しなのさかいの駅前広場

細かいことばかりでよく分かりません。

再び伊那谷の終点へ

「奈良井のケーキと馬籠の夕焼け」編からつづく)




12月30日(日)。
2018年の年末、極まれり…という日であっても我が家はまだ昼神温泉にいました。
チェックアウトの後は、2年前に訪れてみたら意外にも楽しかった神坂神社詣でをしようということになり、山坂道を登坂開始。

その途中では「滝見台」に寄って「皿投げ祈願」をしました。
お休みだった門前屋さん(滝見台の下にあるお店です)の御厚意でお皿を買うことができたのは幸いで、その場でマーカーを借りて書き込み。





当方のお皿には、これまた例によってこんなことを書いておきました。
だいたい御利益はあるようですので、皆さんも試してみてください。
ただし園原まで足を運ぶ必要があります。





もう一度、地図で位置関係を確認しておきましょう。
神坂神社周辺が中央自動車道・恵那山トンネルのほぼ真上であることがお分かりいただけると思います。
伊那谷の南端は様々に解釈できますが、少しだけ西へ転ずる形で、ここも「端っこ」と言えるのですョ。

「ヘブンズ園原」は阿智村のスキー場で“夜になると満天の星空を拝むことができる”という触れ込みでロープウェイ(ゴンドラ)を営業しています。
そういえば前日の夜、宿ではミニツアーが催行されていました。





神坂神社、再び。
参拝者など誰もいません。
巨大な杉の木が何本も天に向かってまっすぐに伸びていて、まずはこれが目に入ります。
あたりは静けさが漂っていて、鳥の鳴き声か風の音くらいしか聞こえてきません。
そして天気は冬晴れで、午前に広がる空は真っ青で。
こういう場所、「とっておきの場所」と言えましょう。





特筆すべきことは、神社の横に「古代東山道」が美濃へ通じていることなんです。
だからここにこうした社があるのも理解できますよね。

実質的には登山道のようなもので、神社前の駐車場へ車を置いて、ここから徒歩で神坂峠へアタックする人もいるみたいでした。





かつても「この先にはみやこが…」なんていうことを考えて登っていった人が大勢いたのでしょう。
昔も峠越え、国境越えのプロセスにはそんな高揚感があったに違いありません。

このか細い道が、数百年後には真下にある恵那山トンネルに置き換わったことになるわけで、長大トンネルに何らかの想いを馳せる方がいればいいのですが、おそらく大体の方は「なげートンネルだなぁ」というマイナス思考でハンドルを握っているのでは。
「その真上にはこんなドラマチックな場所があるのですよー」と教えてあげたくなりますよね。
そんなことをいろいろ考えてしまいました。





神坂神社から麓に戻る途中では再び「信濃比叡」にも立ち寄りました。
ここは「比叡」の呼称が全国で唯一許された知る人ぞ知る、という場所です。
あの「不滅の法灯」も分灯されていますし「根本中堂」もあるということで“ミニ比叡山”な感じ。

12月30日というお正月前の半端な日ですから、やはりここも我が家だけでして(2回目の訪問ですから分かってはいたことです)。
でも逆に、住職さんには「年末に来られることはとても大事なことですよ。よく来られました」ということで歓迎され、まぁ座っていかれなさいとのことで、般若心経を唱えることの意味を教えてもらいました。
まさか今回の旅で般若心経を知るとは思っておらず、ちょっと得した気分になりました。

教えてもらった後、娘たちには「アウトドア般若心経」の存在もそっと教えておきましたが、そちらにはあまり興味を示しませんでした。





ここから南アルプスを望むと、いにしえの旅人の気分になれます。
この景色は間違いなく数百年前も同じですね。





信濃比叡の住職さんに歓迎してもらえる意味も分かるんです。
こうして「ヘブンズ園原」を眺めれば、この日もやはり家族連れと思われる車で駐車場が埋め尽くされていまして。
一般論として、温泉宿をチェックアウトすれば、まずはこういうレジャースポットをめざすものなのでしょう。
鬼怒川温泉と日光江戸村たちのようなものです。
それなのに我が家は、あえて誰もいない隣の尾根を登っているのですから(笑)

でも、こうした所で見る方が、同じ景色でもより良く目に焼きつくんじゃないかなと思ってみたりします。




その後は伊那谷ドライブとなり、ドライバー以外は寝たり起きたりの繰り返し…





「だったらば…」
せっかくなので飯田線の空気を少しでも吸って帰ろうと考えて、七久保駅に寄ってみました。
あいにく列車が来る時間帯ではなかったので、駅の観察だけです。





豊橋方を見て…






辰野方も見て。
当たり前ですか、やはり列車が来る気配などなく。
のどかな風景が広がっていて、帰りたくなくなります。

前述のとおり伊那谷は「谷」といってもV字状の木曽谷と比べてとても緩やかな谷で、どちらかというと盆地のような感覚です。
ただ、この飯田線の七久保付近は、谷の中腹を縫うように走っているため、駒ヶ岳方面から吹く空っ風が「ゴーッ」と駅を抜けて街の方へ降りていきます。





南アルプスを見るならこの季節…という気持ちになります。
こうやって駅名標と重ねて見ることができる七久保駅は、当方にとっては間違いなく観光スポットであり、313系が入らなくても絵になると考えます。
さすがに訪日客はここまで来ないでしょうから安心してまた来ることができそうですね。





「グリーンファーム」でお正月用の野菜をたくさん買って、その駐車場から見た南アルプス。
冬の伊那谷は見どころがたくさんあります。


ところで「グリーンファーム」はこの冬、隣の敷地に建屋を新築して移転するそうで、もうほとんどその準備が整ったようでした。
オンボロ(失礼)の佇まいが大好きだったのですが、空調も整うようですからそれはそれで良いことなのでしょう。
移転しても店頭で販売している大学イモはやめないでくださいね。
それから骨董品の販売も。
今回は国鉄時代のポイント転換表示器が20,000円で売られていましたが、ノリで買うものではないなと戒めて、そのまま帰りました。
興味のある方は伊那へ急行してください。





伊那谷のもう片方の「端っこ」は諏訪湖。
ここへ到達することで、神坂神社から北上して地形的に伊那谷を縦走し尽くしたこととなりました。





日没まではもう少しあるようで、上諏訪温泉の宿泊客が手持ち無沙汰に湖畔を散歩していました。





その後は我が家の庭のような甲府盆地へ。
「小作」竜王玉川店でシメの“ほうとうタイム”となりました。
店内は家族、いや「一族」と言えそうな多世代ミニ団体客ばかりで、「この地域では年末にほうとうを食べる文化でもあるんかいな」と思うくらいの混雑ぶりで。
いろいろと観察してみるものです。





ダメ押しのおみやげは、談合坂SAで買い求めた台ヶ原宿金精軒の「くるみ信玄餅」。
内容だけでなくデザインも優れています。



以上が2018年の締めくくりでした。
お付き合いいただきありがとうございました。
ではまた。



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  1. 2019/01/18(金) 22:30:00|
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