おはようございます。しなのさかいです。
国土交通省の有識者検討会が、ローカル線の運行見直しに関する提言案を出したそうですが、報道の範囲で知るところ、「有識者」が主導して出たものとは思えない程の予定調和の内容でして、これまでの議論の範囲を越えることがほぼない、バスやBRTへの転換を匂わせるものでした。
やはりこーゆー考え方であり、今の問題に対してはあくまでも自治体が当事者であって、国は傍観者なのだ、ということが分かっただけでも前進でしょうか。
国鉄末期にも似たような議論を見ていたような気がするけれど、どうだったかしら。
ですから「鉄道大国」なんていうメディアのコピーはそろそろ「過去のものなのだ」と割り切っておいた方が良さそうです。
新幹線の技術をその根拠とする向きもありますけど、東海道本線の輸送力増強の意味で建設された新幹線が、いつのまにかこの国の鉄道ネットワークを破壊し続けている…そんな側面も見えてしまっていますよね。
新幹線にだって輸送断面がずいぶんヤバそうな区間がありますから、そのうち廃線になるかもしれません。

で、今回は「バス大国・JAPAN」を象徴するような模型のお話でもと思いまして。
鉄道模型店のポポンデッタが、鉄道車両の模型化に止まらずに、バスの模型まで製品化してしまいました。
1/150スケールによる三菱ふそう・エアロキングの模型は、既にトミーテックが「ザ・バスコレクション」で製品化していますので、後続ながら比較される運命を背負った、そんなチャレンジングな新製品です。
ポポンデッタが「やる」とアナウンスしたときは、その出来を心配したものでした。
どうしても安中貨物事件の記憶が。
しかしこうして発売されたものを手に取ってみると、驚く点が複数ありましたよ。

生産期間が長かったエアロキングの最末期のモデル、ということでよろしかったでしょうか。
専門外なので間違っていたらごめんなさい。
まずはなんと言っても、1/150スケールでバックミラーを再現してしまったことが特徴として挙げられます。
繊細なパーツとなることは必定なんですけど、高速バスのミラーはゴツいですから、車種選定の段階でスケールダウンの勝算があったのでしょうか。
工夫されたブリスターパックに破損リスクを配慮した形跡もありました。
ミラーはそれっぽく見えますし、これ以上にどうのこうのというリクエストが頭の中に浮かびません。
昨今の「貫通扉」と同様、バスコレの仕様も抜本的な再考段階に入ったようです。

バスコレのサッパリした屋根と比べて、屋根上に模様が再現されています。
ちょうどカトーの14系や24系のような措置で、実物をよく知らない当方としてはこちらの方がリアルに見えてしまいました。
たぶん実物もそうなんでしょう。

それと、印刷が実にきれいに仕上がっているんです。
1階の窓のクレイドルシートのマークも素晴らしい。
バスコレも価格の上昇に比例して質が向上していましたけど、それでも窓ピラーの黒い部分にゴミが混入されているとかで、未だに買うときのギャンブル性が残っています。
今回当方が手にした2台にはそうした点が皆無でした。
とにかく屋根を含めた5面に付着物やカスレなどは見られません。
これは当たり前ながら、ユーザーの満足感を高くするポイントです。

そしてこのバス模型の最大のセールスポイントはココ。
USBケーブル又はボタン電池2個によりヘッド・テールライトが点灯するという。
頼んではいなかったけど、点灯するというなら試してみたくなるのが人情ですよね。

当方はレイアウトにちょこんと置いてみたかったので、車体に100%内蔵できるボタン電池を選びました。
ボディを分解しないで、車体裏側から電池を放り込める設計(外すときのヒモ付で)に軽く感心したところです。

ヘッドライト。
少々青みがかった色調が気になりましたけど、肉眼で見るとそうでもないかも。
光ること自体が革命なのでそんなことはチャラです。

テールライト。
こちらは赤ですから色調云々ということはありませぬ。
ワザと案内所の壁に反射するように置いてみました。

軽めにNゲージのアクセサリーについて話題を振ってみました。
たまにはこんなのを眺めてみるのもイイでしょう。
ディスプレイ向けを意識した点灯ギミックには否定的な見方もあるかと思います。
しかしながら店頭販売価格がバスコレ製品とさほど変わらないとなれば、十分に競合する製品なのではないでしょうか。
中古店では、箱のないバスコレたちがワンサカと売られており、このジャンルも量的に「極まったな」という感想です。
とはいえ、バスのアクセサリーがトミックスのアレとグリーンマックスのアレしかなかった時代を知る者としては、置くだけで地域性を演出してくれる様々な事業者のバスのアクセサリーは欠かせません。
要は「必要な量だけ、ホドホドに」ということであり、鉄道車両の模型をコレクションする上での警告にもなっているようです。

鉄道車両に感動しないでバスに感動してしまいました。
大衆が移動手段として選ぶ乗り物は、今となってはもはやバスであり、深夜のバスターミナルにはかつてのターミナル駅で見られた旅行者の姿がたくさんあります。
したがって、今回のポポンデッタのバスシリーズの最初の企画は「エアロキング」だからこそ成功したような気がしていて、これを路線バスで展開していたとしたらどうだったかなぁと。
たぶん支持できないし、ついていけない(笑)
だから、2匹目のどじょうは似たような場所に潜んでいる、そんな気がするのでした。
余計なことを言いました。
鉄道ネットワークの代替として機能している「旅」のツールとしての高速バス。
こんなところに着目したシリーズの継続を見てみたくなりました。
ではまた。
スポンサーサイト
- 2022/07/28(木) 09:00:00|
- 鉄道模型(レイアウト)
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4
今回も失礼致します。
ローカル線の存廃問題に関しては国鉄時代の赤字地方線の選定の時分から何ら変わっていませんね。
基本になる鉄道に関する法律が「鉄道は営利事業」というのを前提にしていますから、これを根本的に変えない限りは同じ議論が繰り返されることになります。
そもそもが明治初期に国庫が無さすぎて国家による鉄道建設が困難であったため、民間投資を募るより他ならず「後で国で高く買うからとりあえず作っといてね」という法律を土台にしていますから、
「鉄道は国民のインフラ」という考えがそもそも欠けています。
さて現実はというと、先日に訪問したとある地方都市に行った時ですが所用先で言われたのが「クルマでお越しですか?それとも(高速)バスでお越しですか?」との問いかけでした。
要するに鉄道が勘定に入っていないのです。地元の方の交通手段として鉄道は無視されています。
そして最寄りの駅から特急の始発駅まで行きたくても3時間程列車が来ないのでご厚意でクルマで送迎をしてもらう始末です。
こんな調子ですから存廃の瀬戸際にある沿線の住民の方は鉄道に対しては実に淡々としていて廃止されても冷静だと思います。
私の本音としては鉄道を道路や水道、電気と同じ扱いにしてもらいたいですが、文化や生活後進国である我が国では望むべくもなく、鉄道に対して手厚い政策を用意している欧州各国のようにはいかないようです。
さてポポンデッタのエアロキングですが、ヘッドライトとテールランプが点灯するギミックは面白いのですが、西鉄のはかた号が選から漏れましたので華麗にスルー致しました(笑)
ポポンデッタは生産や流通に関して致命的な問題を抱えているようですから、この先が続かなそうなのが何とも・・・
福岡市交通局の2000系を首を長~~~くして待っていますが何時になることやら(苦笑)
- 2022/07/28(木) 17:35:34 |
- URL |
- つばめ787 #-
- [ 編集 ]
先日は「沁みるお顔」へのコメントをありがとうございます。
駅前広場のお祭いいなあ。当方も久しぶりに仲間内で運転会を楽しみました。
運転会での会話から拾いますが、あの頃、当たり前のように存在していて空気のように気にも留めなかったものほど、今にして思えば大変に貴重なもので、もっと大切に向き合って記録しておけばよかったという後悔があったりしませんか。
それは古い車輌や鉄道路線そのものが懐かしいのではないと思います。その時代に体験した事柄だったり、古い人の記憶など、鉄道が何か特別な記憶を呼び覚ますから、そう思わせるのでしょう。
時は移り、高速バスがという選択肢が当たり前の人々にとって、夜行列車による上京の思い出、特急列車での帰省の思い出、遠距離恋愛のシンデレラエクスプレスなど、全てバスに置き換わっているのかもしれません。
個人的には...地方の駅前で客待ちタクシー(型落ちのクラウンとかね)が1台だけテールランプを灯してポツンと佇んでいる風景だったら、最高です。高速バスはね、受け入れ難い心情がありましてね、亜幹線のJR線・国鉄線から優等列車を駆逐した憎き奴なのであります。
- 2022/07/28(木) 21:35:20 |
- URL |
- 連接車 #bDO6Upxo
- [ 編集 ]
つばめ787さん
いつもコメントをありがとうございます。
仰せのこと、本当にそのとおりですよね。「鉄道大国」と自称しながらもその成り立ちは営利企業による営利事業によるものとされているのですから、前世紀末に過疎化、高齢化、少子化が問題視され始めた時点で現在の鉄道事業の課題は必然だったのかもしれません。
御訪問の土地でのやり取りもリアルです。そもそも鉄道を当てにしていない。人が鉄道を利用しなくなった事が先だったのか、それとも鉄道が利用しにくいサービスに程度を落としてしまった方が先だったのか。いつも議論がこんがらがるところでありますけど、今の鉄道事業を見ていると、鉄道だったらできるサービスをどんどん放棄してしまって、代替交通サービスが常識を越えるサービス展開をし続けているような気がします。高速バスは1990年代には無料のお茶を飲めるようにしていましたっけ。
「はかた号」が人気なのは、サイコロ系の番組で有名になったから…だけではなく、そのロングランの旅に冒険要素が含まれているからでしょう。ポポンデッタのメーカー事業はまだまだこれからでしょうが、パイオニアを称する会社がイマイチな雰囲気になっている現状から見れば、一つでもメーカーが増えて、選択肢も増えることには大きな意義があると思います。企画のバッティングを恐れずに頑張ってもらいましょう。
- 2022/07/30(土) 16:04:08 |
- URL |
- しなのさかい #-
- [ 編集 ]
連接車さん
「全てバスに置き換わっているのかもしれません」とのお言葉が正に“我が意を得たり”なのです。
御指摘のような改札口から中の世界は、かつては独特な世界であり、そこには文化がありました。キヨスクの前でわずか100円程度のお菓子を真剣に悩んで選んだり、その斜め上にある小さい小説コーナーで西村京太郎の新刊を買おうか悩んだりしたこともそうでした。でも、気が付けば、もうこんな記憶は記憶の中の笑い話でしかありません。いつまでもあると思っていたら、駅のホームから「売店」が消えてしまいましたし、車内販売もなくなりました。
「文化」とは「文明」とは異なり、人間が意図して形成することは不可能なのですよね。どちらかというと、いつの間にか存在するもの、です。新潟・万代シティのバスカレーもそうなのでしょう。バス旅の思い出にカレーライスの味が沁みついちゃっている。これは間違いなく文化です。
かつて我々が鉄道の中で経験した文化は、今では夜行高速バスの発着場に引っ越しているようです。面白いことは鉄道事業の効率化によって消えてなくなるのではなく、高速バス方面へ移ったという点。公共交通機関による旅の文化って古代から普遍なのかもしれませんね。
- 2022/07/30(土) 16:21:08 |
- URL |
- しなのさかい #-
- [ 編集 ]