しなのさかいの駅前広場

細かいことばかりでよく分かりません。

第57回静岡ホビーショー(その3)

(その2からつづく)


【トミックス ・トミーテック①】

ここではしばらく「立場が逆になってきた」と評してきたトミックスとコレクション系のトミーテック本体についてです。

今回はトミックスにチョットした、新機軸を打ち出そうとする動きも見えましたので、その辺を交えながら振り返ってみます。





まずは185系の新規製品でしょう。
ショーの前日に発表した新製品のメニューには入っていなくて、あえて「会場発表」としたところにメーカーとしての目の置き所、ユーザーへのアピール性の捉え方を想像します(ユーザーへどう響いたのかは不明)。

ユーザーの問い合わせが殺到したのか、実はパネルの下には「全車両、車体を新規金型で製作」という注意書きが添えられており、1980年代の模型の再生産ではないということが確認されました。

数年前から「トミックス がやるらしい」という噂を聞いていて、いつかはそうなるんだろうなと思っていましたが、とうとうそのときが来たみたい。
これまでは決定版となる185系がなかなか生まれてこなかったので、185系ファンの方は30年越し、待望のフルリニューアルとなります。
あまりにも活躍の期間が長くなったため、185系をイメージする姿がユーザーの中でまちまちであることは確か。
そういうときはね、「フルフル」からやってしまえばいいんですよ。





「ヨンサントオ50周年企画・ヨンサントオがトミックスで甦る」という新基軸、新企画が打ち出されました。
どことなく、ちょい前までのカトーの企画のにおいがしますけど、よく考えるとやや違います。
着目した時代は良くても、例えば、まだまだ「人」がいる風景が見えてこないのです。

それぞれの列車にどんなドラマ(走行路線の特徴、列車の輸送使命、すれ違う列車たちなど)があったのか、そんな掘り下げ方があると、ユーザー側の「そうか」という“気づき”もあって、話題が大きくなると思うのです。
残念ながら今のところ、そうしたザワつきは見られません。

昭和43年10月、そのとき新たに設定された列車はコレとコレ…では、時刻表の中の記号としての列車でしかありません。
送り出す方として「金星」や「やまばと」「あいづ」をどうやってプロデュースするのか、その答えを是非とも聞いてみたい。
まさかまさか、各方面の列車をとりあえず1つずつチョイスしただけ、ではないですよねー。





「四季島」は2018年の冬に発売するとの再発表がありました。
史上最高のクオリティを目指すため、今一度、やれることの全てを再検討しているそうで、その言葉を信じれば「相当なもの」が出てくるみたい。

しかしですよ、2年連続で、冬の商戦の中の小売店に並ぶ四季島って、コレどうなんでしょう。
小売店にとっては一種の地獄でしかなく、ユーザーとしても「いい加減にしてくれ」です。
もし、そのときに何か「別の」モノが並んでいたら…ねぇ(^ ^)

そういうリスク、無駄になるかもしれないエネルギーの注ぎ方がなんとももったいなくて、そもそも「四季島」なんていうUFOのような物体に興味すら持たない当方からすれば、2社分を合わせた金型の数で私鉄特急を3つくらい出して欲しかったりするんですが…。





その「四季島」のことを受けて話題にしたいのが「パンダくろしお」。
結論からすれば、トミックスの稿で指摘するのはとても酷なのですが、それはご勘弁をいただくとして、どうもおかしなことになっているのが、その価格なんです。
メーカーがアナウンスしている本体価格(つまり税抜き価格)を見ると、トミックスは24,000円。
対するカトーは19,000円で、その差は5,000円と結構大きい。
一方、発売時期はトミックスが5月、カトーが7月となっていて両者の開きは狭い。

お小遣いを握りしめて買いに行くと思われるこの車両の購買層を考えると、発売時期に大差はなく、価格差5,000円はとてつもなく大きいと感じるのではないでしょうか。
大人が悟すシーンを想像するのです。
「あともう少し待てば、5,000円も安い“パンダくろしお”が買えるんだよ」

なんだか「四季島」と同じようにこちらでも市場全体で無駄なエネルギーを使っているようで、見ていられません。
この「くろしお」は、E235系のように、自社製品として必ずラインナップに加えておかなければならないアイテム、とは少し違います。
そしてまた、カトーの方の製品化のきっかけは皆の知るところです。
製品化発表の時期は共に昨年の12月ではありますが、カトーの方が僅か数日だけ後でした。
新しい金型を起こす訳でもなく、単に印刷工程を増やすだけの話ですから、たとえ子どもからの要望があったとしても、カトーの方でバッティングを避けられる企画だったとは思うのです…。
小売店はどういう発注をかけているのでしょうね。





近鉄21000系「アーバンライナーplus」。
新規設計での登場となるようです。
1980年代の私鉄特急も味わい深くなる時代となりました。
グリーンマックスも近鉄特急の製品化を盛んにやっていますけど、完成品模型としてのクオリティから選ぶとすれば、やはりこちら。
前回品を買っていませんので、近鉄名阪特急の面白さを理解した今としては、正直に申しまして「欲しい」アイテムです。

この流れで小田急7000形LSEもフルリニューアル化してもらいたいと思うのは、当方だけではないはず。
カトーの展開もサッパリですから…ねぇ。





チャリンコが入る209系も、内装パーツの金型を起こして製品化されます。
こういうアイテムこそ「タイプ」で済ませちゃえばいいと思うんですが、こだわりがあるというのはとにかく良いこと、でしょうか。





「エルム」と銘打っていても、要は「北斗星」客車のさらなるバリエーション展開。
24系の種別については、2000年頃までフォローし続けていましたが、晩年になってサッパリわからなくなりました。
トミックスさん、これまでに製品化した24系客車だけのカタログを刷ってもらわないと、もう買う意味が見出せないですよ。





こちらも同じ。
キハ183系は、実車と同様に模型でも形態分類がちんぷんかんぷんで大変なんです。
多くのユーザーは「まりも」だと思うよりは、新しいキハ183系車両の詰め合わせセットだと解釈しているのでは。
スラントノーズの先頭車は「スーパーとかち」に使用されていた200番台の若い方で、方向幕の位置がこれまでの製品と異なります。
こういう細かい差異のある車両をセットでブッ込んでくるのは、できればやめてもらいたい…


ふと、1982年のとある出来事を思い出しました。

自宅から少し離れた場所に「くりや」というおもちゃ屋さんがありました。
放課後、仲間同士でチャリンコに乗ってガンプラ探しのパトロールをしていたときのことです。
バンダイのガンプラ、1/144「リックドム」がしれっと置いてあると思ったら、なんと不人気だったアオシマのイデオンプラモ、1/610「ドグ・マック」(ナンダソレハ)をヒモで縛って抱き合わせて売っていたのです。

仲間は女店主に「頼むからドムだけ売ってくれ」と懇願していましたが、案の定ダメでした。
初めて「大人のズルさ」を感じたその経験は今でも深く残っています。
独占禁止法第19条と公正取引委員会の業務内容を知ったのは、その15年後のことで、その頃には当の「くりや」はもうなくなっていました。



話を脱線させましたので、元へ戻しますよ。




前回のエメラルドグリーン、常磐線快速仕様が瞬殺だった103系1000番台は千代田線乗入れ仕様で登場。
カトーの営団6000系やマイクロエースの小田急9000形とはベストマッチで、足りない最後の1ピースが登場するようです。
後退角のついたフロントガラス辺りにかっこよさがあると思います。





20系…じゃなくて、あくまでも24系の電源車だそうです。
そういえば、カトーの20系では「日本海」で車掌室の表現が見直されました。
その点を意識したのか、電源車ですから正面窓から見える配電盤のランプを点灯させるギミックを思いついたようです。

といっても、ある意味「ズルい」設計なんですよね(笑)
光源はテールランプのところにあるので、そこから垂直に導光材を立てればよろしい。
配電盤の点灯箇所なんて、どっちみちそのライトがオーバースケールですからテキトーでもわからないんじゃないかしら。
それでもこんなところに魅力を感じる方は、これからトミックスの20系客車を買う資格があります。
当方は、もうカトー製品だけでやっていきます。
カトーの牽引機の性能とセットで考えれば、まだまだカトーの20系の設計に不満はなし。
90年代のカトーの20系客車の基本設計の高さを改めて実感しています。


(その4へつづく)

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  1. 2018/05/16(水) 23:00:00|
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