しなのさかいの駅前広場

細かいことばかりでよく分かりません。

1212年から届いた説法

こんばんは。しなのさかいです。


ここ2年くらいで鉄道模型の新製品がお通夜のようなラインナップになってしまった、と繰り返し嘆きつぶやいていますが、「つまらなくなった」と言われているのは、何もこの世界だけではありません。
「テレビ番組」もその1つでありましょう。

とはいえ、まだまだ味わえるプログラムを編成しているのが「BS」だと思っています。
近頃は、番組表で「ドキュメンタリー・教養」というジャンルを検索。
すると、BS方面にタイトルだけで興味深い番組を見つけることができます。
そうしたときは、とにかく録画予約をするようにしています。

特に「よくできているな」と思うのが、日本の各地を独特な視点で掘り下げようとする番組たちで、そんな中でも、NHK BSプレミアム『新日本風土記』の完成度は高いようです。
地域を見つめるまなざしに尊敬の視点が含まれていて、騒騒しいBGMもなく、CMナシ・60分という長い尺をちょうどよいものとしています。
放送局や番組制作会社だって世代交代はあるはずなのに、こうしたDNAが受け継がれていることは興味深いこと。
ちょっと頼もしいですよね。
そういう「危機」と言われて久しい業界においても「大丈夫」と言えそうな部分はちゃんと残されているのです。

その一方で。
大丈夫かな、鉄道模型の世界。
「一部のマニアに受ける製品」という割り切り方で古い列車を企画しているようでは絶望的ですけど。
1/150スケールのパトレイバーが出てくるというニュースだけで、その状況は察することができそうです。






ついこの前のことですけど。
ジャングル方面からカトーの新型コントローラー「スタンダードSX」が届きました。
もちろん専用アダプターも一緒に、です。

この「SX」の製品化が告知されてすぐ、それまでの入門機であった「スタンダードS」は手放していました。
あの巨大なAC-ACアダプターが代替できないというところに不便を感じていたことが唯一の理由。

レイアウトに据え付けない、フリーな状態のコントローラーは何かと必要だと思っていて、ここんところ欲しい車両も見当たらないことから「そろそろ手に入れるか」と思ったのでした。





走行性能は様々な方が解説していますから、そちらに委ねるとして、デザインがチョット退化したようで残念に感じました。
「スタンダードS」の方が、直線的なデザインとパネル部全体を覆うシールから、高級感があったと思います。
この「スタンダードSX」は、ネジのモールド(つまりウソのネジ)が施されるなど、トイっぽさが強くなりました。
それも乳幼児のトイのよう。
「口に入れても安全」とかいうノリで。
スターターセットに入れる上ではアピール力があるんでしょうが、どうなんでしょう。





さて、新しいコントローラーを手に入れたのですから、車両のように箱から出して見てニヤけるだけではなんともアホです。
こんな風にストックしてあるユニトラックをかき集めます。

内訳は以下のとおり。
S186 6本
S62 1本
S62F 1本
C243-45 8本

ストレートレールをS248ではなくS186としたところがポイントです。
カーブレールをC243としたのは、多くの車両の通過可能最小半径だから(そりゃそうです)。





レールだけではありません。
単線架線柱も。
これもレイアウト工事で使った余りです。
試行錯誤を繰り返していますから、どんなレール、アクセサリーにも一定の余剰品があるのです。





お座敷運転派には常識でしょうか。
ユニトラックのレールには、クギを打つ穴を囲むように架線柱の土台を差し込む凸部が2つあり、お座敷でも手軽に電化路線を楽しむことができるようになっています。
長年この趣味をやっていますけど、この凸部のお世話になるのは初めてかもしれません。





ダイニングテーブルに敷いて、単線電化路線が開業しました。
ストレートレールをS248ではなくてS186とした理由の一つは、架線柱を立てる間隔を少し狭めたいという狙いがあってのことでした。
ローカルな味を出すには、このくらいの間隔がちょうどいいでしょう。







走らせる車両はもちろん飯田線シリーズから。
緩いなぁ。






暑い日々が続いているので、200Vの冷房が効いたリビングでスローな運転をすることは、ある意味「緊急避難」です。
冒頭でお話ししたような番組を見ながら、のんびりと風景を想像して脳内旅行をするのもいいもんです。








…と、ここで終わりそうですが、そうではなかったりします。
運転が終わったら「お片づけ」をしなければなりません。

少ないレールは、百円ショップで見つけた箱に収納します。
箱の長さは20㎝程度。
S248ではなくてS186を選んだ理由の二つ目はここにあります。
あんまり長いと収納しづらくなるのです。





コントローラーも箱に入れて、車両ケースも二つくらいは入りますから、このように。





こうしてポポンデッタで仕入れた、黄緑色の怪しいバッグに収納しました。
「こんな気持ち悪いグッズ、需要はあるんかいな?」と思っていたら、自分が買っていました。
まあ、そういうこともありますから、許してください。
でも、運転会に持っていく勇気はありません。


「鉄道模型の運転」という遊びから遠ざかると、「このままでいいんだろうか?」と思うことってありますよね。
人それぞれに楽しみ方はありましょうが、鉄道模型の普遍的な価値である「運転」ということについては、誰も否定などしないでしょう。
カトーから発売されている「スターターセット」、トミックスから発売されている「ファーストセット」には、そうした鉄道模型趣味のコアなアンサーが含まれていると思います。

バッグに入れて、少しはテンションを上げて、たまには手軽に気楽な運転をしてみますか。
レイアウトを建設しながら、こんなスタイルを併せ持ったっていいじゃないですか。



□ □ □



数か月前のことですが、当ブログの特別顧問から『方丈記』の世界を教えてもらいました。
恥ずかしながら当方、今までこの書き物を「日本史の中のイベントの一つ」としか認識しておらず、何を書いた文章なのかさえ、きちんと理解していませんでした。
歴史を趣味にしていながら、そんな程度の知識だったのです。

ヒントをいただく内に「今の自分ならば読めるかも…」と思うようになり、教えてもらった翌日には本屋へ向かっていました。





こうした古典は、丁寧に解説が付いた文庫本でいくつも出版されているのですね。
しかも、そんなに分厚くない。
値段もLED室内灯クリア1個分くらい。
ほんの数日で、引き込まれるようにこの2冊を読んでしまいました。



さて、その『方丈記』ですが、当方のようにご存知ない方に中身をお教えすると…
平安時代末期の京の都を襲った安元の大火(1177)、治承の辻風(1180)、福原遷都(1180)、養和の大飢饉(1181)、元暦の大地震(1185)を、盛らずに適度な描写で記録した随筆です。
そして、これらの都市型災害(人災)を京で直に体験した鴨長明が、自分にとっての住まいの在り方を導き出し、住居哲学へと昇華させる流れとなっています(こんな感じでよかったでしょうか)。

都会で暮らす人々を襲う災害の描写は、まるで近年の日本で起こった出来事を想像してしまうように記録されているため、今でも災害研究の対象ともなっているように聞き及んでいます。



鉄道模型の話をしながら、何故に『方丈記』なのかは皆さんのご想像に委ねることとしましょう。
かく言う自分も、どう説明したら正確にその関係性を伝えられるのか、自信がありません。

ただ一つだけ言えることは、鴨長明が気づいた「無常なこと」との向き合い方は、現代の世界に見られるいろいろな「無常なこと」に対しても当てはまるし、我々は現代のそれらに対応していく術も持つことができるのではないか、ということです。
この書き物にはそんなヒントが落ちている気がしました。
今の鉄道模型の世界で感じられることは、その中の1例だということなのでしょう。
「無常なこと」に対して、自分なりのアンカーを地面に打ち付けなければなりません。




『方丈記』の脱稿は1212年。
巻末に「建暦の二年(ふたとせ)、弥生のつもりごろ…」と記されていることから、まずはその年の3月下旬で間違いないようです。
その年に放たれた価値観、説法が今の世でも通用してしまうところには、ただただ驚くしかありません。






さりげなくリビングの片隅に置いて、次の運転会まではおやすみなさい。
こじんまりとした、マイ・ファーストセットといったところでして、巨大なレイアウトを作り続けている反動とも言えます。


本来なら貸しレイアウトへ車両を運ぶためのバッグらしいのですけど、当方の使い方はあくまでもインドア。

しかしながら、家人からは既に不気味なものとして見られており、レイアウト部屋へ持ち帰ることになる日はスグにやってきそうです。
1212年の長明さんなら評価してくれそうな気がするのですが。


ではまた。

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  1. 2018/08/15(水) 22:00:00|
  2. 駅ノート
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  4. | コメント:3
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コメント

自宅レイアウトがあるのに、机の上で? と思ったりしてしまいました。
コンテナのケースは派手ですが、持つ人によるのかもですね。

私のところでは、自宅で試走のときスタンダードSを使うという感じです。
容量足りないからだっていわれるのですが、何故だろうかとスッキリしていません・・・。
もう手放したとのことですが、確かにごついですよね。
パソコン用のアダプタで代用できますよ。
電気廻りの場合、気をつけねばなりませんのであまりおおっぴらに薦めれませんが。
どうもコアレスと相性悪いというような評判だったり、うちにあるPWM方式のパワーパックどうも相性悪いのかな?
ジリジリジリと唸る感じなのですよ。
  1. 2018/08/16(木) 04:21:40 |
  2. URL |
  3. Mu #-
  4. [ 編集 ]

編集ミスしていました・・・すみません。

私のところでは、自宅で試走のときスタンダードSを使うという感じです。
容量足りないからだっていわれるのですが、何故だろうかとスッキリしていません・・・。
どうもコアレスと相性悪いというような評判だったり、うちにあるPWM方式のパワーパックどうも相性悪いのかな?
ジリジリジリと唸る感じなのですよ。

もう手放したとのことですが、確かにごついですよね。
パソコン用のアダプタで代用できますよ。
電気廻りの場合、気をつけねばなりませんのであまりおおっぴらに薦めれませんが。
  1. 2018/08/16(木) 23:16:29 |
  2. URL |
  3. Mu #-
  4. [ 編集 ]

スタンダードS

Muさん

スタンダードSについては、かつてのスタンダードのようにアダプター部分が本体に入ってしまっても良かったと思いますが、それ以外では満足できるものでした。
ジリジリと唸る現象は、うちでもいくつかのM車で見られます。難詳しくはわかりませんが、難しいですね。
  1. 2018/08/28(火) 21:13:01 |
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  3. しなのさかい #-
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