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「20年後に見る西の世界」編からつづく)
1年に1回は関西地区を旅行していた学生時代。
その頃は、JR西日本の新快速運用に221系が投入された直後。
当方は、その国鉄時代を感じさせないスタイリッシュなデザインだけでなく、「快速」というよりは「特急」というカテゴリーに近い120Km/hによる運転に、もの凄い衝撃を受けたのでした。
さらに、モーター音が甲高く響く車内から北側を見ていると、じわじわと六甲山地が近づいてくる…。
こうした、当方にとってのJR神戸線(東海道本線)の心象風景は、足を踏み入れなくなった20年間、ずっと心の中に強く刻まれたままだったのです。
ですから、Nゲージで新快速の車両が発売されるたびに思わず手を伸ばしてしまう。
模型を手にすることで、現地に行けなくても、せめて自分の頭の中でそんな風景を再現しようと、そうし続けていたんだと思います。
鉄道模型、特にNゲージには、そうした効能があると思っています。

当たり前ではありますが、そんな心象風景を、20年の時を経て現実の世界で再生される車窓が近づいてきて、ちょっとした高揚感を覚えました。
大船あたりでは似ていても味わえない、不思議な感覚で、この風景を見ずに帰ることなど想像できません。
この後、だんだんと家並みが近づいてきて、急斜面を流れる川がいくつも見えるようになってきました。
懐かしい展開。

そして、阪急電車が並走するようになると、神戸の中心・三宮。
背景には新神戸の街並み。
通勤電車が並走するシーンは、その電車に乗っているとどこかドラマチックで、その地域の生活の断面を観察しているような、豊かな気分になります。

京都から1時間弱もお世話になった223系2000番台を見送りました。
どうでもいい話ですが、三宮の高架下にはどうやら炭火焼肉のお店があるらしく、ホームに立っているだけで、その煙で包み込まれてしまい、ブランドイメージのある神戸にしては大した歓迎方法だと(笑)
しかも、まだ日曜日の午前中なんですけど。

それから、貨物専用線が多い関東ではあまり考えられませんが、この区間は都心部の繁華街であるにもかかわらず貨物列車が往来しています。
この日もこうしてEF210-305が、無動力のEF210を次位に連結して走り去っていきました(立場が逆のような気もするけれどこれでいいんですかね)。
東京に置き換えるとすれば、日中の有楽町や新橋のあたりを走り抜けている感じ、でしょうか。
とにかく似ていて異質。


ちょっとだけ改札の外に出て、開店時刻を迎えたばかりのホビーランドぽち・神戸店を強行偵察。
「ぽち」の取扱品にも地域のカラーが出ていて、見ていて面白いなと思いました。
特に、事業者限定「鉄道コレクション」は、店舗ごとに違うモノが山積みになっていて、「熱が冷めて弾け飛んだ方がこの地方にもいらっしゃるのね」という生暖かい目で見てしまったり。
こういうところも地域観察のポイントでしょう。

それにしても、六甲山地を背景に、ひっきりなしにコンテナ列車が行きかう姿が気になって気になって。
山、繁華街、そして長大な高速コンテナ列車。
関東の者にとってはどう見てもアンバランスであり、新鮮な風景です。
できればこんな中にEF210が走る姿を撮影したかったのですが、あいにく時間切れでした(ここで撮影のために粘っていては、旅でなくなってしまいますので)。
まずは、こちらの地域全体を見ることが今回の旅の第一の目的ですから。


「明日も来ることだし」と思い直して打ち切り、再びJR神戸線へ乗り込みました。

運転台にある表示器、カッコいいな。
同じモノをチャリンコに付けて街をかっ飛ばしたいです。


再び新快速に乗って尼崎まで戻りました。
尼崎駅ホームにぶら下がる「尼崎」の看板は、JR神戸線、JR宝塚線、JR東西線の3色そろい踏みで、一度見てみたかった物件。
ちょっとした名所、ですよね。

ここからJR東西線に乗り換えて、終点である京都府の木津(といってもほとんど奈良)まで漂流することにしました。
20年前に関西を訪れたときは既に開業していたものの、乗ることなく帰ってしまったので、学研都市線(片町線)を含めて今回が初乗車です。
Nゲージの世界で「片町線」というと、オレンジバーミリオンの73形電車だったりするので、そんな固定観念も払拭しなければなりません。
そんなことも狙い。
ところで、JR東西線は、開業までの長い間は「片福連絡線」と呼ばれていました。
片町と福島とをバイパスするから「片福」。
その片町駅も消えて(大阪城北詰駅に代わって)から20年が経ちました。
そんな経緯を知る人もだんだん少なくなっているのでしょう。
「片町駅」と「湊町駅」の存在は、子どもの時は本当に謎でした。
それにしても、尼崎から奈良方面へ一気に移動できるなんて素晴らしいです。
この発想はどことなく関東風で。

乗り込んだのは207系のリニューアル車。
パッと見、207系とは気づかなくて、これはなんだろうと2秒ほど考えてしまい。
まだ初日であり、JR西日本の車両に触れただけなのに、走る電車が実に多様で、頭は大混乱。
国鉄が解体して、各社で独自の車両を持つようになったのですから、そりゃそうなのですが。
というわけで、尼崎からは地下に潜ったのでした。
(つづきまーす)
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- 2018/03/05(月) 20:00:00|
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