こんばんは。しなのさかいです。
そろそろこの道中記も終わりにしないといけませんね(ホントにすみません)
「いつもの場所に行く」と言っていました。
その「場所」とは、伊那谷の終点である昼神温泉なのですけど(またです)、いつもとは違うアプローチを選んだ…ということなんです。

今回は遠州から奥三河を辿って、ダイレクトに昼神温泉に出ることとしました。
いつもは塩尻から木曽路(国道19号)を通って、中央道の恵那山トンネルを抜けるルートを選んでいるので、全く南北逆のルートになります。
国道153号を北上すれば、ズドンと昼神温泉へ到達するという地図上の気づきもありましたし、何よりも奥三河には土地勘がなくて、2000年1月に飯田線を乗り通したときに湯谷温泉で途中下車したくらい。
今回のドライブで風景を眺めてぼんやりと記憶するくらいのことはしておきたくなりました。

前稿のとおり、昼の時間帯まで湖西市にいたので、少々遅れ気味となりました。
三ヶ日、新城、本長篠と走り、国道257号へ。
途中、故障して動けなくなっているロータス・セブンを横目に見ながらひたすらに走り続け、このルート上で一つだけ見ておきたい場所へ急ぎました。

四谷の千枚田。
愛知県新城市にある、階段状の見事な田んぼです。
ココの千枚田の素晴らしさは、レイアウト製作の視点で見ると、ダークグリーンとライトグリーンの組み合わせがとてもきれいだということ。
千枚田によく見られる石積みの擁壁も味わい深いものがあります。
最盛期の「千枚」に比べると、その枚数は大分少なくなっているようですが、それでも圧巻の景色でした。

「この辺には何があるの?」
そう聞かれることにはもう慣れています。
テーマパークも、アウトレットモールもありませんから、同行する方としては心配なのでしょう(笑)

でもですね。
縮尺の大きな地図上には何も描かれていないけれど、グッと目に近づけて見直せば、何やらたくさんの観光情報が、ポツポツと見えてくるんです。
ちょうど星空観察の営みに似ているかもしれません。
現にこうした自然文化遺産があった訳ですよ。
もちろんこの景色を見て「つまらない」という人もいるでしょうが、その対策は「そう言う人とは旅をしない」。
これに尽きます(爆)
まだまだ奥が深そうな奥三河。
浜名湖に続いてこの辺にも宿題を多く残しました。

もう一つは鉄道のこと。
四谷の千枚田を見た後、設楽町の「道の駅したら」に寄って、保存されている豊橋鉄道田口線(旧・田口鉄道)の「モ14」を見てきました。
2021年5月にオープンしたこの道の駅は「設楽町奥三河郷土館」を併設していて、その郷土館は町の中心である田口から移転してきたんだそうです。
「モ14」は郷土館の敷地内で展示していたため、施設の新築移転で車両もココに移されたんだとか。
解体されなくて良かった。
田口鉄道についての詳細はWikipedia等にお願いするとしますが、簡単にまとめると、飯田線・本長篠から三河田口までを結んでいた鉄道です。
飯田線の元となる豊川鉄道、鳳来寺鉄道と車両を共用するなど、3社が一体となった運営がされていたにもかかわらず、その2社とは運命を違えて1943年の国有化から外れ、その後は豊橋鉄道への吸収合併を経て、1968年に廃線となったそうです。
無念。
国鉄飯田線への併結直通運転も行われていたそうですので、なんとなくですが、昭和30年代の飯田線の姿が見えるような気がしてきました。

床下にはトラス棒。
何故こうした棒が床下に取り付けられているのか。
分かった瞬間、技術上の制約と進歩を感じ取れますよ、たぶん。

古いメカニズムが見てとれて、やっぱりこの時代の電車は「機械」なんだなと。

外板は劣化していました。
移転させただけで車両への手入れはなかったようです。
屋根もある保存場所ですので、そのうちリニューアルされることを期待して。

実はこの場所への立ち寄りはほぼ偶然です。
開館していることは予習していましたが、昼神温泉へ向かうための時間が少なくなっていたのでスルーするつもりだったのです。
で、その最中に同乗者たちが「トイレ」とおっしゃる(だからなんだよっていう言葉です)
コンビニの出現を待ちながら走り続けていたところ、皮肉にもやっと出現したコンビニの隣が「道の駅したら」だったというワケ。
奥三河での思わぬ邂逅となりました。
もう少し予習しておけば良かったナと思いながらも、予習しておけばきっと廃線跡探索で前へ進めなくなっていたと思うので、こんな程度で良かったのだと思うこととします。
その後、1時間は走りつづけたでしょうか。
信濃に入り、下伊那郡根羽村、同平谷村を経て同阿智村へ。
途中「ネバーランド 営業中」という看板が出現するなどして、同乗者たちはいつもと違うルートにかなり不安を覚えたらしく、昼神温泉に出た瞬間「あーここに出るのか」という安堵と祝福の声と拍手が1,500ccの車の中に響き渡りました(オーバーですが)
これも奥三河、南信州の秘境感からのものなのでしょう。
ルート選択は大成功だったようです。
そういえば、元長野県知事は同郡泰阜村に住民票を移して長野県庁まで通勤するとかしないとか言ってましたっけ。
長野県はホントーに広い、連邦国家のような県です。

阿智村・昼神温泉で1泊。
星空がきれいな夜でした。
いい加減、あと一つで終わりにします。
(おまけコーナー)

昨日、女房殿が「神保町へ本を探しに行く」というので、書泉グランデでRMライブラリー254『豊橋鉄道 田口線 ー田口鉄道の残影ー』を買ってきてもらいました。
「道の駅したら」で見たモ14の姿が、なんと言いますか飯田線になり損ねた私鉄線の成れの果てのように見えて、また旅の途中で出会った車両への敬意も湧いてきていて、もう少し知ってみたくなったんです。
こういう深掘り作業、以前はNゲージの新製品ポスターから始まっていたことでした。
やっぱり楽しいですよ、知ることは。
今のメーカー各社の企画にも似たような“お題の提供”が欲しいところなんですけど、ストーリーテラー的な提案を求めること自体がもはや…
本日は青組のポスターが開示されていましたっけ。
ではまた。
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- 2022/09/08(木) 22:30:00|
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