(「ハイタウン石切(後編)」編からつづく)
いろんな発見があった石切から新生駒トンネルに吸い込まれたその後は、近鉄奈良まで一直線に…
と考えていたところで、ここで気まぐれが再発。
生駒に着いて、勢いでヒョイとホームに降りてしまいました。
抜けてきたトンネルの反対側の様子を少しだけ観察しておきたくなった、というのがその動機です。
今見ておかないと、次がいつになるかわからないし…。

なんだか石切側とは全く雰囲気が違っています。
先ほどよりも陽射しが遮られているということもありますが、石切よりも“人口の多さ”が伝わってきました。

降りてみなければわからないこと、地図だけではわからないことってこういうことだと思うんです。
何がわかるのかというと、けいはんな線のトンネルから出てきた7020系にレンズを向けた、そのすぐ横には、都市近郊の日常が見える、ということです。
あんなに標高を稼ぐプロセスを経て、あんなに長閑な石切の風景があって、さらにはあんなに長いトンネルをくぐったというのに、不思議なことに都市近郊の風景が広がっている。
神戸電鉄のときと同じように、関東に住む者としては順序がおかしい気がして、常識が壊されることに楽しさを感じました。

駅前も都市近郊そのもので、「鹿のバス」も待機しています。
だんだんわかってきたことなのですが、近畿地方は関東地方と異なって、山々が点在するためにこうした展開が見られるようです。
そういえば、1日目に乗ったJR大和路線でも王子を過ぎた辺りで大和川と併走する区間がありました(昔、ナイトスクープで川下りするやつをやっていましたね)。
あれも通勤路線の途中にある風景とは思えないし、2日目のJR宝塚線の武田尾付近もそう。
今回の旅では、こういう地勢的な発見とか再認識が大きな刺激となりました。

けいはんな線は大阪市営地下鉄・中央線に乗り入れている…と大阪港の件で書いたところ。
その反対側がココということで、再び第三軌条方式・750Vの電車と対面しました。
なんだかウロチョロしてばかりしている1日でした。
生駒強行偵察はこの辺で切り上げ。

再び、近鉄奈良へ。
列車は軽快な音を立てて奈良へ下りていき、そして、生駒山地は遠ざかっていきました。

大和西大寺を過ぎて、平城宮跡を横目に見れば、もうすぐ奈良です。
できれば、平城宮跡から近鉄電車を見てみたかった(笑)
こんなに大きな史跡の隣を走る電車って、贅沢ですョ。

15時過ぎに近鉄奈良に到着しました。
折り返す車両の行き先表示は「尼崎」。
ネットワークの複雑さは、行先表示で味わうものなのです。
□ □ □
実は、20年ぶりの奈良には少しだけ観光のような目的をもって来ました。
ハードな乗り鉄をしてきたのに、らしくないですよね。
この近辺は、高校のときの修学旅行を皮切りに、その後何度も何度も散歩してきたつもりだったんですが、今から10年くらい前に「ならまち」という地区を知るに至り、「そんなところ、あったっけ?」と。
恥ずかしながら、興福寺地区のすぐ近くに広がる古い街並みについては、知らない時間の方が長かったのです。
だから、今回は迷うことなく「ならまち」をターゲットとしました。
でも、近鉄奈良に着いても、時刻はまだ15時過ぎ。
「それならば、久々にやるか!」と思い立ったのが「郵便局巡りタイムアタック」でした(適当に名付けています)。

調べてみると、「ならまち」界隈には3つの局があり、頑張れば京終まで行けそうです。
んでもって、京終局から戻る形でならまちを散歩すればいいと判断。
街歩きのルートづくりは、即座に即席に、だけれども一筆書きで回れるようにしないといけません。

頭の中で行程を組み立てながら早歩きをしたら、まあなんとか4局回ることができました(笑)
この4局を、およそ50分でクリア。
奈良小川町局だけは混雑が激しくて危なかったですが、大仏の顔が入ったお宝印を用意してくれていたのでOK。

風景印も3つ獲得することができて(京終局だけはありませんでした)、バテバテになりながら荒稼ぎ成功。
切手のセンスはこの際御容赦くださいませ。



京終局でバテバテになったまま「ならまち」散歩を開始。
でも、どうして長い間「ならまち」を知らないままだったのか、自分でもよくわからないのです。
おそらく「観光スポット」をスタンプラリーのように巡る旅から抜け出せていなかったことが原因かと、そう思うしかありません。
今回も「せっかく奈良まで来たのだから、せめて東大寺には行っとくか」とか、そういう衝動が起こりましたし。
だけど、そこに拘っていてはいつまでたっても視野が広がらない。
どうも、観光する方の心理として「行ってきたことの証明」を撮影して持ち帰りたいという気持ちがあるのではないでしょうか。
フィルムカメラの時代からそうでしたから、デジタルカメラ全盛期の今では、その傾向は一層強いですよね。
観光にあたってゆとりを持つためには、何回も繰り返し訪問しないとダメなんだと思いました。
歩いていたら、年配客でぎゅうぎゅう詰めの静岡ナンバーのレンタカーが目の前に止まって「すみません、興福寺はどこでしょうか?」という質問が。
「全然違うところを走ってますよ」と教えてあげて、人命救助をしたりしながら、またフラフラ。

ならまちのメイン物件、元興寺は世界遺産としての登録を受けた木造建築物だそうです。
乗り鉄の旅では、たまにこういうところにも参拝したりするのです(乗ってばかりではありません)。
その元興寺で。
奈良でも春っぽいパーツが見られました。
旅も3日目で、そろそろ関西の空気にも慣れてきて、一人旅なのに帰りたくないというか、もっとこの辺の空気を吸ってみたいと思うようになってきて。
旅も折り返し地点を過ぎた頃です。

この日も昼御飯を抜いていた(忘れていた)ため、17時近くになって「なんらかの補給をしようかな」と「ならまち」を歩きながら、その目的が食糧捜索となり始めました。
そんな流れでたどり着いたのが「おスギスイーツカフェ」さんでした。
スイーツは得意分野なので、これはイイ!
と思ってガラガラと戸を開けたら、先客はそれぞれ女子2人の二組。
瞬間、「やっちまった!」と思いましたが、こころよく(?)迎え入れていただき、とりあえずスリッパに。

晩御飯の前なのに、ガチでスイーツをいただきました。
女子二組からヒソヒソ言われそうな気配を感じましたが、でも(たぶん)そんなことはなかったようで、美味しくいただきました。
ま、お店の中だけのことだけであって、外に出た途端「なにー、あの男」と処刑されたことでしょう。
ファミレスの席に座るおっさんとは意味が違うのですから仕方がありません。
「あのね、勤続25年でね、5日間の連続…」と弁明しながら着席するのもなんですから、この場合は戸を開けた瞬間に処刑されるデスティニーを背負ったんです。きっと。
お断りして、こうしてスイーツを撮影させていただき、「ならまち」の思い出をつくりました。
おっさん一人で。


興福寺の近くまで戻ってくると、外国人観光客もポツポツと増えて、やっぱりこの辺が奈良のメジャースポットなんだなと思いました。
ゆえに「ならまち」に外国人がなだれ込んでくるまでにはもう少し時間がかかるでしょう。
結局、カフェ近くにそうした観光客は全くいませんでしたから。


鹿はもうどこにもいませんでした。

夕暮れどきの県庁所在地。
それぞれの街に、それぞれの帰宅時間があります。
偶然にも、ウロウロしていたら奈良県庁の退庁時刻となってしまい、ニセ奈良県職員となって近鉄奈良まで歩きました。
意外とこれが、奈良での一番楽しいイベントだったかな。
□ □ □

帰りは、近鉄デイでもありますから、近鉄京都線で京都まで。
近鉄奈良から近鉄京都へ直通する列車は「特急だけ」ということなので(改札氏談・この時間帯だけ?)、一旦大阪難波行きに乗って大和西大寺で乗り換えました。
名物のポイントを見物しようとしたら、50000系「しまかぜ」が走り抜けていき、この旅で見た「しまかぜ」は後にも先にもこのときだけ。
模型は既に持っているので、乗車体験を重ねたいのですが、なかなかその機会が巡ってきません。
また次の機会をつくりますか。

そして、京都に戻ってきました。
ここではちょっとした近鉄特急の撮影タイムに突入。
30000系ビスタEXが、新塗装と旧塗装のそろい踏みでした。
こんなことを書くと、なんだかトミックスのまわしもののような感じですが、そういうことではありません。

まずは、ビスタEXの旧塗装。
んー、これは買いませんでした。
このスタイルなら登場時の方がいいと思って…。
だけど「EX」のロゴだけはカッコいいんですよね。


そのビスタEXが、2016年から新塗装に衣替え。
それがこちら。
昨日、模型店に並んだのはこの新塗装バージョンです。
ジャストタイミングでの記事更新となってしましたが、狙っていた訳ではありませんのであしからず。
でも、どうせリニューアルされるなら、このくらいデザインの振り幅があった方が意味があるというか、見ていて面白いと思うんです(それぞれのファンの好みですから)。
で、先ほど、近所の量販店から持ち帰っちゃった…(あらまあ)


異形式との連結も、やっぱり大胆ですよね。
昼に見たシリーズ21との混結と同様、規格が全く違うように見えます。
近鉄車両の遊び方は、結構奥が深いのかもしれません。
特に、デカイのが2両くらいくっついているのは当方にとってはツボ。
この編成はダブルデッカー車も入っているのだから、編成が超デコボコで、なおさらアピール度が高い。
Nゲージで再現したい編成です。
* * *
少し近鉄ホームで遊びすぎてしまい、外国人観光客に占領された京都タワーの横をすり抜けて五条のホテルに着いたのは20時過ぎでした。

部屋に入ってテレビを付けたら、KBS京都で「必殺仕事人Ⅴ 激闘編」を放送していました。
これを見て「なんという粋な計らいをするテレビ局か」と感動。
だって、京都にはワンサカと外国人観光客がステイしているのです。
夜の20時にテレビのスイッチを入れたらこんなものが映るんですから、これ以上の「おもてなし」は無いんではと思いますよ。
もう一度、必殺ブームが再燃しないかな…。
できれば金曜日の22時枠で。
あの時間は、一週間の嫌な出来事を画面の中に置き換えて脳内処理できるので、最高でした。
なお、放送していたのは第16話『主水、クモ男を取り逃がす』。
参考までに、当方が一番気に入っているサブタイトルは、『りつ、ハウスマヌカンになる』です。

お昼に日本橋の“序”で買った、RhBのGE4/4IIを枕元に置いて、日付が変わった頃に寝ました。
これにて3日目終了。
旅もそろそろ終わりに近づきました。
4日目は、京都です。
(つづきまーす)
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- 2018/03/24(土) 23:40:00|
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