しなのさかいの駅前広場

みんな考え始めているようです。いろいろと。

Nゲージとお金の使い方・2021年9月(その2・完)

(その1からつづく)






次は青組・トミックスの新ポスター。
2枚発表されました。

幅広い層に対する話題性にあふれていて、先月と同様に眺めていても楽しい構成となっています。
全てをトレースしていたら「その5」くらいまで行ってしまいそうなので、適当に当方の興味からチョイスさせていただきますね。
それにしても、ちょっとアイテム数が多すぎるんじゃないかしら…





215系は長い間、マイクロエース製品しかなくて、中古市場でもソコソコの値段となっていたようです。
潜在的な需要があった、ということなのでしょう。
カトーのSRCのように先頭車がM車になってしまうところは仕方がないですか。

今、このタイミングで「215系」というカードが切られたことには大きな意味があると考えます。
24系金帯「あさかぜ」、209系、185系、251系。
これらは全て、ここ2年程度で新製品あるいはリニューアルで製品化された、1990年代の東海道本線・東京口の車両たちです。

トミックスがあの頃の風景を展開していこうとしている意図は見えてしまっているので、今回の(どちらかと言えば奇抜な)215系という企画がエイッと打たれたことは、「まだ足りないあの車両」を浮き立たせてしまう結果となったのではと。

・113系 …ゲテモノサロのバリエーションを含めて新展開?(カトーの113系ではやらなかったし)
・211系 …依然として貫通幌も付かない1986年に発売された旧世代仕様のままですから(基本的には)

トミックスの企画としてその先の伊豆半島まで見ているかどうかは分かりませんが、仮にこれらが「東海道本線・伊東線・伊豆急行線」シリーズなのだとしたら、さて、今後どうなるでしょうか、というドキドキワクワクな話です。





HG485系の展開もすさまじい。
ポスターを見て「こんな車両もあったのか」と気づくユーザーも多いのではないでしょか。
元「ビデオ特急」のクハ481の床下をきちんとひな壇状にするなんて。
それから、極めて個人的な好みなんですが、緑一色の「KIRISHIMA EXPRESS」は待っていたんですワ。

カトーが行っているJR九州の車両への肩入れは、どちらかと言えば「現在その辺を走っている車両の姿」を模型化することに集中しています。
当方としては今回の485系のような時代設定の方が見ていて心地よく、できれば九州新幹線の開業前までの方がいい。

トミックスのJR九州の車両の展開を見ていると、次に手を加えられる車両は、キハ71系「ゆふいんの森」あたりではないかと予想します。
そのときは、フロントガラスのワイパーを表現するなどのプチリニューアルが行われると、表情も引き締まってイイですね。
もちろんM-13モーターも搭載でございましょう。





京都地区の117系は「銀河」、100番台、トレインボックスの和歌山色に続いて、もう第4弾(?)
「その1」で触れたように、トミックスだって既に100番台のボディを持つこととなった訳ですから、JR東海の車両を「それだけは絶対にやりません」てなことはなさそうと考えます。

これまでのトミックスの国鉄型車両の企画を見てきた者としては、そのバリエーション展開に「もうやめた」という中途半端な点を見たことがなく、むしろ「根こそぎ」感のようなオソロしさを見ています。
その結果なのでしょうか、最近はちょっと前の日本各地の風景をトミックスの車両たちで表しやすくなっていて、アイテム同士の関連付け、リンクもうまくいっているようです。
「床下のATS-P機器箱を再現」ということで、そこまでやる…んですね。





DD51のリニューアルが発表されました。
前々回の「だいせん・ちくま」の稿で予想したとおり、リニューアルが行われることとなりました。
これは比較的分かりやすいスジでした。
リニューアルの詳細はメーカー公式に譲るとして、これにより「だいせん」はもちろん、先に発売された「出雲2・3号」にもようやく牽引機が登場することとなります。

さて、このDDのリニューアル展開。
既存製品を全てひっくり返す可能性もあり、これまでに当方としてはあんまり歓迎できないやり方と述べてきたのですが、このDDに関しては中国製という点をリセットする必要性から、ある程度の理解はしているところです。

で、リニューアルの恩恵にあずかる次のアイテムはなんだろう、と。

真っ先に頭に浮かぶのは、北斗星色のDD51。
品番2215のままということはまずないでしょうから、早晩こちらも今回のフォーマットでもう一度製品化されると妄想します。
となると、このときに連れてくる客車は何か、という先読みに(またです)。
北斗星の客車はほぼ製品化しつくしたようですから、何らかの理由による再生産的な企画となるはずで、そう考えると前回の生産から適度な間隔が生じているのは「夢空間」でしょうか。
それから、トミックスでは(でも)E233系で銀色の塗料を進化をさせましたから、この塗料技術を使用したE26系「カシオペア」の再生産もあるのではないかと妄想しています。

さらには、2007年に発売された「さよなら出雲」。
さよならシリーズの中では評判のよいセットでしたから、いずれはJR東日本の「出雲」も再び製品化されるのか、とか。
ただ、このときにカニ24-100の手すりを別パーツ化させることができるかどうかが注目点です(先の金帯「あさかぜ」の惜しい点でした)。

その他、DD51を軸にした客車の再生産的なやり直し企画はいろいろありそう。
しばらくはこうした妄想と結果発表の繰り返しになるかもしれず、客車の細かい仕様変更は必ずしも歓迎できませんけど、時代や地域をキリトッた面的展開には話題の拡張性を窺う機会が増えそうです。





ついに、50系快速「海峡」。
2000年にマイクロエースが製品化して21年が経過しました。
その後、2011年にはベストリニューアルもありましたっけ。
50系客車を持つトミックスがなかなか製品化せず、カトーが51形客車まで製品化したにもかかわらずなかなかやらない、というもどかしい時間が経過していましたが、ついに、とうとう、ようやく、やっとです。

ED75のリニューアルが行われた時点でED79のリニューアルも時間の問題となっていましたから、そのときに一緒に連れてくる客車編成は「北斗星」ではなくて「海峡」、というニオイは無意識のうちにしていたのかもしれません。
オマケにED76-551まで連れてくるということで、先月にカトーが発表していたタイプ品が…

今後に14系500番台の「海峡」を予定していることも告知されましたし、この後に51型の「海峡」が予定されていることも勝手に想像できてしまいます(ED76-551の製品化は“レッドトレイン”という列車の存在も想像させますから)。

“一本列島改正”の思い出をまとめて企画しているようで、イチユーザーとしては「このまま、どこまでもいっちゃってください」。
14系「八甲田」も登場しますし、パノラミックウインドウのキハ27で“真夜中”的な何かもたくらんでいるんじゃないかとか。
さらには485系3000番台も新モーター等で再生産?
キリがないので、ここらへんでやめておきまひょー。


その他は省略します。



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今回のエンディングです。

「その1」の冒頭で申したとおり、Nゲージ趣味における「お金の使い方」には、他者とのコミュニケーションという、普段は意識していない目的もあるのではないか、ということが当方の仮説です。

手元のお金をプラスチックの物体と交換するという奇妙な営みについて、他者と意見を交わしながら自分なりの結論を出す。
そして、お金と交換した物体を手に入れた喜びを誰かと分かち合う。
お金の使い方を巡って、誰かさんとの結びつきが生まれていく、ということです。


でも、こうした「誰かさん」がいつも近くにいてくれる、と思っていたら、いつの間にか学校のクラスメイトとは卒業後に疎遠となり、気軽に立ち寄っていた「街の模型屋さん」も閉店、そして常連客同士のつながりが消滅、という過程はよくある話。
鉄道模型コンテストで奮闘している高校生たちも、いずれは社会人となって、一人で趣味を続けていく(しかない)局面を迎えることと思います。

このプロセスを想像すると、毎月メーカーが発表するポスターは「いなくなった友人たち」の代わりとなっているようでもあり、独り言のように「買います」「コレ欲しい」「イラネ」などと(脳内だけを含めて)反応する様は、これもまた「対話」のあり方の一つなのかもしれません。

そして、メーカーとの対話の中にある“同意”という反応は、究極的には「お金を使う」ということとなるのでしょう。


さて、「いなくなった友人たち」「消えた常連客」の代わりとなりうるポスターは、今どんなメーカーから発表され続けているのでしょうか。
思わずお金を使ってしまうくらいの「欲しいんだったら買ってくださいよ」という語りかけは、迷惑なものでありながら、やっぱり楽しいものですよね。



ここまでのお付き合いをありがとうございました。

ではまた。


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  1. 2021/09/13(月) 18:00:00|
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