとも「四季島」よりは親しみのある外観ですから「787系『つばめ』の行き着いた果て」とでも思うことができれば食指が動くかもしれません。
とにかく、脳内で落とし所を探ることがなければ難しい列車です。







近郊型ホームDXは、レール製品を送り出しているメーカーとしては重要なストラクチャーであり、常に供給されていなければなりません。
当然にビギナーはホームの出来を見て支持して、そのホームに対応する線路を決めるからです。

点灯ギミックについては既にJAMの際にお話しています。
今回の見本はそのときよりも精度的に向上したもので、エッジの利いたホームの形状、特に角が尖ったホームが印象的でした。

黄色い点字ブロック部は取り外してホームドアパーツと交換することも可能。
当方は以前、この点字ブロックをマスキングして塗装することに大変苦労しましたから、外せるということは塗装面でも良いことかと。
ただし、点字ブロックが駅ホームで見られるようになったのは1980年代半ばの頃だったと記憶していて、ホーム上家の形状も含めて、似合う列車が限定されるようになっています。
ここに限界を感じる方は、当方と同じように「ローカルホーム」へ逃げてください。



◻︎ ◻︎ ◻︎



JAMから僅か1か月しか経っていませんが、今回もひと通り見終えた後に特別顧問を迎えての時事放談となりました。
長い時間をいただき、ありがとうございました。

相変わらず憂いを帯びた情報交換がテーマとなりましたが、そんな中であっても自分にとって刺激となるお話を伺い、これからどうすべきかといった方向性を再確認することはできたような気がします。



以前から、この業界の世代交代が進んでいることとを指摘してきました。
どうやら我々が親しんでいる複数の活字媒体にもそうした時期が目前に迫っているようなのです。
今まで存在することが当たり前だと思っていたモノが当たり前ではなくなろうとしています。

当方の世代は、かつてそういう世代の方々を「お兄さん」として見て、街の模型店でひたすら彼らの分からない話を聞き、それを学校の仲間にフィードバックしていました。
彼らはそんな世代に当たります。

しかし、じゃあ自分とその下の世代にそうした世代層が続いているかといえば「いそうにない」。

気がつけば平成も終わろうとしており、昭和時代なんて「近代」に含まれつつある勢いです。
鉄道の使命も大幅に変わり、先日の台風のようなことがあれば直ぐに全線運休として「お客様におかれましては、後は自力でどうにかしろ」という、始めと終わりが揃わない妙な文法が通用する時代となっています。
鉄道が無くてもなんとか移動できるはずでしょう、と鉄道自身がアナウンスする時代となったのです。

都会においても鉄道が社会インフラとして必須ではなくなっているのだとすれば、鉄道「模型」の捉え方なんていうのもどこか無味無臭なものに変わらざるを得ない。
それは避けて通れないことなのかもしれません。

今、こうした流れの中、局面で、鉄道趣味の世界における世代交代の波が訪れていることになる訳です。

「鉄道」の一体何が、どこが楽しいのか。
こうした論点で、一度深く再検討されるべきなのでしょう。









ショーの翌日は、上の娘の高校の文化祭。
毎年見に行っており、高校3年生の今年が普通の流れで見に行ける最後の機会となりました。

で、この高校、あの「鉄道模型コンテスト」に毎年参加しているのです。
今夏の結果は既にRMMで把握していました。
その成績は誌面で学校名しか載らないくらいのもの…。
毎年同じ結果なので、まぁ驚くことはありません。

ただ「どうしてそうなったのか」ということは、現物を見てみないと分からないものなのです。
だから実は、娘の様子を見に行くことよりも「そちら」に楽しみを置いているという秘密があったりします。
目指すは「鉄道研究部」。




見ました。
これはヒドイ。
3年間見てきて一番ヒドイものでした。
鉄道があるシーンを切り取ることを最初から全く放棄していて、おおよそギャラリーの「ウケ」を狙った作品であることが分かります。
もちろん、作り込みも雑。
アクセサリーのスケールが統一されておらず、オブジェとしか言いようがありません。
下の娘と一緒に見たところ「全然意味がわからない」とのコメントで(まぁ毎日自宅で別の作品を見ていますから、ウチの娘たちに限っては発言権はあると思います)、それだけ何をやっているのかわからない作品なのです。


こうなってしまう要因は様々で、挙げるとキリがなさそうです。
ただ、1つだけ挙げるとすれば、それは審査する側、そして部活の指導者が「鉄道のあるシーン」を思い描けていない、ということかと。
だから奇抜な発想でつくられたレイアウトを評価するしかなく、それを見た生徒達はそういう作品を目指す(しかない)。
もはや、ボード上に線路を必要とする説得力はなく、なんならSFの世界を描いてから申し訳程度に後から線路を置けばいいのです。

鉄道シーンを描けない大人の気持ちを忖度して、わけのわからないブツをつくる高校時代の夏。
もしそれが入選したならば(もちろん中には優秀な作品もあります)、それは「学校の特色」として大人の世界でアピールのツールとして扱われ、それを指導した大人の評価へつながり、部活予算が割り当てられる。

当方は、回数を重ねてきた今の「コンテスト」にそうした悪循環があるように見ています。
最初の頃は、たとえ下手でも、製作者が見つめているシーンに感心することが多くありましたが、今のコンテストではその傾向が少なくなりました。


「世代交代」の影響は、こうした指導の場においても現れているようです。


ではまた。
  1. 2018/10/06(土) 22:00:00|
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第58回全日本模型ホビーショー(その5)

(その4からつづく)


【マイクロエース】





相鉄9000系は、ネイビーブルーになったリニューアル車が発売される「久しぶりの新製品」。
屋根のRの付き方が大人し目かなというのが我々の感想ですが「では9000系に見えないか」というとそういうことではありません。
フロントガラスとボディの合い方は…大丈夫なのでしょう。
出来るだけツライチとなっていてもらいたい部分です。
カバーが外れた先頭部のカプラーは少し飛び出し気味?





スカートと台車の間がスカスカですが、これはそのとおりなのでしょう。
車高は十分に低くなっていて、標記類もたくさん印刷されていますから、横から眺めていてもニヤけてしまいます。





こちらはリニューアル前の方。
このブルーとオレンジのコーポレートカラーも好きだったんですが、早くも棄て去られことになりそうでなんだか相鉄らしいなぁと。

相鉄ファンにはご馳走のような9000系。
価格も抑えられており、ヒットの予感がします。
12000系、そして20000系あたりは「ん?」と思い始めている模型メーカーも居るんじゃないかと。
実車の世界と合わせて模型の世界でも「相鉄」は話題のひとつとなっていきそうです。
それにしても、つい先日発表された20000系のあの顔がJRに入って埼玉方面へ向かうことになるとは、恐ろしや。





阪急電車については、こうした古い顔の車両を見ていると、なんだかひとつくらいは必要なんじゃないかと思い始めてしまい、非常に良くありません。

銀色の窓枠がマルーンのボディに効いていて、阪急らしさがある模型のように見えます。
カトーの6300系は小窓が付いたりしてもさすがに古い模型ですから、価格さえ目をつぶってしまえればこちらの方が手にしたときの喜びを感じられそう。

あ、当方は買えませんのです。





蕨の狂犬が放つ恐怖の客車2両セット!
今回はスユ42!
2両で9,200円!
さぁ、買った買った!

以前のマニ30では2人のユーザーでシェアする購買行動が流行ったそうです。
残念ながら当方はパートナーを見つけることができませんでした。
欲しい人は店頭でプラカードを持って、知らない人にシェアを誘うということを…
やめた方がいいですね。

こういう客車がカトーでは1両1,000円台でリリースしているのです。
その一方、スユ42の製品化企画が今のカトーから出てくることは、なんとなくなさそう。
なんともかんともです。





南海50000系は、これで4回目?
前回は「改良品」と銘打っていましたが、今回は「更新車」となるそうです。
模型的に大きい変更点は、運転台パーツが新規に起こされたこと。
床下機器も?

ラピートはグレーのケース、そして木箱を始め、市中に大量の中古品が出回っていて、特に水色のケースは件の「改良品」とそうでないものの2つが出回っていますから、非常にややこしくなっています。

もしかして「ラピートファン」が買い直し続けるだけの企画になっていませんかねぇ。
そして、中古市場が「旧ラピート」のゴミ捨て場になっていませんかねぇ。

マイクロエースの“改良品”(価格高騰に対するエクスキュース)は、こうした不幸な買い方の連鎖を引き起こしているようで、とても気になっているんです。
救済パーツもリリースしてくれると「メーカー」としての評価はランクアップするのですが、旧製品のアップデートを許すと、メーカーとしても売上(受注・生産数)を落とすのでしょう…
でも、どこかでのバランスを考えて欲しいのです。
ユーザーに買う体力がなくなってしまえば、それはそれでメーカーとしても困ることでしょうから。
相鉄9000系の価格を抑えた今こそ、会社としての方針を「ベストリニューアル」してもらいたいです。



【グリーンマックス】



近鉄22000系は、先日の4両編成に続いて、冬頃に2両編成をリリースするそうです。
当方、グリーンマックスの完成品を一度も買ったことがないと繰り返し申していますが、この4両編成だけはグラグラっときたんですね。
「おっ、ついにオレも?」(笑)

しかし横から見ると「やっぱりボディがへの字に曲がっている」。
連続窓のある車両だと、金型の中で材料が巡るルートが連続窓の部分を回り込む必要があるらしく、そこに密度的なムラがある、だから収縮する…ということは以前にも書いたことがあります。

今回、そのようなことを話題にさせてもらったところ、材料を流し込んで固まってから直ぐに金型から外さず、十分に冷やしてから対応すれば、収縮することは防げるとのことでした。
でも、そうすると生産時間が長くなり(ボディ1つを成形するサイクルタイムが長くなりますから)それはすなわち価格に跳ね返るんだとか。

当ブログで「トミックスのキハ183系550番台がバナナになる」と指摘してから5年間経ちます。
しかし、この点をトミックスもグリーンマックスもブレイクスルー出来ておらず、どこかもどかしいのです。
カトー製品では、こうした現象はそれほど見られないんですけど…





名鉄の電車も勢いをつけて製品化しています。
今回もその傾向に変わりはないのですが、メーカーとしては「オセロでいう角のところ」を製品化していないという意識を持っているそうです。

「オセロの角」が何を指すのかは皆さんのご想像にお任せするとして、当方からは「運転台がニョキっとした方をやられたらいいんじゃないでしょうか」とコメントしておきました。
わかりにくい会話を披露して申し訳ございません。





グリーンマックスがJTのようなネタをやると、こういう列車になるんですね。
今までのラインナップからすれば分かります。



当方がいつも通りの見方をしたのはここまで。
ここから先は、グリーンマックスとしての市場での立ち位置を伺いながら、いろいろなことを考えてしまった、そんな話題になります。





まずは「着色済エコノミーキット」なのです。
今さら板キット…という感想もありますが、それでもこうしてリリースするには狙いがあるそうです。

例えば、このぶどう色。
従来のGMカラーの「ぶどう色2号」ではない、新しく開発した別の色で着色しているそうです。
「青15号」と共に「違うだろ~!」という某前議員風な声は元々多く存在していて、その事をよく分かっていることからの措置だとか。

また、客車キットは1980年代に床下機器の表現を見直していて、機器をフリーな位置に接着する仕様になっています。
それぞれの機器の表現は、ある意味一番詳しく表現されているとも言えましょう。
こうした点を他社完成品と比べて「アドバンテージではないか」と捉え、成形色の選択、その上への着色と合わせてもう一度これらを市場に流すことにしたんだとか。

それだけではありません。





「ハイクオリティエコノミーキット」という聞き慣れない名称は、従来のEVO製品の仕切り直しを表すもので、未塗装キットだけでなく塗装済み仕様もリリースして、もう一度、普及を図るつもりだそうです。





以前から申しているとおり、当方は、2000年代にリリースされたJR西日本の103系、それから京急(旧)1000系のような、ユーザーのちょっとした手間でキットが完成品に化ける、そんな製品こそがグリーンマックスとしての立ち位置として相応しいと思っています。

確かにキットは面倒くさいし、上手くいく保証もありません。
失敗したら買い直すか、そのままゴミ箱へ…ということもあるでしょう。
しかし、自分が納得できる形で完成させることができれば、意外とそれはそれで長く所有するものなのです。

これらのキットにはライトユニットも用意されているため、組み上げれば完成品に劣る点はほぼありません。
「鉄道コレクション」とは大きく異なる点はココです。
アオシマの超巨大プラモデルだって「組んだら凄いことになる」ことをユーザーにイメージさせられるからこそ、売ることに関しては成功しているのです。
だから「組んだらちゃんとライトが点灯する」というメッセージまで流されたら、否定のしようがありませんよね。
それは組んだら「完成品」と同レベルまで持っていけることを示しているのですから。

こうした車両を組んで、ときにはサードパーティからリリースされるインレタやパーツ類を反映させてアップデートを続ける。
こうなると、完成品のようにすぐに中古市場に手放すことはなさそうですよ。
残るライトユニットさえ用意できれば、この103系キットにはそういう世界のハブになる可能性があるため「是非ともライトユニットの早期開発を」とお願いしました。
その気はもちろん「ある」そうです。
繊細なHゴムの表現など、103系の各部位はうまく再現されていますから、名称変更をもって息を吹き返してくれるといいですね。




繰り返しになりますが、ライトユニットを用意して「買い集めるだけの趣味」に対する1つの対立軸を打ち立てることができるとすれば、この企画は良い方向に進むと思います。
よく雑誌に載る「たまにはキットを組んでみようよ」というだけの価値の提案では、軸を打ち立てることにはならないでしょう。
多くのユーザーは、あくまでも完成品のレベルこそが仕様としてのゴールだと思っているはず。
そのレベルが、送り手であるキットメーカーによりちゃんと約束されていることが大事。

後は安定供給と小売店の理解でしょうか。
後者は特に大事。
こういう製品を上手く売ることができれば、そのお店は良い売り方をして、良いユーザーに支えられている、ということなのでしょう。


(その6・完へつづく)

  1. 2018/10/05(金) 22:50:00|
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