しなのさかいの駅前広場

スカ色がたくさんやってくる月末

KATO 787系「つばめ」2022年版(その2・完)

(その1からつづく)


前回から思わせぶりに引っ張りましたけど、実は大した内容を御用意できていません(^^)

いつものように一人で運転会をやりましたので、その様子でも御覧いただいてから終わりにしましょう、ということになります。
お付き合いいただけたら幸いです。





まずは2001年発売のカトー製883系(10-439)を引っ張り出すことから始めました。

787系のデビューから約2年後、1994年に現れた883系を見たときは、787系よりも(不気味な?)表情のある先頭部分に驚きました。

それ故に、787系が既に模型で存在していたので、この仲間が模型として手元にやってくる日を待ち続けていたのですが、こちらは発売までずいぶん待たされた思い出があります。

今と同じように発表されたポスターをお店で見て、喜んで、2001年の12月末には街の小さな模型屋さんで、御店主とお茶を飲みながら宅配便のトラックを待ちました。
関東平野でも雪がチラついていた寒い日でした。

そのときの883系です。


バックミラー(?)が取り付けられていないという残念な点はありますけど、実車でも後に取り外されたようなのでこれでも間違いでもなく、そもそもあんな繊細なパーツを1/150化したらどうなるか…ということもあるでしょう。
かえって野暮ったくなることは必定だったかもしれません。





883系は運転席後ろに「パノラマキャビン」というフリースペースがありまして、このスペースのおかげで日豊本線では振り子式運転の醍醐味を味わうことができました。

こちらは1999年8月の旅の思い出。


こんな列車たちが九州島内の各都市を結び始めたのです。
1990年代は、在来線特急での移動そのものが旅の目的だったと振り返ることができる楽しい時代でした。





883系4次車(10-485)と787系のすれ違い。
4次車はこの後にも色違いの製品化が続くのだと思い込んでいましたので、イエローだけで終わったことは少々残念。





次はキハ183系1000番台「ゆふいんの森2世」、マイクロエース製品ですね。





気動車なんだけど「博多発の特急」ということで発車後はしばらく架線の下を爆速するシーンが見られます。
よって787系とも合うようです。

このキハ183系はこれまでに何度変身したのかがさっぱり分からなくなっていて、模型ファンとしてはいずれかの一つを決め打ちで持っている方が楽なのかもしれませんね。
当方は時代的に考えた結果、コレのみとしています。





サハシ787のカウンターから見た東シナ海の景色は最高でした。
「シ」には係員の方がちゃんといらして、商品に添えられた手書きのポップが歓迎ムードを醸し出していて。
こういう旅はもうできないのかもしれません。
少なくとも「ビュッフェに行ってみようか」と言って列車内を移動するような「旅のついで」的体験、気軽な位置付けでの“コト消費”ではなくなりましたよね。





9両の編成が堂々と平野に位置する幹線の複線区間を行き来する風景は、そろそろ見ることも難しくなってきたようです。
北陸新幹線の敦賀開業を控えて、ヨンダーバードの製品化ニュースに接したりしているとそんなことにも気づくのでした。
模型の世界ではこれまでも、これからも自由自在ですけど…



⬜︎ ⬜︎ ⬜︎





以上、2022年版のカトー謹製787系「つばめ」でした。

メタリックの塗装は色調が見直され、床下パーツも青灰色にされるなど、2005年の〈リレー〉のときの改善(レンズカバー、手すり追加)、それから2019年の〈アラウンド〉のときの改善(スカートの見直し、車端部床下機器の追加)を吸収しながら、これら以外にも「できることはやってみた」感が窺えるリファインぶりでした。

787系だけでなく振り子式の883系、885系をトミックスが追従していない(できていない?)ので、JR九州の在来線向け看板特急を模型店に並べることはカトーにしかできず、このことでカトーがJR九州の車両を次々と模型化する動きにもつながっているのかもしれません(それ以外に事情があるかもしれませんが)。





とにもかくにも、当方にとって787系が必要なのは、正統派在来線特急の最後の姿だと思えるからなのです。

『鉄道ファン』1992年12月号「特集:燃えてます!JR九州」では、デザイナーである水戸岡氏の787系に対する思いが語られていましたので、これを抜粋させていただきながら、今回のエンディングといたしましょう。


***


 余暇の時代へと向かう社会は、質の高い旅を求めるようになる。環境問題も合わせれば、クリーンで資源効率のよい鉄道こそが21世紀の旅行の主役になるだろう。新車両はラグジュアリアスな旅の舞台でもあってほしい。「いかに早く効率よく運ぶか」も大事だが、移動の時間の密度をいかに高めるかという発想の転換も必要ではないか。
 公共輸送のデザインの水準は、他の分野と比べてもはるかに低い。列車はもっと美しくなれるはずだ。そしてもっと豊かな時間を提供できるはずだ。そんな確信がだんだん大きくなっていった。


***





1993年3月に九州のどこかで拾ったチラシ


水戸岡氏のコメントから30年。
検証する上では十分すぎるくらいの長い時間が経過したようです。

ではまた。



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  1. 2022/03/04(金) 21:40:00|
  2. 鉄道模型(車両)
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コメント

理想と現実

いつも更新を楽しみにしています。殺伐としがちな昨今、このような場をご提供して下さることに感謝します。

787系に関しては、デザイナーや会社の当初の理想と比べて、5~10年単位でのメンテナンスが今一つであったように思われてなりません。さまざまな事情はあると思いますが、どこの鉄道会社の(元)フラッグシップ車両よりも外板の状態が悪いように思われます。数年ごとのリニューアルも、根本的な不摂生を放置したまま高級なファンデーションや宝飾品で飾り立てる夜のお姉さんを見るような感じです(下品な喩えでしたらすみません)。

関西私鉄などでは車齢を重ねるほどに、丸みのある車体に深みのある艶が備わってきます。たとえば阪急8000系、近鉄の伊勢志摩ライナー、南海のラピートなどは約30年選手ですが、光沢のある外板の微妙なうねりが独特の重厚感を醸し、「大事にされている電車に乗っているな」という印象を受けます。こういう印象は、メンテナンスが追い付かない背景事情を忖度してしまいがちな鉄道ファンよりも、一般利用者の方が敏感で現実的な対応をとると思われます。
日々運行する人たちが愛着と誇りを持てる列車(特殊な高級列車だけではなく)を走らせることは、人手や人材が不足する状況で、質の高い仕事の蓄積や低い離職率に繋がるであろうことを株主に理解してもらうような発信が必要かも知れません。

模型の話からそれて失礼しました。787→885と製品化された頃、飛ばされた883の製品化を太宰府天満宮で祈ったことを思い出しました。関東の215, 251などの製品化と小型TNカプラーを見ていると、立石方面から783系が動き出しそうな気がしないでもありません。確か車体断面は211系と共通だったはずで、その後の北海道方面への飛躍(721系)を含め、色々と想像が膨らみます。
  1. 2022/03/04(金) 23:32:19 |
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  3. 北陸鉄 #0imJn/zQ
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供食設備に旅の豊かさを見つける

787系「つばめ」という列車は、私が支払ったたったの数千円の特急料金と引き換えに、心に残る何かを残してくれました。金銭的利益では計り知れない何かを生み出す車両が好きなのだろうと、改めて気付かされました。やはり、供食設備を備えた列車は好いです。

デビューしてから30年が経つのだなという感慨を覚えもしますが、「移動の時間の密度を高める」という787系の設計コンセプト・DNAみたいなものは、他の鉄道会社に伝播したようにも思います。当時は小田急沿線に住んでいて、VSEがデビューした直後に乗車しているのですが、喫茶カウンター、サルーン個室、上質な空間といったフォーマットに、「JR九州を視察したんかな…」と感じたものでした。

お察しのことと思いますが、心が狭く保守的な人間なので、阪急マルーンの車輛、LSEまでのロマンスカーといった先代のイメージを尊重・継承しているような車輛が好きではありますが。

前回の記事では、多くの方がコメントを寄せられ安堵いたしました。またよろしくお願いいたします。
  1. 2022/03/04(金) 23:57:16 |
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  3. 連接車 #bDO6Upxo
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史上最高峰の特急列車

しなのさかい様
今回は・・・失礼しますと言うよりは「ありがとうございます!」です。

私の仮の名前が示す通り787系は私の鉄道趣味の常に中心に位置する車両です。
その中でもサハシ787を組み込んだ「西鹿児島行き」のつばめが最高峰との考えは未だに揺るぎ無いものになっています。
九州への「乗り鉄」時には特急つばめをまず中心に据えて行程を組んでいましたし、「グリーン豪遊券」が設定されていた時は「つばめ~ドリームつばめ~つばめ」というある意味狂気とも思える乗り方もしておりました。
当時のJR九州の置かれた交通機関としての立場から設定された列車とも言え、マイカーや高速バスと比較して優先順位が低かった状態から形勢逆転を果たした感があったと感じております。

こんな私ですから「36ぷらす3 赤の路」に乗車することは787系好きとしては義務であると捉え、昨年にまるで旧友に再会する気持ちで乗りに行った訳です。

さてKATOの787系ですが、引き取りから帰宅後に5分後にはパーツ取り付け作業を開始するという異例の早さで整備しており、787系を前にするとある意味「スイッチ」が入ってしまうようです(笑)
(散々新規製品で作らず再生産品だからと文句を言っていたことも忘れて)

初回品の787系も手元にありますので、813系と同じくassyパーツも用意しており「最新化」しようかと目論んでいます。(床下をそっくり入れ換える形)
これもほぼ再生産だったから手当てできた訳なので内心フクザツではありますが(笑)
  1. 2022/03/05(土) 04:02:17 |
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  3. つばめ787 #-
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伝統を守る現実、伝統を育めない現実

北陸鉄さん


ありがとうございました。
鉄道会社は「伝統」を欲しがっているように見えても、結果としてはそんなに欲しくなかったんじゃないか、と見えてしまうことがよくあります。鳴り物入りでチームを編成した「つばめレディ」はそのサービスの質の高さから他社が研修生を派遣するほどのものでしたが、サハシ787の終焉とともに終了し、今ではほぼほぼD&S列車にサービスの名残(?)が見られるだけとなりました。つまり“コト消費”としては観光列車に限定されることとなり、日常の移動手段からは切り離されてしまった訳です。
「伝統」を打ち立てる覚悟のようにデビューした787系。その外板の痛み具合は関東在住のファンとしても認識できていまして、禿げた痕にただ塗料を塗り重ねている外観は見るに耐えず。人手や資金のことを考えると「もう少しこのままで」といった結論になりがちですけど、どうなんでしょう。

阪急のマルーンボディへの「現場」の並々ならぬこだわり。
その阪急マルーンを目標にして動き出している(ような)相鉄YNB計画。
とうとう「走る喫茶室」ではなくなった小田急ロマンスカー。
豪華列車を走らせながらもせっかくこしらえたグランクラスにアテンダントさんが居ないことがよくある東日本。
「伝統」を巡って鉄道各社で違った方向を向いているようで、あれこれと考えるところがありますが、運行に携わる方々の誇りとかプライドとかアイデンティティのようなものがあれば自然と顧客やファンもついていくし、そうでなければ見向きもされなくなる、ということなのかもしれませんね。誰かが「オ・モ・テ・ナ・シ」とか言い出したからなのか、そこら中でサービスを語る風潮が芽生えましたけど、その中に紛れ込んでいる「エセ伝統」を見抜く目利きが必要となってきました。

あの頃、太宰府天満宮でお祈りされていたのですね。何百キロも離れていてもNゲージファンとしてのつながりってあるんだなぁと改めて気づいた次第です(^^)
  1. 2022/03/05(土) 23:43:08 |
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  3. しなのさかい #-
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サービスの正体

連接車さん


前回の私鉄特急電車もそうで、その路線で日常的に存在する移動手段の中にさりげないもてなしやサービスがあると、嬉しくなるし、良き思い出にもなります。食堂車のテーブルに飾られていた一輪挿しなどはそうかな。

サハシ787は日常を走る列車の車内サービスを民営化後に本格的にリスタートさせたものとして残っていてもらいたかったのですが、残念な結果となりました。今、こうした欲求は地元の日常から切り離された「観光列車」というUFO(地元の方々から見れば、です)に求めるしかないようで、わざわざ予約をして“もてなし”を受ける列車には、楽しさはあれど、我々が求める「制約の中の楽しさ」とはやや違うようです。観光列車で歓迎されるのは嬉しいけど、リピートしたいかと言われると答えに困るというか。

手元に置きたい模型車両っていうのも、その辺の価値観と同じ嗜好になってはいないかと思うんですよね。扱いが難しい新幹線車両ではありますが、昨年にカトーが再生産した「グランドひかり」も同じだと思っています。鉄道模型メーカーも、今見えている話題性だけでトライせずに、今のでも過去のでも、鉄道会社が走らせる列車の本質、サービスの正体を見極めて企画化して欲しいですね。
  1. 2022/03/05(土) 23:50:17 |
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  3. しなのさかい #-
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787系で鉄道旅行を思い出す

つばめ787さん


西鹿児島行きの「つばめ」。
九州豪遊券。
「ドリームつばめ」と「ドリームにちりん」。
九州を鉄道で旅行してみたいと考えて、実際にそうしていた頃のキーワードばかりです。
北海道と同じように、九州も鉄道ファンにとっては憧れの地でありました。
1980年代には「九州ワイド周遊券」で九州島内から一向に出てこない同級生もいましたが、さぞかし見知らぬ土地の土地勘は強くなったことだろうなぁと。鉄道の旅には人とだけでなく、知らない土地との思わぬ出会いもありました。こういう土地は大人になっても行ってみたくなるものなのです。
787系「つばめ」はそんな楽しみ方を最後に示してくれた列車だったのかも。「36ぷらす3」も肥薩おれんじ鉄道に乗り入れているそうなので、乗りに行かねばならないと考えることは当然でしょうか。うらやましい(^^)

やはり完成度の高い模型を手に取って、素早くレールの上に乗せて、そこから現在や過去の現実の話題で盛り上がれることは模型人間としてとても豊かなことですね。
  1. 2022/03/05(土) 23:56:19 |
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  3. しなのさかい #-
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787系、リレーつばめ初期ロットが私の自宅のタンスに残ってます。

以前、こちらのブログで初めてコメント投稿しました際にも申し上げたかと思いますが高校~大学生時代、KATO製の九州特急にハマってた時期があります。

実車は当時の高速バスへの対抗措置で思いきった策として出た案なんですよね。それがこの787系から本格化していったかと存じます。

とはいえ登場から随分経ち途中にリニューアルされた中で、他の方も指摘されているように車体ダメージが見るに耐えない状態のまま走る個体も少なからず存在する現実···メンテナンスが追いつかないのもさながら、この状態では「観光特急をここまでぞんざいに扱う会社なのか?」とも捉えてしまうわけで。鉄道ファンの私でさえこの視点ですから、一般の方にはさらにシビアな意見が出てくるかと。

それでなくとも、近年登場の821系やYC1系に見られる水戸岡氏デザインがマンネリ化と迷走が混合しているかのようで···イカ釣り漁船と揶揄された顔の枠のランプも最近は使用停止なのか光らなくなっているとの話も出てますよね。このため、JR九州にはどうもいいイメージが沸かなくなってしまいました。

その点、私鉄ではそうした事を最大限防ぎたい意図が感じられますね。阪急の3日に一回水洗い·一週間に一回洗剤ゴシゴシ洗車(コロナ後はどうかは分かりかねますが)に、小田急ではロマンスカーLSEの丁重な取り扱いなど。

大事に扱われているとわかる私鉄車種こそ、KATOさんで積極的に取り上げてほしいものです。
(とうの昔にKATOで製品化されたE231系小山車やE217系を見ますと、尚更そうした感情が強まるものです。土埃?の茶色い汚れを放置したまま走る姿を見たらもう┐(´д`)┌)
  1. 2022/03/06(日) 17:56:26 |
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  3. KATO信者(脱退切望中) #-
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伝統とマンネリは違っているようで…?

KATO信者(脱退切望中)さん

車両の傷みは走行線区の気象条件で大きく左右されるので、一概に斬ることも難しいのですが、そのことを踏まえても気になるレベルというものはありますよね。傷口と同じで、一度傷み具合が大きい車両を目撃してしまうと、その会社のイメージに直結してしまう。逆にどの車両を見ても美しいツヤが確認できてしまうとこれもまた同じ。ブランドイメージって施策で決まるように見られがちだけど、実は現場レベルでの取組次第で自然と備わってしまう、案外難しくて単純なものなのかもしれません。

「水戸岡デザイン」は御本人が減価償却を終えたデザインだとしているくらいなのでマンネリ化はあるとして、仰るようなイカ釣り船のようなデザインは関東から見ても「ふえー」でした。確かにJR九州イコール水戸岡デザインというイメージは打ち立てられたけれど、そのイメージを発展させることが必要なのかどうか。マンネリだとしてもそれで良かったりしないか。JR九州にはもう一度原点に戻って考えた方がいいのではないかと思うところが最近よくあります。

伝統を維持することは、どの組織にも同じ。もちろんこの趣味の世界でもそのようです(^^)
  1. 2022/03/07(月) 08:41:30 |
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  3. しなのさかい #-
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こんにちは。

この787系がデビューした当時は広島に住んでいたせいなのか、「鉄・しばしお休み中」だった自分にもテレビニュースやCMなどで情報が入ってきていました。
減ってゆく新幹線や寝台特急の食堂車、本数は増えたけど両数が減ってやたらに混雑する通勤電車、「そんなに国鉄イメージを払拭したいの!?」とばかりに無駄に大きく、似合わない電源車のJRマーク。そんな具合で国鉄時代の後片付けに忙しくて、乗る方としては本当に民営化してよかったのだろうか?と訝しく思っていた頃のこの電車は、つばめというビッグネームと共にその特異な外観で「新生・JR」を強くアピールしてきたことを思い出します。
歴史的に振り返れば、北海道は札幌で九州は博多と、国鉄時代の「対東京・本州向け輸送」から脱皮して独自のハブを設定して運営して行く、現在のビジネスモデルの嚆矢となった車両でもあるように感じます。

あれから30年。
鹿児島まで伸びた新幹線と中途半端な形で開業しようとしている長崎行新幹線によって、九州はさらなる新しい形に変化することを要求されています。東北における仙台がそうであったように、博多だけが周囲を全て吸い上げて巨大化する兆しはないでしょうか?
投資額が巨大であるだけに、鉄道事業は景況感や社会情勢・政治に大きくその屋台骨を揺さぶられます。けして順風とは言えない風ばかりが吹き続ける今、どのように変わって行くのか。
使い捨てのように切り離していくだけでは、つばめ、はやぶさ、さくらなどその地を駆けた列車たちが浮かばれませんよね。

福岡・熊本・佐賀・長崎・鹿児島。
十把一絡げに「九州」と雑に呼ばれるような時代が来ませんように。
大分と宮崎が切り離されたりするような世の中になりませんように。

  1. 2022/03/08(火) 07:14:40 |
  2. URL |
  3. 海無し #-
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「負けて当然」という意識

海無しさん


今回もありがとうございました。

国鉄は民営化によってサービス、特に地域密着型ダイヤを実現させるとして実際にそうしてきましたが、と同時に飛行機や高速バスなどの競合手段には所要時間や運賃などで「勝負にならない」と早々に総括してしまってきたようです。悪く言ってしまえば「負けて当然」というクセのよう体質。現在は「コンビニに勝てるワケがない」として車内販売を終了し、駅構内の売店そのものがそのコンビニに置き換えられつつありますが、これもそんなクセの一つなのではと。(模型鉄に限らず)多くの鉄道ファンはおそらくこのパターン化された流れを毎度のように見せられて繰り返し残念に思っているのでしょう。そしてまた、この繰り返しで鉄道がオワコンと総括される向きもあります。

JR九州については、787系の登場が、時間でも運賃(+料金)でもない「快適さ」を移動手段の判断基準として打ち立てようとしたようなのですが、国策的な整備新幹線の流れには抗えず(?)、御指摘のようなへんちくりんな路線体系が現れつつあります。少なくとも、もう長崎へ鉄道で移動しようとは思わないでしょうね(当方は、です)。

博多や小倉と宮崎を(はるばると)移動するとき、本当に「時間」と「お金」だけが移動手段を選ぶポイントになるのかがよく分かりません。クモロ787の個室やオハ24-700のような開放空間で移動できるなら鉄道でも…とはならないのかな。

「勝負にならない」という諦めは、素早く組織全体に蔓延するようです。ひょっとしたら車両の外板の傷みを補修しないことも、どこかで…? 「大分から先は鉄道で移動すべき土地ではない」という思想が生まれつつあるのだとしたら、それもまた同じなのではないかと思いました。

とまぁ、唐突にこうした昔話で思考を巡らせることができるのも「今月のお題」として提供されるポスターや模型があるからなのでしょう。100系「グランドひかり」再生産にも今回に似たムードがありました。先週発表されたカトーのポスターは…どうでしょうか。
  1. 2022/03/09(水) 08:32:06 |
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  3. しなのさかい #-
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再度のコメントご容赦ください。

>飛行機や高速バスなどの競合手段には所要時間や運賃などで「勝負にならない」と早々に総括してしまってきたようです。

民営化直後は、それが「効率よくお金を稼ぐ」方法として持て囃されましたね。インターシティ(都市間)輸送への転換、ロングフィーダー作戦なんていう言葉で。首都圏に限らず、ハブ駅を出る特急電車の号数が往年の臨時列車の枠(50番台)をも使い切るほどに。
往年の東京・大阪発の長距離列車の区間利用ではなく、地元の人には地元のための専用列車を仕立てる、という意味であったならばそれは大変なサービスアップであったことでしょう。

現状の高速バスの天下はそれとはまた違って、その後の長い不況のおかげで経済的にそのまま鉄道を使い続けることができなくなったりマイカーに行くことができない層の出現と、それらの人たちを在来線が引き受ける冗長性を既に失ってしまったことにも原因があると思っています。
今社会全体が様々な局面場面で、形は違えども直面しているであろう、「昔だったらできていた。だけど続けられなくなった。今から元に戻そうと思ってもできない。」という現象です。
高速道路というインフラが地方ではまだ比較的新しいだけで、実は今を謳歌する高速バスも追々同じ事情に直面するはずです。


追伸:KATOさんのポスター、3分でスルー決定しました(汗。コンテンツとしては415系はどストライクだったはずなのですが、何というか、その、「コレジャナイ」(笑
  1. 2022/03/10(木) 08:39:02 |
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  3. 海無し #-
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しなのさかい様

先日はコメント返信ありがとうございました。

現場での取組で良くも悪くも姿勢が現れるとの考察、仰る通りだと思います。

その現場絡みでの話ですが、KATOの3/4公表ポスターは明らかに生産調整の延長線止まりでしたね。金型を長期で様々保持するメーカーとしては宿命でやむを得ないとはいえ、作る側の都合があからさまに前面に出てしまってます。
(ある意味こじつけになってしまいますが)

コメント欄の皆さんも、しなのさかい様はじめ私と同様に落胆されている方が多いようで(^_^;)

せめて、明日に定期運用撤退するロマンスカーVSEのサプライズ製品化決定告知なりの気の利かせ方ぐらいはKATOも多少は(サヨナラ商法であっても)実行していいだろと私は思う次第です。
  1. 2022/03/10(木) 12:59:45 |
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  3. KATO信者(脱退切望中) #-
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最適解は過去にあったはず

海無しさん


かつての国鉄路線図と同じように、いやそれ以上に増え続ける道路の維持にはいつの間にかたくさんのコストが必要となっていて、笹子トンネルの事故以降は特に橋やトンネルなどの構造物の長寿命化がこの国全体の宿題となっています。
しかしながら国の予算を見ていればこの宿題も早晩解けなくなっていくことは自ずと分かります。この崩壊しかけたインフラの上に今の道路交通サービスは成り立っている訳で、ドライバーの高齢化という問題、ドライバーの運転を要因とする大事故のリスク、クリーンエネルギーで大型バスを高速で走らせる技術の難しさ、などなどを足せばこちらも決して明るい未来は見えにくい、と言えそうです。
「高速バス」というサービスが行き詰まったとき、今度は何をどうするのか?

結局のところ、産業革命以降、歴史的に見ても移動手段については最適解の求め直しが繰り返されている訳なんですけど、人口減少、経済成長の限界から、これまでのように求め直しが効かないフェーズに突入しているようです。となると「今まで歩んできたどこかの時点に現在の最適解があるはずだ」となる(^^)

我々は所詮「模型」という物体に触れるのみの営みですけど、ふと手にした過去の列車が「今でも通用するんじゃないか」と思ったりすることは度々ある訳で、以上のような考え方とも無関係ではないんじゃないかと思ったりもします。逆に言えば、そういう模型がメーカーから送り出されると「おもしろい!」となるようで、今回の787系はその良き事例だったようです。
  1. 2022/03/11(金) 12:53:46 |
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  3. しなのさかい #-
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模型の世界に残そうとする理由

KATO信者(脱退切望中)さん


いろいろなところをパトロールして見ていますが、おおよそのユーザーさんは(カトーに限らずに)毎月のメーカー各社のポスターを淡々と見つめるようになっているようですね。「コレをやるならアレも期待したい」といった今後の関連性を期待する言葉があまり見られないことがそう読み解くポイントでしょうか。

各論に触れることはもうやめておきますが、既存部品を一部差し替えて改良・新製品化する手法はどのメーカーにもほぼ定着していて、しかしながら一方で、そうまでして「もう一度この模型を世に送り出したい」という理由が見えにくくなっています。見えたとしてもそれは「あの当時の価格のままですから、今から見れば安いので手にしやすいでしょう」というもののようです。もちろん安いことは大切だけど、これでは会話が続かないですよね。我々は当該車両が1/150スケールで(再び)世の中に存在すべきと考える理由を聞きたいのですから。その点で今回の787系についてどのようにメーカーによってアナウンスされてきたのかという点は関心ごとです。

当方は落胆の段階はもう終わっていて、16番のプラキットでものんびりと組んでいる方が幸せなのかなぁとか、氷河特急シリーズで遊んでいようかなぁとか、そんなことを考えたりしています(と言ってもまだまだ先の話ですョ)。
  1. 2022/03/11(金) 12:58:03 |
  2. URL |
  3. しなのさかい #-
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夢の列車がひた走る。愛と神秘の平野をかけて~♬

しなのさかい様
いつも楽しく拝見致しております。なんとも懐かしい風景の再現、お話ありがとうございました。KATOの模型で西鹿児島行きつばめの乗車を思い出し、ひたってしまいました。私も思い出が語りつくせません(787を大宮に見に行ったのも思い出しました)。当時は何といってもつばめレディの本気の心遣いに感動しました(時刻表眺めていたらさりげなく笑顔で読書灯をつけてくれたりにはじまり、、)。四季島のサービスを在来線特急で味わうという贅沢な時でしたね。当時は783系もハイパーつばめの名前で走っており、こちらでも同じサービスが受けられました。783系はグリーン車からの眺めは素敵で、始発、終着の案内放送時に浪漫鉄道の歌を放送が聞き取れないくらいに流すところに度肝をぬかれたものです(culture shockと同じ)。その後もビジネス特急に883系が登場したり、新旧混合、素晴らしいheterogeneity、まさにワンダーランドでした。その伝統は今も受け継がれていると思いますが、ご指摘の通り普段使いで当時と同じ風景を愛でたり、サービスを享受することは難しいところが多くなりました。でも行ってみたらまた感動が多いのだろうと思い、今年は何とか九州を訪問したいです。次はTomixから国鉄型の方が出ますのでまたひたりたいと思います。
JRであーる
  1. 2022/03/15(火) 18:39:55 |
  2. URL |
  3. JRであーる #-
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有明 ではダメなんだ! つばめ でないとダメなんだ!

明るい時間帯に行けているようですので、防寒に注意ですみそうですね。

787系の模型化ってそんなに昔でしたっけ?
そんな印象ですが、よく考えるとあったあった・・・なんて感じです。

青春18切符でムーンライトに乗って行ったなぁ・・・。
鹿児島本線、基山駅南側のストレートで離合を撮影したのを覚えています。
もう30年も前なのですね。
フィルムカメラだったので、そんなに枚数撮ってませんが。

私も一番輝いていた時代の つばめ 787系 を欲しいと思っていましたし。
9両で細かなアップデートもフル装備・・・なのに。
タイミング悪いなぁ・・・。
九州の車両は表記類が細かいし、中古でとなると消えていたり、何かとあるので。
発売時に新品で押さえておきたいところなのですが。

おぉっ、1つのブックケースに入っているのですね。

さて。。。ほんとに欲しいの??? を繰り返すことにいたします・・・。


おっと、冒頭のタイトルのネタ回収を忘れました。
つばめ 運行路線には、新幹線がある!
1991年着工してるのだからこだわらなくてもと思いましたが。

みずほ、さくらよりも。山陽新幹線乗り入れ、つばめ のほうが良かったなぁ・・・。
JR各社から つばめ の使用承認とっているのだし。
  1. 2022/03/17(木) 02:08:56 |
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  3. Mu. #n54uwG/M
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浪漫鉄道

JRであーるさん

今回もありがとうございます。
JR九州に興味を持てたのは、特急電車だけでなく普通電車にも水戸岡デザインが採用され、通勤通学でも「へー、あんな車両に乗れるんだ」と見えたからです。今でもデザインは続いていますけど、以前のコメントにもあったとおり必ずしも良いデザインとは言い難かったりしていますよね。詳細は把握していませんが座席撤去というニュースも飛び込んできました。
九州島内に行かなくなってずいぶん時間が経過してしまいましたけど、そろそろ検証しに出かけたいなと、コメントをお読みしてそう思いました。浪漫鉄道、ですものね。
  1. 2022/03/17(木) 09:17:27 |
  2. URL |
  3. しなのさかい #-
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発売されても考えてしまう新製品

Mu.さん

とまぁ今回の787系はご覧のような出来でした。仰るとおり、中古品では細かい車体標記も擦れて消えている個体が多いですからね。買い直しなどの需要はあったと考えています。
本当に自分が欲しかったものなのか。こう考えることは大事ですし、そうされることと思います。その一方で分かることは、 Mu.さんが考えてしまわれるように今回の787系も結局は需要を生んでいないということでした。「あ、コレは絶対に買わないと」と思える新製品と出会わなくなってずいぶん時間が経ちました(^^)
  1. 2022/03/17(木) 09:25:58 |
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  3. しなのさかい #-
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KATO九州ワールド

いつもしなのさかい様のブログ拝見し、勉強させて頂いております。
数年前からNの世界に浸かり、かつて楽しんだ某人気電車運転ゲームに登場する車両を中心に収集を始め、車両管理と金銭管理に追われる日々です。
さて、今作の787系つばめ9両編成は非常に良い出来だったと思います。鳥栖~小倉の鹿児島本線が非常に賑わっていた時代でしょうか。ただKATOの九州特急陣は初回ロットが2000年代初頭のものが多く、基本的な設計は古いままです。導入時は喜びの方が大きいものの、じっくり眺めているとなにか違和感を感じてしまう部分も増えてきます。中でも885系の大きく凹んだ客室窓が改善されなかったのは悔やまれます。ユーザーの中には自力でツライチ化してしまう猛者もいらっしゃるようですが。883系や787系ではそこまで気になりませんが、こと885系に関してはこの点がどうしても引っ掛かります。正直窓パーツの厚みをコンマ数ミリ厚くすれば万事解決のような気もしますが、メーカーとしても実現は出来なかったんでしょうね。正直リニューアルや再販は期待薄ですので、諦めざるを得ないかなと。
しなのさかい様も造詣というところは車両導入における評価点とされていますでしょうか?
  1. 2022/12/05(月) 23:14:25 |
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  3. あき #Sts9A5QI
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設計にもいろいろあるみたいです

あきさん


ようこそお越しくださいました。そしてまた興味深いコメントをありがとうございました。こちらこそ考えさせられました。お金の使い方には熟考されているようですね(^^)

面白い新製品が出てこなくなったことを不満とする向きが強くなっている最近ですが、既存製品に対する不満というものも昔からユーザーの中には潜在的に存在します。
さらにその不満にもいろいろあって、よくある不満は塗装や印刷に対するもの。当方もお金を支払う以上、また自分で塗装せずに完成品を買う以上は気にせざるを得ないポイントとなります。ただ、この点は最悪の場合、次回ロットに期待することも可能ではあります。

御指摘のような設計に関する不満はそんな風に簡単には行きません。手にとって「こうじゃないんだよな」と呟いても、全数がそうなっている訳ですし、したがって明らかなエラーではありませんから、メーカー側に声は届きにくく、仮に声が届いても、メーカー側も一旦「当社で模型化するとこうなります」と言ってしまっている以上、社内で金型を作り直すためのコンセンサスを形成することが難しいのかもしれません。もちろん「それでも買ってくれた」ユーザーを裏切る結果にもつながりかねませんし。当方もそのユーザーの中の一人で、設計への不満に関しては気持ちにブレーキを掛けることはなく、だいたい買うことにしています。

そこで「設計の年代」という一つのライフサイクルのような視点からのそろそろ的なリニューアルを期待することがあります。「さすがにあの時代の設計には無理があるだろう」というほとぼりが冷めた頃合いでの要望です。カトーではそれでもそうした声を逆手に(?)取って旧世代の製品を低価格シリーズとして再生産する傾向が見られますが、あくまでも例外でしょう。

一方、ここで面白いのは「設計の年代」という基準のみで既存製品を処刑することにも何処か違和感があるということです。今回の787系は1993年の製品(設計)。対して885系は2000年。787系は古い年代の設計であっても御覧のように一部の変更を経ながら、遂には今まで製品として存在しなかった車両(クロハ786、クハ787 0番台)を基礎設計はそのままにして2019年に登場させています。このブログでたびたび取り上げてきたカトーの20系客車にも同じことが言えますね。こちらは1997年の製品(設計)です。
逆に、引き続きカトー製品の例になりますが、2000年頃以降の製品でも80系や313系はフルリニューアルされました。E231系1000番台も先頭車はリニューアルされましたし、今回発表されたEF66も2005年頃の製品でしたがさらに完全新規となります。この早さはメーカーとしても課題意識を温めていたとしか思えません。

つまり、カプラーなどの共通設計の陳腐化は別にして、ボディとガラスの合い方、前面の似顔絵、動力の実効性などは個々の設計(者)のセンスなどに拠るところが大きかったのではないかという推論です。その点で885系にはイマイチなところがあり、そのことをクリアする機会に恵まれないでいる…ということになるのではないでしょうか。

ユーザーにとってはどのような設計者さんが担当されているかは分からず、またたまに設計段階でのグラフィックが公開されることはありますけど、素人が「ここ、ヘンだよ」と気づくことも難しいですよね。もちろんその段階で設計変更が効くとも思えません。こうした点もメーカーとお付き合いしながら、長い年月をかけて手持品のアップデートに邁進する、していくしかない、ということなのかもしれません。

長文となり失礼しました。よろしければまたお越しください。お待ちしています!
  1. 2022/12/06(火) 12:34:19 |
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  3. しなのさかい #-
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