KATO 2019年8月分ポスターを見て模型における12系客車の楽しみ方を考えてみる。

2019-04-07 (Sun) 13:00
鉄道模型(車両) 16
こんにちは。しなのさかいです。

カトーから2019年8月分のポスターが発表されました。
今回はこの内容を見て、あれこれ考えてみようと思います。



2019-8.jpg

【EF65 1000 前期形】

昨年末に発売された2019年版カタログで既に発表されていましたので、その詳細が追加発表された形です。
この前期形は、トミックス製品(品番9122)だけで賄われてきたタイプで、実に様々な客車を牽引していたことから、カトーとしても必要なアイテムだったのでしょう。
新生EF65は500番台、1000番台後期形、そして一般形に続いての企画で、ユーザーにとっても必要(というかあった方がいい?)機関車だと思います。
当方もトミックス製品を持っていながら、このカトー製品も1両は手にする予定です(買います)。
カトーのPFは、若干ヒサシが分厚いかなと思うところもありますけど、機関車製品の安定感、出来の良さはやはりスルーできません。
機関車製品を買うユーザーとしては、カトー製品を持つことを基本としながら「トミックス製品も持つか?」という思考パターンとなっています。

さて、この「EF65 1000 前期形」という機関車はどういうタイミングで、どういう列車のイメージを打ち出して製品化されたら良かったのでしょう。
今回はそんな点を考えてしまいました。
結論を先に送りまして、次のアイテムに進むこととしましょう。



【12系 急行形客車 国鉄仕様 6両セット】
【オハ12 国鉄仕様】
【スハフ12 100前期形 国鉄仕様】

こちらも2019年版カタログでリニューアルを行うことだけは発表済みでした。
前述のEF65 1000番台 前期形との組み合わせでの企画ですので、東北本線の急行列車をイメージした感があります。


さて、12系客車です。
この客車に対して一体どのようなイメージが湧くでしょうか、ということがテーマになります。

1970年の大阪万博に向けた旅客輸送需要の高まりのために開発された…というのは有名な話ですが、その後の使われ方には象徴となるような例が乏しいようです。



無題

今回のポスターに掲載された編成例を拡大してみました。

企画者の意図としては、牽引機がそれぞれ異なる点、それから「八甲田」にスニ41が連結される点に差異を導き出しているようですが、残念ながら当方にとってはほとんど関心がないものでして、モノクラスの12系客車が「何両か」ということ、端的に言えば「長いか短いか」という、ただそれだけのことのように見えます。

12系客車の活躍をこうした列車たちに見出してセールスポイントとしているようなんですが、なんだかとても退屈な編成例ですよね。





さらにこちらは公式ホームページ上の編成例。
「十和田」においてマニ37、オユ10を連結した編成例が、それから「かいもん」「日南」においてオハネ25、オハネフ25を連結した編成例が加わっていますが、どうやら「ここまで」ということのようです。
残りの編成例はやはり、ひたすらに12系客車が長く連結されているか、それとも短いかの差異だけ。
「団体列車の例」なんて、失礼ながらもはや思考停止です。


当方は従来から、12系客車というものは編成美を追求すると退屈な編成になってしまうというジレンマがあると思っていて、それが臨時列車としての活躍であったりすれなおさらだと感じていました。
1985年の「エキスポライナー」なんていうのもそうです。



では、どんな編成ならば退屈しない12系客車の編成になるのでしょうか。



当方は1980年代初頭にはどっぷりとこの趣味の世界に身を置いていました。
とはいえ、先行して趣味の世界をひた走ってきた同好者は必ずいるもの。
クラスメイトの中にはより詳しく知る者が数人いたのです。

その彼らが、ませた大人のように手にしていたものがありました。
それは、グリーンマックスの客車キット。
まだ床下がオモリを兼ねたダイキャスト製で、お世辞にも出来のいい製品とは言えませんでしたが(この直後に奇跡的な床下リニューアルが行われます)、当時は既に「トミックスか、関水金属か」という2大メーカー体制が確立していましたから、どうしてそんな手間のかかる、車内がスカスカのキットを作るのだろうと不思議に思っていたのです。

しかし程なくして彼らの意図を知ることとなります。
彼らは主に10系寝台客車のキットを組んでいて、それを12系客車と併結して遊ぶ「企て」をしていたのです。

具体的には1984年頃の普通列車「山陰」。
DD51が牽引する12系客車の普通列車ですが、出雲市方、機関車の次位にはオハネフ12が1両だけご都合主義的に連結されていました。
友人からそんな奇妙な編成の存在を知らされたとき、それまでは12系客車もブルートレインのように編成美を意識して目指すものだと考えていましたが、一気にその価値観が崩壊し、旅客動向に対応した実用本位的な使い方に、既に客車の時代が終わろうとしていた頃の12系客車の使い方を見た思いがしたのでした。

そんな編成に驚いていると「いやいや、12系の使い方はそんなものでは終わらないぜ」とのキザな仰せ。





『鉄道ジャーナル』1978年8月号。
そのときに友人から勧められ、当時慌てて古本屋で買い求めた1冊で、今でも大切に残しています。
この中には、

「列車追跡」シリーズ23
「北国旅情 急行の日本最長距離ランナー〈きたぐに〉1,059.5km 19時間ジャスト! 大阪→新潟→青森」

という、西村京太郎トラベルミステリー顔負けのタイトルが付けられた熱い記事が収録されています。
この「きたぐに」の編成がまた凄いのですよ。
本文の内容を引っ張りますとね…


オハネフ12 2043-オハネフ12 2033-オロネ10 2066-オハネフ12 2022-オハネフ12 2010-スハフ12 132-オハ12 345-オハ12 348-オハ12 347-オハ12 346-スハフ12 128-スロフ62 2009-オユ10 2048-マニ37 2012


というものです。
B寝台だけでなくA寝台まで連結した10系客車、それにスロフ62という旧型グリーン車まで連結し、さらには荷物車も…という混成ぶり。
当然ながら牽引機も大阪から青森まで、EF58→DE10→EF70→EF81→ED75 700という国鉄時代のオールスター的なリレーであり、どの場面を切り取っても退屈することがありません。

この「きたぐに」を知ると、20系併結「かいもん」「日南」「ちくま」を知るまでには大した間がありませんでした。
国鉄末期は実にアイデア本位の運用が行われていたのです。
こうして当方における12系客車に対する興味は、退屈な対象からむしろ積極的な対象へ変容したのでした。



改めて今回の企画を見ると、これまた12系客車の細かい形態差異を一気にドーンと反映させた形です(このやり方、もうやめませんか?)
急行「能登」から始まったカトーの客車急行シリーズも「だいせん」あたりから迷走しており、「みちのく」では遂に作りすぎたC62の在庫処分の「手段」と化してしまいました。
ないだろうと思っていた再生産も「津軽」と「能登」で行われ、このシリーズ、完全に袋小路です。

ですから、こうした12系客車の差異を小出しにして「客車急行シリーズ」のリスタートの核として使うことの方が良かったのではないかと思うのです。
ほら、つい先日にはEF81一般色がポロッと発売されたでしょう。
急行「能登」の再生産に合わせた形でのリリースとなりましたけど、こうしてキチンと探せば牽引する客車ネタが他にも転がっていたりするのですよ。
ローピンが待望の機関車だっただけに、どうももったいないリリースの仕方でした。



さあ、だから「EF65 1000 前期形」のリリースの仕方が気になるのです。
これを退屈な12系客車と組み合わせるというのはどうなんでしょう?

当方ならば、オハネフ24の「テールライト疑惑」があった24系24形を、再度「あけぼの」として再企画し(もちろんダブルオロネで)、それとの組み合わせでリリースした方が小売店の商機も増えたんではないかと想像します。
24系「ゆうづる」は2009年の年末アイテムでした(この年末は「ゆうづる」に続いて2週間後に急行「能登」も発売され、笑いが止まらない実に楽しい年末でした)。

機関車と客車のコラボで遊び方を提案し続けてきたカトーとしては、今回のPFと12系、イマイチ乱暴というかイージーな組み合わせだったという思いが残ります。





当方は粛々と、何の感動もなくこの「旧製品」を「新製品」に置き代えることとします。
クーラーを新165系のパーツに載せ替えたばかりでしたが仕方ありません。

もしかしたらカトーとしては「リニューアルしていない青20号の客車がこれだけ残っていたから…」という動機だけだったんではないでしょうか。
もしそういうことなら、ユーザーとしてもその企図にそれだけの反応をするだけとなります。
メーカーとユーザーの対話が存在していないように感じますがいかがでしょうか。



【しなの鉄道 115系 3両セット】
【しなの鉄道115系(湘南色/横須賀色)6両セット(特別企画品)】

「勘弁してもらいたい」と言っていたらやられてしまいました(笑)
またもやお得意の塗り替え企画と言うべきもので、モハ114の改造表現だけが行われるそうです。
特別企画品は国鉄カラーではありますが、モハ114の形態からすれば国鉄時代とは言えませぬので要注意。
しなの鉄道に恨みなどありませんが、旧新潟色など人気のある1000番台カラーバリエーションは他にあると思っています。
小売店の不良在庫が増えませんように、ただそれだけを祈ります(そもそもメーカー受注数が多くなければそれまでですが)。




【321系 JR京都・神戸・東西線 基本セット(3両)】
【321系 JR京都・神戸・東西線 増結セット(4両)】

気になったのは「先頭車の前面運番表示器が撤去された姿を再現。」ということと「側面の行先表示部分は黒色で印刷済。」ということ。
特に後者は、交換式別パーツとの決別を意味しますから、表示部分が抜けていたボディを全て作り直すなどの措置が施されると思われます。
現行製品にそれほどの不満はありませんが、やり直すというのならば「お付き合い」しましょうか。
ちょうど東西線系統のピンク色にも恋い焦がれていたところでしたので。

気になるお値段は、
10,900円+10,200円=21,100円(税抜)。
旧製品となってしまう10-1121は10,000円、10-1122は9,200円(共に税抜)でしたから、やはりジワジワと値上がりしていることにも注視すべきでしょう。
ちなみに7両セットだった10-287は18,800円(税抜)でした。



【サウンドカード〈SLやまぐち号〉】

「駅構内放送や車内放送、レールの継ぎ目をまたぐ際のジョイント音、トンネル通過や踏切通過など、列車を利用する乗客の視点でのサウンドを楽しめるサウンドカード」という触れ込みで、新しい基軸のカードと言えそうです。
踏切通過音なんて素敵じゃないですか。
カードは大きな財政出動にもなりませんし、ケースにしまい込んだ手持ちの車両をもう一度楽しむキッカケにもなりますから、どんどん新しいものをリリースしてもらいたいです。
キハ85系や四国2000系のようなキーンとしたエンジン音も欲しいなぁ。




その他、新幹線関連製品については触れないでおきます。
再生産とスターターセット化だけのことでニュース性はありません。
夏休みの時期ですから小売店としても売るものが必要なんだと思います。
そういう意味ではE235系の再生産も同じですね。

それにしても12系客車…。


ではまた。
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