しなのさかいの駅前広場

細かいことばかりでよく分かりません。

第56回静岡ホビーショー2017(その5・完)

(その4からつづく)


【続・カトー】



リレーラー線路がリニューアルされるそうです。





で、そのリレーラー線路を応用して(?)新アイテム・踏切線路が登場します。
警報機及び遮断機がダミーです。

実際のところ、電動踏切の開閉ギミックもリアルかと問えば「ムムムム」となるので、このような割り切り方もいいんだと思います。
当方は苦労してグリーンマックス製品を塗り塗りしたところで、完成させた後で棒の太さにガッカリするという思い出を作ってしまいました。
棒だけ見ればこちらの方がいいです。
なんなら移植しようかなと企んでいます。





車止め線路はマークが点灯式に。
電車区などでズラリと並ぶとかっこいいでしょうね。





そして、単線デッキガーター曲線鉄橋の続編。
今度はR481ということで、昨年のR448と組み合わせれば複製にもなります。

それと「円錐台形橋脚かさ上げキット」なるものが!
R448が発売されたときに設定された円錐台形橋脚に下駄パーツを履かせて、手軽に高い鉄橋を楽しみましょうというもの。
ユニトラック床面から100㎜または120㎜の高さを作ることができるそうです。

カトーは車両とのコラボで切り取ったような「風景」も商品にすることができるから、ついつい、こうして共感もしてしまうわけです。
3色を設定して、8月発売予定と告知されました。
今度は飯田線じゃなくて伯備線かな?





こちらはレイアウト関連です。
新しい「水」の素材が発売されるようです。

これまでカトーでは「リアリスティックウォーター」という定番商品があり、多くのユーザーがその名前から手を伸ばしていたと思います。

実を言えば当方もその1人で、かつて水入れ直後の水田を作るときに利用しました。
しかしこれ、とろーんと流した後は異常に硬化速度が遅く、というか、どちらかというと「ずーっと柔らかいまま」で、積もるホコリは取れなくなるし、おじさんの人形を差して立たせておいたら数日後には倒れて溺死している(リアリアリスティックウォーターに取り込まれている)という事件も。





作例をちゃんと確認してきました。
カチンカチンに硬化しており、そうですねえ、水面はスマホの画面を操作するときに指紋が残るような感じ。
当方のレイアウトでは、現在グレインペイント・アクアシリーズで水面を表現していますが、やっぱり水の底が見えるというのは楽しいです。





次はストラクチャー。
なにやら面白そうな案内が。
総本山とFALLERのコラボなんですね。





外国製のストラクチャーって、使えそうなモノがあっても手に入らなかったり、目の前に売っていても日本の風景に置くには自分の頭の中のイメージが乏しかったりで、結局、今まで手にしたことがありません。







「高原のホテル」は、もはやレーティッシュ・シリーズの世界にはベストマッチですから、むしろレイアウトの世界が外国型ストラクチャーに寄り添うこととなった、と解釈した方がよさそう。

跨線橋や高架下のファサードパーツは、なるほどこう見せられれば確かに日本の風景にも溶け込みます。
こういう工作物や土木構造物は安定供給されるといいのですが。特に国籍を問わない工場系のストラクチャーとかって、使えそうと気づいても手に入らないことが多いのです。




さて、どうしても興味が高くなるのは今後の車両模型の展開です。
今回は、静岡としては久しぶりに会場発表がありました(タイミングを静岡に合わせたということですよね)。




碓氷峠廃止20周年に合わせ、廃止直前まで峠を越えていた車両たちがよみがえるそうです。
2006年にも、EF63や489系が発売されてにわかに「碓氷峠ブーム、再びか」と色めき立ちましたが、残念ながらそんなに盛り上がらなかったのも事実でした。
489系とプチリニューアルの189系だけではトミックスのラインナップに対して弱く、不戦敗状態だったと記憶しています。

今度は、189系をフルリニューアルし、さらには115系1000番台までもフルリニューアル。後者は2010年にプチリニューアルを施していたので「まさか」という感じでした。
ついでに14系「能登」も。ハザのリニューアルはどうしても期待大。
EF62後期形はいつどのようなタイミングで登場するのかと考え続けていましたが、その答えは「JR時代」だったんですね。





今回、EF63はJR仕様ですから、前面にはC’無線アンテナが立ちます(EF62も同様)。
棒を立てて山を登るんです。
さて、この棒。
トミックスのようにジュラコンでやられると塗装(着色)が出来ないので、トイっぽさ満点なのです。なんとかならないかなあと思います。
つい先日には早々とASSYの内容が公開され、ワンパーツ構成であることは確定しました。
飯田線旧国の幌も素材を変えたことで黒く着色もできるようになりましたし、クモユニ74や101系のジャンパ栓だって同じ。
どうか柔軟な発想をお願いします。

それと、多くのユーザーが不満に感じているはずの、間伸び感がハンパないカプラーも大問題です。
こちらも情報公開されたASSYパーツとして「密連型#2」用の新しいカプラーが起こされる模様ですが、サイズは従来型と同じで、車間が短縮する見込みはなくなりました。
無念としか言いようがありません。





これまでトミックスが守備範囲としているJR時代をあえて選んできたので、トミックス製品に対するユーザーの不満、そして後発としてのこだわりが感じられるとよいのですが。

もちろん、1997年の碓氷峠も古き良き思い出ですから、トミックスの碓氷アイテムを持ちながらも手を出しそうな予感がしています。
しかし、そんな消費行動の中でも、納得感というか、すっきりした気持ちは持っていたいもの。
後発アイテムなのに「どうしてここをもうちょっとこうしなかったのか…」という要素が見られると、ストレートにマイナス評価につながりそうです。



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その他、いろいろとお話を伺いました。
いつも本当にありがとうございます。

5月はカトーの決算期であり、5月末の出荷額で様々なデータが固まります。
したがって、昨年の6月からこの5月までのラインナップをユーザーとして振り返ることが、そんなデータとリンクすることとなります。

で、残念ながらこの1年、ドキドキとワクワクを感じるポスターや「製品化を望んだことなんてなかったけど思わず買いたくなるようなアイテム」は少なくなりました。
このことは、鉄道模型趣味における説教や説法、ユーザーが自分の範疇に収まり続けずにもっと外に目を向ける「きっかけ」が少なくなったことを意味します。
近年のカトーは、市場におけるそのような役割を担っていたはずでした。



2017年。

現実の世界で鉄道を楽しむことはさらに難しくなり、夜行列車は壊滅状態、移動は新幹線であっという間、という具合です。
なので上野駅は、もはや本来の機能を失い、山手線の1つの駅としてしか存在しなくなりました。

一方、JR北海道の経営問題では、社長の投げやりなコメントがニュースになる度に、楽しかった頃の北海道の思い出がズタズタに切り裂かれるようで見ていて辛い。
「もう鉄道はいらないからバスで」という某市長が現れたことで、その辛さは極まりました。
北海道の鉄道は、もう“過去の姿”で楽しむジャンルなのです。

撮るものもないし、乗り鉄の旅をするにしても第三セクターばかり…。
その代わりに世間へ話題を振りまいているのは、一生乗ることがなさそうな“豪華列車”たちだったりします。
地域の活性化には有効でしょうが、あまりにも意図的で、その存在も飛躍感があり過ぎです。

その点「鉄道模型趣味」は非常に特殊で、現在から過去の時代までを幅広く捉え、過去の出来事でさえ、あたかも「今、起こっていること」のように包み込むことができています。
このことは今に始まったことではなく、昔からずーっとそうなのです。鉄道模型趣味をやりながら「懐古主義だ」と断じてしまうと、おそらく“その先”へは進むことができないでしょう。
自分が楽しむ鉄道模型に「文明」ではなく「文化」のテイストを吹き込めるかどうかは、この辺りがポイントとなっています。

だからこそ、企画して製品化する時代、レイアウト上に設定する時代はもっと柔軟で幅広く捉えてもいいはず。
何も、デビュー間もない通勤車や、落ちぶれた最晩年の(本当はボディが傷んでボコボコな)姿を“さようなら○○セット”として製品化しなくてもいいんだと思います。
「青函トンネル」はH5系じゃなくて50系「海峡」であるべきなのです。


2017年度は、カトーから、また頭をガチンと殴るような、「え、何を考えているんだ?」と騒がしくなるようなアイテムが登場して欲しいですよね。
このときの騒がしさ、にわかに起こるどよめきと右往左往して調べ始める行動、混乱こそが「文化」の胎動です。
間違っても、続出する「豪華列車」がNゲージ化されませんように。
鉄道の価値や面白さを“手っ取り早く”捉えようとすると、直ぐに胡散臭い「文明」的なものとしてユーザーに解釈されちゃいますョ。

「そういうことではない」ということが本稿の趣旨でした。








わかりましたか、○○シくん?



ではまた。

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  1. 2017/05/19(金) 22:50:00|
  2. 鉄道イベント
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