しなのさかいの駅前広場

四季島に旅情は感じない

第56回全日本模型ホビーショー(その4・完)

(その3からつづく)


【カトー】



ちょうどこの記事に更新する9月末は781系、HB-E300、日本海が出荷される頃です。
なのでこの子たちは別の機会にということにしまして、来月以降に予定されているアイテムを見ていきます。





来年1月発売予定の西武701系が、もうこうして存在しています。

101系初期形の赤電とは異なり、今回が正真正銘の「東京近郊の青春時代」をあらわす西武の赤電。
このカラーは、忘れがちな東京の近い過去を語るものとしてウッテツケですね。
並ぶ5000系レッドアローは初期形。ショーではポップまで掲げられていて「売るなら今からだ!」という雰囲気。
既にこの初期形を手にしたユーザーは、来年1月をゆっくりと待つことにしましょう。

この二つの列車の並びを見て、やたらと土色が目立つ畑とか、屋根のないホームに並ぶサラリーマンの出勤風景とか、そんな情景が目に浮かぶようでしたら立派な西落合の信徒です。
そのサラリーマンたちは、集団就職後に東京に居を定めた新しい住民たち。想像は膨らんでいきます。

台車はTR11。
両開きドアを備えるボディとは釣り合わない、チグハグな姿が眩しく見えます。





EF70は、今月末の「日本海」に乗り遅れて来月上旬に出荷されます。いろいろあったようです。
この展示品は出荷される製品そのものとのことですのでご安心を。

EF65Pのときに、フロントのHゴムをボディ側に表現すると聞いてヒヤヒヤした思い出があります。
このやり方は、カトーのELにおける過去の設計方法で、ガラスパーツをはめ込んでもボディの断面(つまりボディのカラー)が見えてしまうのが心配だったんです。
しかし、実際に発売されてみるとそんなことはなく、Hゴムとほぼツライチになるようにガラスパーツがはめ込まれており、さらにはこのことがセンターピラーを繊細に表現することに成功。かえって惚れてしまう模型となりました。

今回のEF70も同様の設計がなされているようで、フロントの雰囲気がとてもいいと思います。窓の下の銀色の色差しも効いていますね。
まさに北陸本線の再現には必須。
最近のカトーの機関車は後々に「買っておいて良かった」と思えることが多くなってきました。





D51標準形(長野式集煙装置付)。
プラ製品なのに、なんなんでしょう、この重々しさは。





ちらりと見えるデフ裏側の補強線も全体をリアルに見せることに一役かっています。
そしてキャブ屋根を越えた石炭山盛りの姿。
これにより、正確には中央西線を塩尻へ向かう姿しか再現できなくなったということのようです。
なおさら2両は必須、という訳。
上手いなー(笑)





上から見ても情報量が多くて、ふた昔前の金属製品を見ているよう。

国道19号をかっ飛ばして走る車を横目に、架線のない木曽路をゆっくりと登っていくD51の姿。
急行ニセコや伯備線石灰輸送列車と並んで、日本の蒸気機関車史のワンシーンに挙げられます。

東と西とで全く表情の違う中央本線。
比較文化論的にも楽しめる西の路線をとことん味わい尽くすのなら、これも今のうちに、でしょうか。
くれぐれも「うわーん、買っておけば良かったよーん」とならないようにしないと。
そういう日は来るんだと思います。



IMG_9118.jpg

この秋の飯田線シリーズのうち、車両のほう。
80系はホントにリニューアルされます。
テールライトの大きさ、窓の天地寸法などなどが適正化され、サボ受けの表現も追加されてちゃんと「飯田線仕様」となります。



IMG_9127_201609262109483db.jpg

増結2両(6両セット)の方のモハ80の貫通路閉塞。
てっきり貫通ホロと一体化されてはめ込まれるのかと思っていたら、専用ボディ金型を起こしてくれました。



IMG_9133.jpg

クハ86の横顔。
車高も問題なし。ベンチレーターも別パーツ化により浮いた雰囲気を楽しめます。

比較的新しい旧製品であった80系ですが、飯田線シリーズの波に乗ってフルリニューアルです。
だんだん伊那谷の列車が賑やかになるのはウキウキしてきますよね。



IMG_9128.jpg

テム300も、もうスタンバイOK。
ますます黒い貨物列車の屋根のバリエーションを楽しめます。

貨車のラインナップもここ数年で脇役からメインアイテムになりました。
カトー製品だけでガチに貨物列車を楽しむこともできそうです。





東急5050系4000番台・渋谷ヒカリエ号。





そして、サウンドカード続々登場。
インバータ系の電車のプログラム、フォーマットは完成しているとのことなので、この展開のようです。
313系などはタイムリーな製品化。
先のE233系のカード、そして313系用、223系用と抜き差しを繰り返すと、東京から姫路付近まではサウンドを鳴らしながら運転することができます。
熱海とか米原でカードを差し替えて興奮するという趣向です。
サウンドカードは出費も小さくて済むので、手持ちの車両たちを生き生きと復活させる、良い投資と言えそう。
いずれにしても「遊んじゃわないと損」ということになります。


その他ですが、12月頃に発売される313系は、初期車の特徴となる前頭部窓枠の太さを再現するそうです。
つまりガラスパーツを新規にするということ。
こだわりにこだわりが重ねられるようで、後攻のトミックスの313系は、この先攻カトーのこだわりとバリエーション展開についていけるのでしょうか。





そうです、飯田線に帰りましょう。
なんだかエヴァンゲリオンのラストのような気もしますが、そういうことなんだと思います。
魂は伊那谷へ。





さすが某有名モデラーによる作品です。
発売予定のカーブ鉄橋セットを、キチンとカーブしなければならない地形の中に置いています。
展示台のようなモジュールレイアウトなのにエンドレスになっていて、見ていて退屈しません。

それにしても、カトーの新165系は、これからとてつもない未来を見せてくれるのですよね。



* * *



西3ホールを離れた後は、今回も特別顧問を迎えてのNゲージ文化論・時事放談。
最近とこれからの、この趣味のあり方や楽しみ方を考える時間へと移行しました。


ここ5年くらいの間に、景色や鉄道シーンを思い出させる車両の模型が多くなりました。
まだまだ足りない車両はあると思いながらも、手元に「風景とセットで楽しむべき車両」が増えたのはまぎれもない事実であり、こやつらをケースにしまったままにしておくのは、どう考えても「もったいない」。

これまでどおり、足りない車両の発売を祈りながらも、今こそ、地面を耕す時間を増やしていくべきなのかもしれません。

そして地面の耕し方は様々です。
ワンシーンをディスプレイ台として作って、いざという時だけお座敷レイアウトに組み込むのも良いでしょう。
伝統的な900×600ミリの小型レイアウトでもいいですね。今は窮屈さを感じさせないコンパクトな車両、列車の模型があるのです。
大きければいいというものではないようです。

その方向の中で「今だからこそ」必要なことは、風景に対する確かな観察力でしょうか。
車両のディテールだけでなく、情景全体に説得力を持たせることも新しいトレンドかと。
そーいうレイアウト作品、最近は増えています。





そのためには、地形や産業を観察する基礎体力が必要です。
不思議なことに、42年前の『シーナリィガイド』には、そうした“教え”がたくさん書かれていました。

「鉄道模型コンテスト」にはエンターテイメント性、ネタ狙いのレイアウト作品があったりしましたけど、やはり高校生なのですから、そこは…。
顧問の先生方、ご指導をよろしくお願いします。



またもやいろいろと考えてしまいました。
Nゲージの楽しみ方はレイアウトづくりだけじゃないと思われる方もいらっしゃるでしょう。
「価値の押し付け」と指摘されれば反論のしようもありません。
もちろんココの内容は当方のポエムなので。

しかしその一方で「イイモンを結構な量、もう持ってんじゃん?」と言われて気付くこともある訳です。
押し付けと受け止められた方は、とりあえず今回はその程度の問い掛けとしてスルーしておいてください。




静岡に始まり、有明に終わる夏。
どんなに厳しい暑さの夏であっても、このショーが終わる頃には秋の気配が感じられるから不思議です。
これからの快適な気候の中、自分の趣味のこれからを考えるのは当方にとっての恒例行事であり、ご馳走かも。
過去を振り返ると、当方はだいたい秋に何かをやり始めているんです。
さて、今年の秋は、どんなことを考えてみましょうか。


ではまた。

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  1. 2016/09/30(金) 08:30:00|
  2. 鉄道模型イベント
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

やっばりKATO

隠密です。
いつものことながら詳細なレポートをありがとうございます。
レポートというより論文ですね(;^_^A

TOMIXは40周年、KATOは50周年だそうですが、元々HO派だった私には昔のN製品の知識はほとんどなく、???という感じです(;^_^A
そのHOもキチンと楽しむことなく、プラ製品は未開封のまま中古市場へ引き取ってもらったものが多数…。
それなりに楽しんだのは昔々のカツミの製品くらいでした(;^_^A

Nに転向して9年が経ちましたが、そんな短い期間でもNゲージ製品の発達というものはスゴイものを感じます。

とくにKATOは物語性があり、ファンを惹きつける力がスゴイと感じています。
車両とともに、サウンドやストラクチャ、シナリーをも提供してくれるなんて、HO時代には考えられませんでした(;^_^A

線路システムに関しては、バリエーションで不利と言われるユニトラックですが、お座敷での使いやすさと33mmという複線間隔がなんと言っても魅力。
今後、単線PCの製品化が進んでくれると良いのですが…。

さてさて、D51長野仕様がほぼ完成品と同じ状態で展示されたようですね。
あの重装備のD51が、ついにKATOから…、今からワクワクです。

山盛り石炭で進行方向が決まるんですか??詳しくないのでわかりませんが…(;^_^A

80系、これも期待が大きいですね。
こうなると旧製品を残すが手放すが、迷ってしまいます(;^_^A
現行の80系も良くできていますし…。

サウンドカード、やはりインバーターはフォーマットができているので展開が早いですね。
抵抗制御車に関しては開発に苦労していると聞いていますが…。

「飯田線」に帰ろう。
このフレーズは、都会の人向けだけではなく、信州が故郷の人にも通じますね。

飯田線は南信地域ですので、私の潜伏している北信地域とは別県のように風習などが異なりますが、山に囲まれた地域というのは共通なワケで、近年の飯田線シリーズにはついつい引きずり込まれてしまいます(;^_^A

暑い夏が終わり、朝夕は涼しく、いや、寒くなってきた信州。
9月30日は、志賀高原の山では初霜や初氷を観察したそうです。

この秋、どのようにして模型ライフを楽しみましょうか…(^^)
  1. 2016/09/30(金) 22:24:14 |
  2. URL |
  3. 隠密 #oKzxZbq2
  4. [ 編集 ]

渡らずの川モジュールを走る165系は、最高のディスプレイでしたね!
飯田線に帰ろう 素敵なキャッチフレーズです、製品化の際に車両と社会の関連付けながら展開させた飯田線シリーズの成功の一因だと思います。
この路線に変化が変わらなければ、トップメーカーの在庫は安泰といったところでしょうか。
  1. 2016/10/01(土) 07:17:14 |
  2. URL |
  3. 線路際の住民 #-
  4. [ 編集 ]

完成品モデルには「語る力」が必要

隠密さん

D51の石炭は、「山盛りにする理由」を考えるとそうなります(笑)
とにもかくにも、そういうことを思い出させたり、「なぜだろう」と考えさせたりする仕掛けづくりが今の鉄道模型業界にはある程度必要です。
それはどうしてかというと、模型屋さんでのアナログ的なつながり、年上の常連客の話に一生懸命となってついていく、そしてその内容を知ったかぶりしてクラスメイトに話す(笑)…、そのような経験や体験が無くなってしまったからなのです。
鉄道模型誌もここ10年くらいは「あれが出る、これも出る」で続いてきましたが、その結果が今のすさんだNゲージ市場です。気が付かない間に中小私鉄の信じられない車両まで製品化されていますよね。だから次々と車両は手にしても、ユーザーの頭の中ではそこからの応用の発想がない。そして「放置プレイ」。

ネット通販全盛の今、昔のような模型店が復活してくるとは思えません。なので、模型メーカーなり、模型誌なりがそうした役割を代替的にになってくれることを願うしかないのです。
車両の完成品モデルにはそうした「なぞかけ」を付属しておいてもらいたい。「なぜ、これを製品化するのか」をプレゼンテーションできないアイテムには、それなりの魅力しか感じませんから。

あ、また難しいことを言ってますが、隠密さんのおっしゃるとおり「物語性」が必要なのです、今こそ。
さーて、次回の「狙われた信州」はいったいナニ???
  1. 2016/10/01(土) 12:38:38 |
  2. URL |
  3. しなのさかい #-
  4. [ 編集 ]

線路際の住民さん

そうですそうです。「飯田線シリーズ」がカトーのこれまでのシリーズと違うのは、車両だけではなく飯田線を丸ごとつかんでしまおうとたくらんでいること。だから面白いのです。
ある日突然「おわりです」とならないよう、ユーザーの声も大きくしていかないといけません。
  1. 2016/10/01(土) 12:42:09 |
  2. URL |
  3. しなのさかい #-
  4. [ 編集 ]

KATOの車両がTOMIX等より写真映りが良く撮影されているのは、単に被写体がガラス越しから近くに置いてある為に撮影し易かったからですか?
  1. 2016/10/04(火) 16:41:26 |
  2. URL |
  3. 安芸亀山 #-
  4. [ 編集 ]

どうもトミックスブースは撮影しづらいです

安芸亀山さん

はじめまして。
おっしゃるとおりでして、トミックスのブースに比べるとカトーのブースではガラスに近いところに目玉製品を置いてくれるので撮影がしやすいということがあります。
トミックスはいつも奥の方に置かれていたり、回転台に乗っていたりと撮影しづらいのでひと苦労します。この対策として一眼レフを持っていきましたが、結局うまく撮影できなかったなと反省。結局は腕次第だと思いますので、諸先輩方のブログをご覧くださいまし。
  1. 2016/10/04(火) 19:03:01 |
  2. URL |
  3. しなのさかい #-
  4. [ 編集 ]

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