しなのさかいの駅前広場

スカ色がたくさんやってくる月末

Nゲージとお金の使い方・2021年12月

おはようございます。しなのさかいです。




今年も寒くなりましたね。
滋賀県・マキノのメタセコイア並木がなかなかの見頃になっているそうで、関東平野から羨ましく思っていたら、近所にも立派な並木がありました。
秋の色や風景は、例外なく心が和みます。


さて、今回も井戸端会議のお時間となったようです。
いつもどおりに当方の駄文を並べてみますので、御自身の財布の中をのぞきながら、いろいろと考えてみてください。
お時間がありましたらお付き合いの程よろしくお願いします。





カトーからは、11月26日に2枚のポスターが発表されています。
その1枚目がこちらでした。

「早くも」という月並みの言葉から始めることをお許しいただくとして、予想どおり、早くもEF61のカラーバリエーションが20系ブルートレインとともに登場するそうです。
前回でも触れたとおり、茶色いEF61は青い客車との組み合わせが印象深いので、これはこれで違和感のない企画。

ただ、ユーザーの受け止め方は微妙に賛否が分かれているように見ていますが、どうでしょうか。
前回に発表された「青色+荷物車」よりも、まずは斜め上的にこちらから立ち上げて、しばらくした後で「青色」を企画していたならば、この「茶色」は、ユーザーにはもう少しポジティブに受け止められていたような気もする訳です。



茶色いEF61が特急を牽引していた期間は1962(昭和37)年10月1日からの僅か1年間という短い期間でした。

その後、1963(昭和38)年12月20日からは全ての九州特急が15両化される動きとなり、牽引機はそれまでのEF58から480トン牽引のEF60 500にバトンタッチされました。




そのEF60が今回引き連れてくる20系客車は、1964(昭和39)年3月20日から運行された「あさかぜ」の編成で、2号車に「みずほ」から捻出されたナロネ22を組み込むことで15両となった姿。
このときから翌年の10月までの1年半は「ロネ」と「ロ」が編成中の50%以上となるデラックスな編成となり、後の有名な「殿様」編成と並ぶ同列車の完成形、ということのようです。
電源荷物車がマニ20からカニ21に変わっているところも、新聞輸送の発達を見て取れるポイントでしょうか。

こんなところが今回の企画の狙い、ということみたい。





カトーのEF60 500は、1999年にパンタグラフ付のカニ22が入った「さくら」(品番10-367)とともに発売された旧製品(品番3025)がありました。
そのときから23年ぶりのフルリニューアルで、早い話が、先行して2009年にフルリニューアルされているEF65と同じように車長が適正化されることがメインのようです。
こちらは予測できた展開だったでしょうかね。





そして20系客車。
昨年の春に発売された「20系寝台客車 7両基本セット」(品番10-1591)ついて、もしかしたら今のカトーは古い車両を記号として見ているのではないか…と憂いましたが、今回はそんな懸念を払拭してくれたようです。
当方が「殿様」編成と違った点で華やかだと思う点は、「ロネ」「ロ」「ハネ」の他に、しんがりに「ハ」も2両連結されていたところ。
史実では、まもなくこれらの「ハ」も寝台車化されてしまうのですけど、旅費が少ない出張ビジネスマンへの配慮など、サービスのバリエーションが豊かだった点は、続く14系や24系の“ニューブルートレイン”には見られなくなった点で、今でも20系客車の魅力を引き出している存在だと考えます。

そして何よりも、カトーの20系客車の美しい仕上がりには中毒性があるというか(笑)
仮にトミックスが20系を製品化するとしても、ああはならんでしょうねっていう感想です。

一つ残念なのは「初期編成」というサブタイトルで、やっぱりかつての「初期あさかぜ」と紛らわしい。
「小窓あり」や「トイレ設置車」のような事務的なにおいもして、もう少し何か思いつかなかったのかという気もします。
ちょっと前には「『安芸』〈1967〉」なんていうネーミングセンスが見られたものですから。



さて、1964年頃に博多を目指していた特急「あさかぜ」を介して、その他にどんな列車が見えてくるでしょうか。
こんなところが重要になってきます。

当然ながら今回の「あさかぜ」は博多を目指していた訳ですが、ちょうど同じ頃、東海道新幹線が開業した1964(昭和39)年10月1日には、151系も新幹線連絡特急として博多を目指すこととなりました。
直流電車が自力で下関から先へ進むことはできないので、ED73(15-22号機)とサヤ420という「おたすけメカ」に牽引されたというのは有名な話。
ずいぶん前にワラビ方面で木箱封入による野心的なセットが発売されていましたけど、あの奇妙な編成は改めてNゲージの世界に刻んでおいてもらいたい。

また、茶色いEF61は、遡って1962(昭和37)年5月の広島電化によって、151系「つばめ」「はと」のセノハチの補機としても活躍していました。
先頭のカプラーを181系100番台「あさま」のクハ180ど同じようにどうにかしていただければ、こんなシーンも再現できそうです。

これらの制約は、151系の「181系化」や481系の登場により僅かな期間で解消していきますが、しかしながら我が国の鉄道シーンの中に強烈なビジュアルを残した訳でありまして、カトーの企画で紡いでもらえればいいなぁと思う次第です。

ここら辺までの展開があるならば、喜んで今回の「あさかぜ」企画を「買います」が…
どうなんでしょうね。





こちらは再生産。
「あさかぜ」と対比した現代の寝台特急という位置付けのようです。
特に取り上げる話題もないので省略させていただきましょう。
当方は前回の生産時にこのダブルパンタの285系を手に入れました。







一方でトミックス。
12月9日に開示されました。





こちらは以前のライブ配信であった担当さんの宣言どおり、1980年代の列車を企画として攻め続けているようで、今回は1982年6月23日の東北新幹線開業をもって再編された「北海道への旅路」を、当方く新幹線開業40周年にちなんで展開していくとのこと。


で、その旅の第一ランナーは「新幹線リレー号」。

トミックスの185系は、まだまだ展開の余地がありそうで、全てに付き合うには相当な財力(とインレタ転写のお時間)が必要でしょう。
そろそろ「自分にとっての185系」をどの時代のどの塗装の編成にしたらいいか、決めていく頃合いではないかなと考えているところです。





こうした視点はかつてのカトーのやり方そのまんまなので、まずは好意的に見ていますけど、今回示されたラインナップにはどこか惹きつけられる魅力はありませんでした。
やはり東北・上越新幹線の誕生は、上野駅の様子であるとか、旅の楽しみ(苦しみ?)を少し減退させてしまったような、鉄道ファンから見ればやや負の出来事だったような気がします。

もちろん485系1500番台も「待望の」ではありますが、サシが抜かれた連絡特急「はつかり」というのはどうも…

「旅」というテーマの切り取り方と、過去をリアルタイムで知るユーザー層のバランスの取り方の「ギリギリのところ」という答えが、この辺りだった、ということなのでしょうか。

185系200番台「新幹線リレー号」が7月、200系が8月、485系1500番台「はつかり」が9月、そしてキハ183系0番台が10月ということで、ずいぶんと気が遠くなるような先までまとめて予定が公開されました。



ところで。
どうでもいいことなんですが、今回のポスターを見ていて思い出したことがあります。
それは、西村京太郎氏の『札幌着23時25分』という1983年刊行の小説です。

十津川警部が、航空ストの日に札幌地裁まで証人を連れて行くというロードストーリーで、途中暴力団からの激しい妨害(というかもはや攻撃?)に会いながら札幌を目指すお話なのですが、確か今回のポスターに登場する列車たちは、この小説に見事にシンクロするのではなかったかと。
御興味がありましたら是非。
読んだ後でポスターの内容を全て欲しくなったとしてもお許しください。

西村氏作の同じようなロードストーリーで『特急白鳥14時間』というものもありますが、これもまたエンターテイメントとしては楽しめる内容となっています。


今回は情報量が少ないので、ここまで。



□     □     □



エンディングです。

カトーは青いEF61に引き続いて茶色いEF61を登板させ、これに関連付けて、まだまだ鉄道が面白かった時代のシンボル的な列車をパシっと打ってきました。
つい最近、151系「こだま・つばめ」を再生産したばかりですが、「あさかぜ」と共演できそうな列車として再度企画し直していただければなと。
今回の「あさかぜ」が最近のカトーでは見られなくなってきた〈面的展開〉の一歩であることを祈ります。
まさか単なる色替え企画でおしまい、ってなことはないですよねぇ。

その〈面的展開〉をかつてのカトーのように積極的に仕掛けているのが今のトミックスで、とうとう、札幌までの旅のファーストランナーとして「新幹線リレー号にご乗車ください」とユーザーに語りかける大胆さも見られるようになっています。
来年の10月、全ての列車を乗り継いで無事に札幌まで辿り着けるユーザーはどのくらい居るでしょうか。

いずれにしても、身銭を切る買い物が「次の何か」につながることが大事だとは繰り返し申してきたつもりですので、やはりトミックスの企画の立て方には注目してしまいますし、カトーには再びそういう芸当ができるようになってもらいたいですね。
「どうせ売れない」と結論づけることは簡単で、そう思えてしまうモノを売れるようにする仕掛けづくりにこそ、ユーザーは「いいぞー、もっとやれー」と声援を送るのでしょうから。





いよいよ年末です。
思わずほっこりしてしまう、品質の良いアイテムを手に入れることができるとイイですね。


ではまた。

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  1. 2021/12/13(月) 09:00:00|
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